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環境戦隊ガドガイアー  作者: 黒井羊太
第四話「断固粉砕! 怒れる光月の戦う理由!」
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光月の心に残るもの

倒れた光月がみたものは

 気がついたら、見知らぬ天井があった。

「こ……ここは……?」

 白い部屋。白いベッド。白いカーテン。光月の見覚えのない景色だ。

 私は確か、隼人君と話している最中倒れて……

 気絶している間に運ばれてきたのだろう。しかしこんな場所、基地にあっただろうか?宇宙にある基地だというのに、窓があって、カーテンが風でそよぐのだろうか?

「気がついた?」

 女性の声がする。ガバッと起き上がると、ベッドの脇に……有り得ない女性がいた。

「!! 君は!?」

「もう何時間も寝てるわよ。十分休めた?」

「起きた! 起きた起きた!」

 無邪気な声がして、女性の脇からひょっこり少女が顔を出して覗き込んでくる。その姿に光月は更に驚く。

「  !?」

 声にならない叫び。この子は……

 動揺する光月に、女性は構わず言葉を投げかける。

「みんな、貴方の代わりに頑張るんだって、張り切ってパトロールに行ったわよ? 貴方はいいの?」

「いいの~?」

 少女は女性の言葉を楽しげに繰り返す。あぁ、この景色は……私の求めていた景色だ。

「さて。目も覚めたみたいだし、そろそろ行くわね。」

 言って女性は立ち上がり、扉に向かって歩き始める。少女はきゃっきゃと部屋中駆け回りながら女性についていく。

「待ってくれ!!」

 光月は叫ぶが、体は少しも動かない。女性はやがて隣に来た少女の手をとり、扉の外に立つ。

「まだよ、あなたがこっちに来るのは。やるべき事があるのでしょう?」

 ほら、バイバ~イといいながら少女の手を掴んで振る。

 もう少し待ってくれ。話したい事があるんだ。抱きしめてあげたいんだ。例えこれが、夢でも、幻でも。

「どんなになっても、貴方は立派な人よ。誰かを守るって、とても大変な事。それが出来る貴方は、私の誇りよ。忘れないで」

 にっこりと笑って、手を振りながら扉を閉めていく。

「頑張って、あなた」

 扉は、閉まる。

「   !!!   !!!」

 光月は、力の限り妻と娘の名前を叫んだ。



 目が覚めると、見知った天井があった。基地の病室だ。

 私は、泣いていた。とても悲しかったのだと思う。

 それと同じくらい、嬉しかった。死んだ家族に、こんな形でも会えた。今まで一度も、夢にすら出てこなかった家族に。

「気がつきました?」

 女性の声がする。ガバッと起き上がると、ベッドの脇にオペ子が座っていた。

「オペ子さん……」

「大丈夫ですか? 体の方は」

 読んでいた本をパタンと閉じ、光月のほうに座りなおしてオペ子が問う。

「体……あいたた、まだ痛むみたいですね」

 感情の昂りで気づかなかった痛みが一度に襲い掛かり、光月は顔を歪めた。

「もう少し休んでいてください。今は他のメンバーが町の警戒に当たっています」

 言って、光月に横になるよう促す。体が痛む光月は、おとなしくそれに従う。

「では、何かあれば呼んでください」

 退室しようとするオペ子に光月が呼びかける。

「あ、ちょっと待ってください」

「はい?」

「私はどれくらい寝てましたか?」

「えぇと……10時間ほどでしょうか。まだ完全な休息が取れたわけではないので、しっかり休んでください」

 では、と言い残し、オペ子は退室していった。

 10時間……あれだけの大怪我を負ったんだ、これぐらいの痛みはあって当然だ。しかし、それ以上に今は気力が充実している。

 動ける。行かねば。奴が来る。守らねば。皆を。


やらねばならぬ、今はその時。

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