僕のヒーローアカゴケミドロ 1
「うわぁはぁはぁ」
黒丸メガネにトキントキンの緑色の髪の毛をした大柄な男が高笑いをしている。
ブカブカの白衣、所々が緑や赤、黒の染みで汚れている、をまとい、手には2メートルはありそうなT字定規のようなものを持っていた。
「弱い、弱い、弱いなぁ、アオインジャー諸君。
こんなことではボクが本気を出せないぢゃあないか。
んーんん?」
黒丸メガネの男の少し離れた所では三人の青いピッチリとした服を着たマスクマンたちが地面に横たわっていた。
彼らの周囲の大地は何かとてつもない爆発に見舞われたかのように陥没していた。炎をあげているところもある。
「このぉお、まだ、まだ、終わっちゃいないぞ」
青いマスクマンの一人が苦しげに呻きながらも立ち上がろうとする。
両隣で倒れている者たちも同じだった。
黒丸メガネの男はメガネをくいっと上げると鼻で笑う。
「ふっ、全くもってあきらめの悪い」
黒丸メガネはT字定規を構える。定規の先に真っ赤な火球が出現する。
「諸君らは私より弱い。故に私に勝てない。
勝てないすなわち敗者なり。
以上、証明終わりだ……」
「てぇあ!」
紫がかった青い服をマスクマンが鋭い気合いと共にメガネ男に襲いかかる。
ガキン
しかし、メガネはまるで分かっていたように定規で襲撃者の攻撃を受ける。
「待っていましたよ。なにしろ数が足りてませんでしたからね。
どこで油を売っていたのですか?」
定規から火球が発射される。火球は襲いかかってきたマスクマンの腹部を直撃した。
吹き飛ぶ、紫がかった青のマスクマン。
「ぐはぁ!」
「「「プルシアンブルー!」」」
倒れていた三人の男たちが悲痛な叫びを上げる。
数メートルも吹き飛ばされ地面に叩きつけられるプルシアンブルーと呼ばれた男。たが、すぐに立ち上がり、力強い声で言う。
「遅れてすまない。みんな、まだ、やれるか?」
プルシアンブルーの参入で力を得たのか、他の三人もよろよろと立ち上がる。
「当たり前だ」
青いマスクマンが言う。
「お前が来たってことは、ちゃんと見つけてきてくれたんだよな?」
続いてやや濃い青色のマスクマンも立ち上がりながら言う。
「ならば、勝負はこれからだ」
「ああ、そうだね」
淡い青のマスクマンも元気一杯に立ち上がる。
「何をブツブツ言っているのですか。一人増えたからといって、諸君らと私の力関係が変わることはありません。
即ち、諸君らが負けるのは……」
「増えたのは一人じゃないわよ!」
澄んだ声が高らかに響き渡る。メガネの男は、声の主を求め、辺りを見回すが、やがて、顔を上げる。
崖の上に太陽を背に人のシルエットが一つ。
「何者ですかな?」
「さあ~て、誰だしょうか?
とぅ!」
一声叫ぶとシルエットは身を投げる。
次の瞬間、光の球と化すとメガネの男に急速に接近する。急速に近づきつつ、光球から幾条ものビームが発射される。
ビームはメガネの周辺の地面に当たり、爆発する。
「むう」
メガネは爆発を両手でガードする。それほどのダメージはない。
メガネのすぐ近くに着地すると光が消え、白い服を纏った者が現れる。
「はっ!」
白い服は手に持ったソードでメガネに切りかかる。
ソードを定規で受け止め、左手でメガネはアッパーを繰り出す。
白い服の者は、そのアッパーをバク転で避ける。
「……つまり、五人目の戦士ということですか」
メガネは服の埃を払いながら、しかし、白の服から目を離すことなく、言う。
「やったぜ!これで全員揃った」
淡い青色の男がガッツポーズをとる。
「全員揃ったから、それがなんだと言うのですか?
だだ、それだけで私に勝てるとでも?」
「ああ、そうとも。みんな行くぞ!」
青いマスクマンは俄然元気になって、大声で見栄を切った。
「命を育む青き力 ピュアブルー!」
続いて淡い青のマスクマンが体をヒラヒラさせて叫んだ。
「空高く、自由に羽ばたけ スカイブルー!」
濃い青のマスクマンがクネクネと体をくねらせる。水を表現しているのだろう。
「広く 大きく 青き海原 マリンブルー!」
ヒラリとバク転するとプルシアンブルーの男が叫んだ。
「青にして藍 むらさきだちたる青のひらめき
プルシアンブルー!」
白い服が最後に可憐に舞う。
「私と貴方で世界は廻る
だけど ちょっとブルーな気分なの
マレッジブルー!」
「「「「「蒼茫戦隊 アオインジャー」」」」」
五人並んで見栄をきる。背景で起こる謎の爆発
* * * * * * * * * *
「……えっと、ナンデスカコレハ?」
病室でDVDを見ていた亜美がやや面食らった顔で聞く。
「何ってアオインジャーよ。
集団ヒーロー物の一つで、従来、色分けしていたヒーローたちを青系一色にしたという画期的な作品よ」
「画期的……ねぇ。
でもみんな同じような色にしたら分かりにくいんじゃあ……」
「そこよ!
そこを一瞬で見分けるのがマニア心をくすぐるのよ」
力説する蛍を亜美は複雑な表情で見返す。
「で、でもこの女の人は真っ白ね」
「ああ、マレッジブルーはアオインジャーの紅一点で、今回が初登場なのよ。プルシアンブルーの懇願で結婚式から駆けつけたの。ウェディングドレスをイメージして白なのよ」
「マレッジブルーって、子供に意味分かるの?」
「分からなければお父さん、お母さんに聞けば良いのよ」
「はあ……」
いきなり子供に『マレッジブルー』てなに?と質問されたらきっと答えに困るだろう、と思ったがそれを言うのを亜美はぐっと堪えた。
そんな亜美の気持ちを察することなく蛍はオタクトークを続ける。
「なに、慣れればそんなに難しくないのよ。
ピュアブルーを基準にして濃いのがマリンブルー、薄いのがスカイブルーだから」
「はぁ~、なるほど。
……じゃなくて!私が聞いてるのは、なんで私の病室で特撮映写会が始まってるかってことよ!」
「なんでって、ねぇ~」
蛍は隣でDVDに見入っている尚美の方へ顔を向ける。
「えっ?わ、私ですか?」
二人に注目されているのに気づき、尚美は姿勢を正した。
2018/09/29 初稿
2019/09/14 改行などのルールを統一のため修正
《おまけ》
『蒼茫戦隊 アオインジャー 設定』
太古の昔、二つの色が宇宙を二分する戦いを繰り広げていた。
一つは命を食らい、破滅させる赤い死の一族。
もう一つは命を産み、育む青い命の一族。
戦いは何億年も続いたが、やがて赤い一族が
青の一族を圧倒し始める。
青の一族最後の生き残り、大賢者アーケインは、
一族の至宝ラピズラピュタを宇宙の果てにある銀河系の
辺境惑星に隠し、結界を張る。
そして、時が流れる大賢者アーケインの結界が力を喪うと
赤の一族が至宝ラピズラピュタを求め、辺境惑星『地球』に
襲いかかる。
その時、ラピズラピュタに選ばれた5人の戦士が立ち上がる。
その名も蒼茫戦隊 アオインジャー!
青山 美澄
アオインジャーのリーダー ピュアブルー
藍央学園 大学院の大学院生。
専攻は宇宙エナジー。
いかにも理系な物静かな感じだが、内には非常に熱いものを
持った熱血漢。
実家は古武術 蒼風流の宗家。美澄も免許皆伝の腕前。
雲居 空也
アオインジャー スカイブルー
美澄の幼なじみで、同じく藍央学園の大学院生。
専攻は地球考古学と航空力学。
美澄とは対照的にアウトドアのワイルドな雰囲気を漂わせる。
天性のサバイバル能力で様々なピンチを乗り越えていく。
海野 広大
アオインジャー マリンブルー
藍央学園の近くのスポーツ用品店兼喫茶店 ディープブルーの
店長の息子。
マリンスポーツにかけては天才的な才能を示す。
藍河 翔
アオインジャー プルシアンブルー
世界各地を放浪したカメラマン。
戦場なども渡り歩いた経験からあらゆる銃器、乗り物を操る。
人との交渉にも長ける。
二荒 恭子
アオインジャー マリッジブルー
二荒財閥の会長の孫娘。
結婚式を控えていたがプルシアンブルーの懇請を受け、
戦いに身を投じる、
その後、婚約者が行方不明になり結婚はお預けになる。




