プロローグ
――黄昏時の空の色。
この世界の空の色は、いつもこの色。
終わることのない黄昏の世界――
夜も昼もない……永遠に時が止まったようなこの空間は、紛れもなく異世界と言えた。
絶え間なく流れる大河の如き、鈍色に輝くエーテルの流れ。
コリードールと呼ばれる星々を繋ぐ道。
それは、宇宙の裏側を流れる大河だった。
人々は、遙か古代から連綿と流れていたこの道を見出して、母なる星……地球。
それどころか、太陽系すらからも離れて、広い銀河の至る所へ広がっていき、そして……。
相争い、時に手を取り合いながら……その生活圏を広げながら、生を育み……そして、死んでいった。
永遠に続く繁栄の道……誰もがそう思っていた。
けれど、宇宙時代の人類は……今や死に瀕していた。
異なる世界からの侵略者――インセクター。
そう名付けられた未知の脅威の前に、コリーロードは分断され至る所で人々は孤立し、懸命にあがらいながらも、確実にその版図を狭めていった。
けれども、そんな中……ささやかな希望が各地で芽生え始めても居た。
宇宙駆ける戦乙女達……そんな風に呼ぶものや、船の意志とも呼ばれながら……。
かつて、地球の海で壮絶な戦いを繰り広げた旧時代の遺産……20世紀の戦闘艦艇と、その記憶を受け継ぐ娘達。
彼女達は、この宇宙の海に還ってきて、かつて同様……戦いの日々にその身を投じる。
人の姿にその身をやつし、遠い未来の世界で人類の守護者として、再び戦場に立つ。
彼女達は、当たり前のように、その運命を受け入れた。
彼女達の敵は、異世界から侵略者であり、人であり、時に同胞ですらあった。
けれど、彼女達は躊躇わない……戦いこそが彼女達の存在意義なのだから。
――これは、そんな彼女達の戦いの一幕を描いたもう一つの世界の歴史の1ページ。
はるか未来、或いは……遠い昔かもしれない物語。