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環境戦隊ガドガイアー  作者: 黒井羊太
第二話「爆破5秒前!轟火、怒りの鉄拳!」
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止められぬ悪夢の連続!

繰り返される爆破事件の連続!しかしその足取りは要として掴めないままでいた。

「随分物々しいなぁ」

 轟火の素直な感想だ。というのは、先日のボムマウスの事件があって以来、ゴミ集積に関係している施設、回収システム全般に凄まじい警戒態勢が布かれているのだ。市民も生活そのものに支障はないが、何とも過ごしにくそうである。

「……俺等が頑張らなきゃな。カリメアの自由になんかさせるものか……!」

 改めて自分の仕事の重要さを認識する瞬間だ。

「お~い! 轟火! 早くしろぉ!」

「あっ、はい! 今行きまぁーす!!」

 上司からお叱りを頂き、そちらに向かって走っていく。


「……そう言えば、確かこの辺にもゴミ屋敷、あるんだよなぁ……」

 トラックを運転したまま、ふと思う。

 何故ゴミ屋敷を爆破する必要があるのか?確かに混乱は起こせる。が、それだけの為にやるだろうか?もっと裏があるはずだ……何がある?

「う~ん……」

 そもそも、ゴミ屋敷を狙ったのか?そんな疑問が頭をもたげる。前回も、富沢駅を狙った犯行ではなく、たまたま富沢駅の近くだった。今回は?

 全て、憶測に過ぎない。

「分からないなぁ……」

 もう一度、爆発が起これば何かが掴める気が…いやいや!何を考えてるんだ!爆発は未然に防がなくてはならない!


 ドカァァァァァァァン!!


 またも近くで爆発が起こった!

「なっ、何だ!?」

 自分の心が見透かされたようなタイミングにドキドキしながら、車を止め、爆発のあった方向へ走り出す!

「お、おい! 危ないぞ!?」

 上司が制止するが聞いている場合じゃない!一刻も早く現場に辿り着き、原因を究明せねば!

 と、


 ドカァ~ァァン!!

 ボカァ~ァァァァン!!


 立て続けに爆発が起こる!この爆発の起こり方…まさか!!

「ボムマウス!? いや、しかし奴は倒したはず!」

 混乱が街を覆う!悲鳴、怒号、サイレンの音…最早この街はまともに機能していない……

「くっ……そぉぉぉぉぉぉ!!」

 自分の無力さに、塀に拳を殴りつけて叫ぶ。



「またしても爆発は起きてしまったか……」

 長官が悲しげに言う。別に責められた訳ではないが、現場の近くに居て何も出来なかった轟火は少しうな垂れる。

「あぁ、轟火君。気に病む事はない。奴らの狙いが謎なのだ。対応が出来なくても、恥じる事ではない」

「……はい……」

 長官の慰めに、力無く返事をする。明らかに落ち込んでいる轟火に、誰も上手く声を掛けられない。

 一瞬の沈黙の後、

「美弥希君。今回の事件をまとめた地図を出してくれたまえ」

「了解しました。今モニターに映します」

 長官の命令に返事をし、カチャカチャとコンソールを打つと、あっという間に地図が展開された。

「さて、今回も前回同様、地図に起こしてみたのだが…正直前回のようにはいかないようだ」

「……確かに。前回なら、爆発のタイミングがかなりズレていましたからねぇ……」

「ああ。しかし今回は数箇所同時に爆発している。前回のようなマヌケの犯行ではないようだ。」

 そうなのだ。今回の爆発、二回に聞こえたのだが、実はほぼ同時に五発、爆発していたのだ。前回の事を考えると、単独犯という説は弱くなってくる。

「ト言ウ事ハ……複数居ル、ト言ウ事カ?」

「……いや、それはない」

 轟火が力強く否定する。全員が振り返る。

「何故そう言いきれる?!」

 厳しい口調で、隼人が問いつめる。轟火は少し間をおいて答える。

「俺は現場にいたが、怪しい人物を見ていないし、まして住宅地だ。そんな人間がいたら、誰かが必ず見てるはずだ!」

 はっきりとした声だが、根拠が弱すぎた。隼人をはじめ、何人かは納得のいかない顔をしている。

「しかし! 複数犯でなければ説明がつかないだろ! そこはどう説明する!」

「ん~、そうでもないみたいよぉ」

 隼人の更なる問い詰めを、みうがカットする。

「ん? みう、どういう事だ?」

 長官が疑問をぶつける。

「オペ子ちゃ~ん、同時に爆発している地点を円形に結んでみてぇ」

「……了解」

 空気を読みツッコミを入れずにカチャカチャっとコンソールを叩くと、地図にその結果が反映される。

「……ん、何だ? どういう事か分からないぞ?」

 ヘンテコな二重円?が出来上がる。これから何が読みとれるのか…?

「あれ……失敗みたい」

「こら。みんなを混乱させるんじゃない」

 ポカリ、とみうを叩く長官。叩かれた場所を抑えて「おっかしいなぁ……」と呟きながら苦笑いするみう。

 その姿を見る事もなく、オペ子は地図とにらめっこをしていた。みうの勘は理屈抜きに凄まじい確率で当たる。いつも理論を無視して一足飛びに答えに辿り着くのだ。しかし今回は結果が伴っていない。何かが足りない……どう補ったらいいのか……彼女はそれだけを考えていた。

が、答えには至らない。眉間に寄せた皺は何の意味もなさなかった。

「とにかくだ。今回も前回同様、ゴミにまつわる場所に攻撃を集中させているのは間違いようだ。目的は依然不明……被害だけが広がり続けている。皆気を抜かないで引き続き警戒を頼む!」

「「はい!」」


 解散はしたものの、誰もが心にもやもやを残している。ヒントが何も無い今の状態では警戒のしようがないのだ。この街の中にどれだけのゴミ集積所があるのか、次狙われるのはどこか、とてもじゃないが全てを守るなんて出来るわけもない。

 その事に皆、苛立ちを覚えていた。


 そう言う意味で、ネオ・ボムマウスの作戦は成功していたといえる。

「フフフ……奴らめ、さぞ混乱しているのだろうなぁ……」

 人気のない通りで、満足げに笑みを浮かべるトレンチコート姿のボムマウス。

「さて……試運転は完了した……これから本作戦に移させて貰うぞ……! 今度は邪魔をさせんぞ……いや、出来まい……フフフ……ハハハハ……ハーハッハッハ!!」

 大袈裟な素振りで笑う。勝利を確信した笑い。誰も自分を止める事などできないだろうという自信に満ち満ちていた。

「戦闘員共!」

「「ウィー♪」」

 どこからともなく現れた戦闘員達。十人程がキチッと列を成して敬礼をする。

「お前等の役割、分かっているな…?」

「「ウィーーー!!」」

「では……行けい!!」

 サァァァァ……と街に消えていく戦闘員達!残されたボムマウスは、静かに笑う。


一体どうしたら……!?

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