犯人を追いつめろ!
第二の爆破事件を防ぐことが出来なかった轟火。彼はそのことを悔やみ続けていた。
ミーティングルームに神妙な面持ちでメンバー5人が集まっている。
うつむいて黙っていた轟火が口を開いた。
「クソッ!! すまないみう、お前の言った通りだった! 俺がもっと真剣に聞いて動いていれば今回の事件は防げたのに……!」
「いいよいいよ、そんなに謝らないで。それに動いてたとしても防げたとは限らないし」
「そうです。それに起きてしまった事は仕方が無いです。そう気に病む事はありません」
とみうと光月が慰める。
そこへ隼人が冷たく言う。
「そんな肩を落としている暇があるんだったら次を防ぐ手を考えろ!」
冷たい言葉だが、そこには隼人らしい気遣いが見え隠れしている。しかし残念ながら今の轟火にそれに気づくだけの余裕は無かった。
「ソレニシテモ、何カニ気付イテイタノカ、ミウ?」
気まずい空気を換えるために、マキシムが聞いた。
メンバーが注目する中、みうは昨日轟火に説明した事を皆に説明した。
ポンと手を叩き光月先生が言った。
「なるほど、そこは気付きませんでした。でもそれなら簡単です。次は……」
「仙台駅だな。」
光月が答えを言う前に隼人が言った。
「さて、次の場所はわかりましたが、どうしますか? 轟火君」
落ち込んだ轟火を見かねて光月が指示を仰ぐ。
轟火はすくっと立ち上がり、パシッ!と頬を叩いて気合を入れ直した。その轟火の態度に、皆は微笑を以って指示を待った。
そして轟火が叫ぶ!
「よし、仙台駅周辺のゴミ収集場を確認し、それぞれ持ち場を決めて張り込みだ!!」
『おうっ!!』
翌日、五人はばらばらに仙台駅周辺に待機していた。
「いいかみんな、怪しい奴がいたら独りで戦うな! 必ず連絡を取り合え!」
『了解!』
通信機越しに威勢の良い返事を聞き、頷く轟火。
「さぁ来い、爆弾魔……」
そして、ごみ収集開始の時刻となる……!
見つけたのは、轟火だった!
「なんだ……あいつ、何か怪しい」
黒ずくめの男が一人、何やらごみ収集所辺りできょろきょろしている。この暖かい日には不自然なほど厚着をした男だ。
そして誰もいないことを確認すると腹の辺りをごそごそ探り、取り出した黒い塊をポンと捨てていった!怪しすぎる!
「みんな! 来てくれ! 怪しい奴を発見した!」
通信機に向かって叫びながら、男に向かって走り出す!
「おい!お前っ!」
轟火が大声で呼びかけると、男は一瞬驚いて身じろぎをした後、走って逃げ出した!
「待てぇぇ!!」
轟火もスピードを上げる!やがて距離は縮まり、捕まえることに成功した!
「ゼェ……ゼェ……お、おい、何をしていた……?」
「い、いや、私は何も……」
露骨に顔を背けてどもりながら弁解をする男。どう見ても怪しすぎる。
「おい、ちょっと顔を見せてくれないか?」
「……」
黒ずくめの男は何やら躊躇っている…そうこうしている内に、仲間達が集まってきた。
「どうした!? いたのか?!」
「あぁ……こいつ、何やら怪しいものをゴミ捨て場に捨てていた。しかも顔を見せないんだ……」
「……くっ!」
話をしている内に男がバッと地面に伏せる!
『!?』
全員が驚いた瞬間!
どぉぉぉん!!
後ろから凄まじい閃光と爆音、そして爆風が!!
「うわぁーー!!」
「きゃぁぁーー!!」
悲鳴を上げながら吹き飛ばされる五人!
黒ずくめの男は爆発が収まってから、笑いながら立ち上がる!
「は~っはっは! バレてしまってはしょうがない! 私こそ悪の組織、カリメアの尖兵!! ボムマウス様だ!」
バリバリッと顔の皮を脱ぎ捨てると下には真の姿が!
正体はネズミの顔!頭の上には爆弾型のオブジェが取り付けられ、腰回りにも巨大な爆弾が着いており、そこから足が生えている格好になっている。まさにボムマウス!!
「くぅ……みんな、大丈夫か……?」
「えぇ、何とか……」
「大丈夫だ……」
う~う~とサイレンが鳴り響く。もうもうと煙が上がる。聞きたくなんてない、パニックの音だ。
「貴様……何者……」
「私か、だから私は悪の組織、カリメアの尖兵!ボムマウス様だ!」
両手を広げてポーズを決めながら、改めて名乗るボムマウス。
「カリメア……?それは一体……?」
いち早く立ち上がった光月が、初めて耳にした言葉の意味を尋ねる。
「フフフ……良くぞ聞いてくれた。我等はこの人類を混乱に陥れ、そして地球に平和をもたらす者だ!」
得意満面に答えるボムマウス。
「? 人類に混乱をもたらし地球に平和を……どういうことだ?!」
隼人が叫ぶ。
それを見てボムマウスが小さく鼻で笑う。
「ふん、貴様等にはこの崇高な目的、分かるまい……」
轟火がまだクラクラする頭を抱えつつも、起き上がりながら指差し、叫ぶ!
「分かるものか!! ボムマウス! 貴様の目的は何だ!」
それに応えるボムマウス!
「知れた事! ゴミ収集車を全て破壊し、仙台市民のゴミを回収不可能にする、そうすることにより不衛生な環境を作り出し病気を蔓延させ、弱っているところを一網打尽にする!! 名付けて!『GarbageScatter作戦』だ!!」
「なんだって! し、しかし、じゃぁ何故地下鉄を狙った!?」
動揺しながらも何とか轟火が言葉を発する。その言葉に、満足げに笑ってボムマウスが言う。
「フッフッフ……なに、物はついでというものだ。街をゴミだらけにしながら交通網を破壊する事で、恐怖と不便さを味あわせるためだぁ!!」
今明かされる本当の狙い!その凄まじい悪意に、わなわなと打ち震える五人!
「とんでも無い作戦だ! おのれ、卑劣な!!」
「フハハハハ! 何とでも言え!」
満足げに笑うボムマウス。
と、ここでみうが口を開く。
「前回の犯行時刻、走ったタイムとぴったり重なるけど、アンタ一人の仕業ね!」
みうの質問にピタリ、と動きを止めるボムマウス。
「ほう……なかなか頭の切れるやつだな……確かに、私一人でやったのだ。そしてこの近辺に身を隠し、次の機会を狙っていたのだ!」
ボムマウスに誉められたからか、はたまた自分の勘が当たったからか、みうは嬉しそうな顔をしている。
「人々を混乱に貶める悪い奴! 許せん!」
ビシッと指差しながら叫ぶ轟火!他の四人も身構える!
「許せんだと……? ふん! たかが人間、五人集まった所で何が出来るというのだ! いけぃ! 戦闘員共!」
「ウィ~!!」
立ち直ったボムマウスの合図とともに、何処からともなく現れる甲高い声の戦闘員たち!その戦闘員たちの出で立ち、青い頭に黄色の角、全身は赤と白のストライプ!まさに異様!
しかしそんな事に物怖じするわけにはいかない!
「行くぞみんな!!」
『おう!!』
ガドガイアー、初の戦闘へ!