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環境戦隊ガドガイアー  作者: 黒井羊太
第四話「断固粉砕! 怒れる光月の戦う理由!」
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死闘の中の思考!

死闘の最中、グリーンの心に去来するものは!?

 拳が来る。それをかわしてカウンターを入れる。それを一歩前に出る事で威力を抑えつつ、更に拳を繰り出す。絡めて関節を破壊しに行く。するりとかわされ、間合いを空けられる。間合いを詰めて攻撃の密度を上げる。時折魔斬波を織り交ぜ、攻防のタイミングを狂わせる。しかしそれに余り動ぜず、蹴りを繰り出してくる。飛びすさってかわし、再び間合いを詰める。

 致命打を避ける為に、幾つかの打撃をお互いが食らう。この繰り返し。

 紅虎との激しい攻防の中、グリーンは思い出していた。自分自身の、過ちに満ちた過去を。

 幼い頃から武の天才と呼ばれ、力でもって多くの人をなぎ倒した。誰も自分に敵わなかった。天狗になりきっていた頃など、道を行けば武道家。嬉々として全てなぎ倒した。そうして付いた二つ名が『風神』。誰も止められない。誰も遮れない。吹き荒れる風は、気の向くままに全てをなぎ倒していった。

 ある日吹き荒れる風は、あっさりと止められた。止めたのは、ただ一度のビンタ。今までのどんな攻撃よりも、痛かった。

 吹き荒れていた風は、止んだ。

 それから、その人と幸せな日々を過ごした。とても、とても幸せだった。やがて家族が増え、幸せの絶頂であった。

 が、不幸は過去からやってきた。その冷たく黒い風は、家族を奪った。

 慟哭し、荒れ狂った風は、再び全てをなぎ倒した。悲しみに暮れながら。

 そして呪った。なまじ自分が力を持っている為に、強かった為に、家族は死んだ。こんな力など、持つのではなかった、と。

 それから、長官に出会い、力の方向性を教えてもらった。使うべき場所、向かうべき道。


 フフフ、こんな時に何を思い出しているんでしょうねぇ。

 光月は内心、笑った。

 自分の積み上げた力故の過ち、そして罰。私はすっかり疲れました。

 だけど、力を一度持てば、その呪いからは死ぬまで逃げられない。ならば自分の満足のいくように、人が望んでくれるように使う。この力は、誰かを守る為に、強き力と戦う為にある!それが彼女との誓い!

 私は、負ける訳には行かないんだ!

「うおぉぉぉぉ!!!」

 グリーンの体を、その意志だけが支えていた。



 戦闘員達を全て片づけ、ブルー達はすぐさまグリーンを助けに行こうと振り返った。そして、その凄惨な様を見て、動けなくなった。

 グリーンも紅虎も、お互いの爪と風でズタボロになっていた。口から鼻から流れた血で体は赤く染まり、息は上がり、お互い立っているのがやっとという様相だった。

 周囲にも血は吹き飛んでおり、その攻防の激しさを物語っていた。

「……次の一撃で最後だな、光月」

「……えぇ、そうでしょうね」

 お互いに独り言のような音量の会話。見ていたガドガイアーの誰も止める事ができなかった。

「最期にもう一度、聞いておこう。力とは、何だ」

 紅虎の言葉を受けて、グリーンは小さく息を吐いて、それから答えた。

「力とは、どんな綺麗事で飾っても、要はただの暴力です。ただそれだけではね。しかし力をどう使うのか、それこそが重要なのです。

 私は、この私の力を、弱き者を守る為に使う。不当な暴力に晒されないように。それこそが、私の正義」

「ちっ……貴様とは分かり合えそうにないな」

「いいえ、私はあなたの気持ちも分かりますよ。かつての私がそうだったから」

「……だからといって最後の一撃、手を抜いてくれるなよ」

「もちろん」

 言葉が途切れて、一呼吸、二呼吸置いて、二人が動き出す!

「おおおおおぉぉぉぉぉ!!!」

「ああああぁぁぁぁあぁぁ!!!」

 そして、決着がついた。

次回決着!

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