決戦!ストロングブルの最期!
事件は解決した!これで帰って報告が…!?
その様子をモニターしていたディオナルドは、わなわなと震えていた。
「忌々しいガドガイアーめ! ストロングブルすら破るとは……! しかしまだ負けた訳ではない……ボムマウスから手に入れたデータを元に……フフフ……」
言いながら、懐から怪しげなスイッチを取り出す!
「さぁ! 巨大化せよ! ストロングブル!!」
カチリ。
う゛ぉぉぉおぉぉぉぉぉぉ!!!
山中に木霊する、この世にあるまじき咆吼……!!
和んでいた五人だったが、一瞬にして緊張感を高める!
「一体何だ!?」
「この声……前回のボムマウスにも似た……?」
「っていう事は~?」
ザン!!
五人の後方に、巨大な影が突如出現する!
それは、哀れなほど姿を変え、禍々しくも巨大に成長した、ストロングブルだったであろう生き物だった。
その生き物は、ひとしきり吠えた後、ゆっくりと歩を進め、そして目の前の山を薙ぎ倒した!
どがっしゃぁぁぁぁ!!
山が形を一瞬にして失い、土砂となって辺りに散らばっていく。そしてまた別な山へと手を伸ばそうとしている!
「このままじゃいけない! アースを呼ぼう!」
「「おう!!」」
全員がクリスタルに向かって叫ぶ!!
「「アース、大・召・還!!」」
叫び声とともに、巨大な空間の歪みが現れ、割れる!その隙間から嫋やかな指が、腕が、肩が体が現れる。我らがアースの登場だ!!
「行くぞ! みんな!」
「待ッテクレ! レッド!」
勢いづいたレッドをブラックが遮る。普段なら絶対にあり得ない事だけに、レッドは驚きながらも聞き返す。
「ど、どうした?」
「コイツハ俺ガ倒ス……俺、誰ヨリ力ガ強イ……」
「し、しかしブラック……」
「頼ム!」
ブラックの懇願。メンバーの誰もが、こんな姿を見た事がなかった。それほどまでに彼は真剣なのだ。
やがてグリーンが口を開く。
「いいじゃないですか。あの馬鹿力を止めるのに、ブラックのパワーは最適な人材です」
それに賛同するみんな。
「そうよ~」
「確かにな……」
「……分かった、ブラック。頼んだぞ!」
アースの主導権がレッドからブラックへ入れ替わる。アースは若干そのフォルムを変え、レッドの体型からブラックの体型へと変化した!
「アリガトウ、ミンナ……!」
喜びがブラックの心中に広がる。が、そうそう浸ってもいられない。目の前には巨大な敵がいるのだ。
「コッチヲ向ケ!!」
ブラックの声に反応し、振り返るブル。知性の色など欠片も見えない瞳は、アースを敵と認識したようだ。敵意を剥き出しに構える!
「ソウダ! オ前ノ敵ハ俺ダ! 来イ!」
う゛ぉぉぉぉぉぉぉぉおおお!!
地を震わす咆吼。そして、突進!
「ムゥォォオオオオオオ!!」
ガシィッ!
それを正面から受け止める!凄まじい衝撃がアースの体を走る!
「うわぁぁぁぁ~~!!」「きゃぁぁぁぁぁ!!」「くっっっっっ!!」
それぞれが悲鳴を上げる!が、ブラックは歯を食いしばり、筋肉を隅々まで全て活動させ、止める事に専念する!
ブルはアースが受け止めてもなお突進を止めず、アースはどんなに踏ん張っていてもじりじりと後ろへと追いやられてしまう!
――この自然を、守らなくては!!
「ウォォォォォォーー!!」
ブラックの気合い一閃、ブルとアースの力は拮抗し、ぴたりと動かなくなった。
「マグマヨ! 俺ニ今一度力ヲ貸シテクレ!!」
ブラックが叫ぶと、突然地面に亀裂が走り、そこから勢いよくマグマが吹き出す!その先にあるのは……
「ギャァァァァァァァァァ!!!??」
ブルの角だった!マグマはブルの角にひとしきりかかった後、一瞬にして固まってしまった!
「アリガトウ……地球ヨ……」
小さく呟くと、アースは角を放し、必殺の間合いへと入る。
その間ブルは何とか動こうと抵抗を試みるも、頭は冷えたマグマに固定されており、叶う事はなかった。
「地球ニ仇ナスモノヨ……地球ニ還ルガイイ!! 唸レ右腕!!」
キィィィィィィィン!!
ブラックの叫びに呼応して、アース全体から回路が回るような音が響き渡る!右腕全体がオレンジ色に光りだし、アースの足の関節からは地面に無数の管状の物がいくつも伸びる!
「必ィィィィィィ殺ッッッッッッッ!!」
ブラックの叫びと共に、アースは身を捻りながらしゃがむ。そして!
「「グラァァァァァァン・シーーーーーーードォォォォォォォ!!!」」
全員の叫び声と共に、右手をストロングブルの鳩尾目がけ、突き上げる!
ドスッッ!!
う゛おおぉぉおおぉぉおおおおぉぉ!!
ブルの断末魔が響き渡る!そしてそのままブルの巨体を持ち上げる!
「消エテ……無クナレェェェェェェェェ!!!」
咆吼一閃、右手に触れてる場所から、ブルの体が光になり、アースの体へ溶け込んでいく。やがて足の管を通じて大地に還元されていく……
光が大地に溶け込むにつれ、戦いで傷ついた自然は、元通りに戻っていった。
末路、ストロングブルの最期であった。




