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環境戦隊ガドガイアー  作者: 黒井羊太
第四話「断固粉砕! 怒れる光月の戦う理由!」
23/33

光月の新しい日常!そして

光月の新しい日常とは?

「次! 休むな!」

「「押忍!!」」

 光月の檄に、野太いおっさんたちの威勢の良い返事が道場に響き渡る。どのおっさんも、道着を着て一生懸命に練習をしている。

 光月の顔は広い。拳法家として評判で、少年たちへの指導は元より、地元の警察など、体術が必要となってくる職業にも指導している。

ここは警察署。しかも、特殊任務を担う新設の特殊部隊の訓練道場なのだ。


 特殊部隊。その設置はまだ新しい。

 仙台連続爆破事件、ゴミ収集車襲撃及びゴミ処理場占拠未遂事件、太白山連続失踪事件。これら警察で対応できる範疇を遙かに超えた事件が多発している現在、超法規的にそれらの事件へ速やかに対処できる組織が必要になった。そこで政府が設立したのがこの特殊部隊、高度独立環境防衛隊(High Independent Defenders for Environment)、通称「HIDE(ハイド)」なのだ。

 事件に対し現場の判断で救助や抗戦などの対処を行えるという画期的な組織。その反面、軍部の暴走となり得るのではないかとの危惧も出てきている。特殊部隊にはある程度の武装と自主自立が認められている為だ。しかし実際問題として、非武装では明らかに対応しきれない点、上層部へと判断を仰いでいては目まぐるしく変わり続ける状況に対処できない点が認められ、反論を残しながらも、つい先日暫定的に組織されるに至った。

 当然の話ではあるが、状況に対し全ての隊員がベストの選択肢をチョイスする必要がある為、厳しい選考基準が設けられている。それら全てをくぐり抜けたのが、今ここにいるおっさんたちなのだ。


「今日の練習終わり!」

「「あしたっ!!」」

 道場中に張りめぐらされていた緊張の糸が、解ける。今日も一日厳しい訓練を終え、なお残って光月に習った動きを復習している。皆、一度で動きが身につくものではない事を理解し、また身につける事が自分の身を、更には国民を守る事になると知っている。だから、これほどまでに熱心に取り組んでいるのだ。

 光月はそれを知っている。こうして残って練習する様を見ていると、嬉しくなる。

とはいえ、いつまでも見ている訳にはいかない。この場の人間は知らないが、自分にはガドガイアーの一員という側面もあるのだ。疲労を次の日に残してはいけない。家に帰って十分な休息を取る事も大事な仕事なのだ。


 着替え終わって、帰途につこうとする。途端、道場から凄まじい殺気が膨れ上がる!

「!?」

 何事かと振り返ると、

「な、何だお前は!?」

「動くな!」

「! うわぁぁぁ!?」

 次々悲鳴が聞こえてくる!光月は考える間もなく走り出していた!

「皆さん! 何があったんですか!」

 道場に入るなり叫ぶ。が、返事が出来そうな人物はいなかった。そこにはただ、道場の真ん中で佇んでいる男が一人いるだけだ。

 明らかに人間ではない。圧倒的な巨躯と、脂肪を一滴も感じさせない腕、そして夕日のように紅い、虎柄で毛むくじゃらの背中。

「……弱い。話にならん」

 ぼそりと呟いて振り返る。こちらを振り返った男は……一言で言うならば、虎男だった。

 前方を鋭く睨む眼、牙がちらつく口元、紅く美しい毛並みの上半身、黒い肉球、そして鋭い爪。

「カリメア……!」

 思わず光月の口から言葉が漏れる。虎男はぴくりともせずに答えた。

「察しの通りだ。ここに新しい特殊部隊が出来るとかで、早速潰しに来てみたんだが……まさかこんな程度でお前らは我がカリメアに対抗しようとしていたのか?」

「っ! カリメアは随分情報が早いようですね……」

 光月の答えに、虎男は溜息を吐く。

「その様子だと、本気でこれだったみたいだな……がっかりだよ、強い奴と出会えると思っていたんだが……」

 ふう、と頭を振りながら溜息を吐く虎男。

 周りの皆は……気絶しているだけで、命に別状はなさそうな者もいるが、大多数は鋭い爪にやられてしまったらしく、胸や腕から血が流れ出ている。

「せ、先生……」

 一人が弱々しい声を上げる。見ると足下で一人の隊員が助けを求めるように手を伸ばしている。

「こ、こいつ……強すぎる……」

 それだけ言うと、ガクッと力が抜け、まるで人形のように力なく床に崩れ落ちる。

 光月は、胸の内に激しい怒りが湧くのを感じた!

「貴様っ!!」

 光月の声に虎男は反応する。その目を見て、虎男は嬉しそうに目を細めた。

「ほう? ……そんな目が出来る男がこんなところにいたとはな……嬉しい……嬉しいぞ!!」


襲いくる怪人!果たして、勝てるのか…?

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