グリーンの死闘!
遂にグリーンと紅虎の全力の戦いが始まる!
グリーンが気合いと共に紅虎に襲いかかる!連撃!しかし紅虎もそれを両手で捌いていく!
激しい攻防、ブルーも戦闘員も、それを見ていることしかできなかった。いや、正確にはあまりの早さに見る事すらできなかった。瞬き一つの間に攻防が入れ替わる、めまぐるしい展開。剛柔入り乱れ、果たしてどちらが今攻めていて、どちらが守っているのか、それすら分からない。
これがグリーンの本当の実力……次元が違いすぎる……!
「良いぞ! これぞ本気の死合! もっと全力を尽くせ!」
「おぉぉぉぉおおお!!」
激しさは時と共に激しくなる!間合いは十分外だと言うのに、ブルーは二人の拳圧をはっきり感じていた。
いや、違う。ブルーは目を凝らして二人の攻防を改めて見つめた。
……グリーンの攻撃の際に僅かながら風が発生している!なるほど、風の力で拳を加速させている!
「凄すぎる……」
ブルーが呟く。それを聞いていたかのように、二人がバッと離れ、間合いを取る。
「ククク、いいな、良いぞ光月! 貴様、風の力を使うのか! 攻撃には加速、防御には俺の体に空気を纏わせ、まるで羽交い締めのように抑えつける! これでは上手く攻撃もできんわ! ハ~ハッハッハ!」
「……もうバレましたか」
あ、あの激しい攻防の中でそんな事までしていたのか……
「この戦い振り、かつて聞いた伝説を思い出すわ。多くの武道家達の肉体を壊し、心をへし折った伝説の武道家。その名は……そう、『風神』と言ったかな?」
「……」
グリーンは答えない。
ブルーは動揺する。
風神!?風神だって!?誰もが恐れ、そして憧れた武道家!強さを求める人間なら誰でも知っている!
紅虎は構わず言葉を続ける。
「暴風のように、通った後には武道家が散らかされている。そこから付いた二つ名が『風神』。しかしその名はある日を境に消えてしまう。野垂れ死んだとも言われていたが、はてさて実態は違ったようだな。まさかこうして」
「随分おしゃべりですね。疲れて音を上げましたか?」
グリーンの冷たい声が遮る。味方であるはずのブルーですらぞっとするような冷たさだ。
「フフ、そうだな。言葉は要らぬ! さあ! 殴り合おうぞ!!」
再び始まる攻防!徐々に速度を上げ、風を巻き上げる!拳と拳のぶつかる衝撃が、幾度も周囲を、そしてブルーを襲った。
「くぅっ!?」
直視出来ず、目を背ける。と、その視線の先には同様に視線を背けたカリメアの戦闘員達。
目が合う。そして数瞬の後、お互いに自分たちは戦わねばならない状況にある事を思い出した。
「いっ、行くぞ! 戦闘員達!」
「「ウィ、ウィーー!」」
お互いに少し戸惑いながら、こちらでも戦闘が始まる!
「今だ! ウォーター・スライサー!」
「ウィッ!?」
ブルーと戦闘員達の目まぐるしい戦い!戦闘員達に遅れを取るブルーではないが、多勢に無勢。数を頼みに戦う戦闘員達に圧され始める。
「くっ! このままでは!?」
このじり貧の状況に焦り始めるが、しかしどうする事もできない。
と、戦闘員と一人がブルーを後ろから羽交い締めにする!
「ウィー!」
「しまった!」
必死に足掻くが、振り解けない!正面から襲い来る戦闘員達!ブルーは覚悟した。が、その衝撃は訪れなかった。
「フレアー・フィストぉ!」
ボッ!と音を立て、戦闘員達は消滅していく。この技は!
「よう、ブルー! 遅くなったな!」
「遅いぞ! ……だが、助かった」
レッド!そして続いて戦闘員達が吹き飛んでいく!
「サンライト・ブラスト!」
ドォ~ン!
「ヌゥワァァァア!」
バァ~ン!
オレンジ!ブラック!次々と戦闘員達を吹き飛ばしていく!
「私達もいるわよぉ。遠~くのパトロールの現場から直行したんだから、遅刻は大目に見てねぇ」
「ブルー、スマン。グリーンハ?」
「グリーンは、怪人と戦っている。正直、割って入れる状況じゃない」
四人が振り返ると、グリーンと紅虎は今だ激しさの増す攻防を繰り広げていた。あまりの激しさに、ここから見た三人は唖然とする。
「……確かに入れそうもないな。隙が見あたらない。あの場はグリーンを信じて任すしか無さそうだ」
「じゃあ、せめて邪魔が入らないように、戦闘員達はあたしたちでやっつけちゃいますかぁ!」
「ソウダナ。俺達ハ俺達ノデキル事ヲヤルダケダ!」
三人がいれば心強い!ブルーは改めて戦闘員達に立ち向かっていった。
死闘は続く!




