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環境戦隊ガドガイアー  作者: 黒井羊太
第一話「登場!地球の環境は俺たちが守る!」
2/33

初出動!だが……

 仙台某所。五人の姿が急に現れる!

 春の暖かい陽気が、何とも優しい。轟火は、転送装置を使って来るたびに、やはり地球は素晴らしい、と実感するのだ。

「到着~っとぉ♪」

 う~ん、と体を伸ばしながらみうが言う。その後ろをやれやれ、と言った感じで隼人が歩く。

「さて……どうしましょうか、リーダー?」

光月が轟火に問いかける。

「一人で行動するのは危険だ。二人の班と三人の班に分かれて、町中を調査しようと思う」

「あぁ、それでいいんじゃないか?」

 すぐに賛同してくれたのは隼人だ。他のメンバーも言葉には出さないが、皆一様に一つ頷いた。

「よし!じゃあ、俺とマキシム、それから みう、隼人、光月先生の二班で行動しよう。何かあったら必ずすぐに連絡するように!」

「はぁい♪」「わかった」「分かりました」「おう」

「では、調査開始!」

 二手に分かれて走り出す五人。足取り軽く、彼らの歴史は始まった。


 周囲の聞き込みを始めた轟火とマキシム。しかし手掛りといえるような証言は何一つなく、時間だけが無情に過ぎていった。

「……戻ろう……」

 マキシムが静かに言う。

「そうだな……向こうは何か手掛りを掴めたかも知れないし……よし! いったんみんなと合流しよう!」

 皆に連絡し、元の場所に戻ることにした。軽かった足取りも自然と重くなる。


 最初に別れた地点に、5人は再び集まっていた。日は傾き、町は一面オレンジ色に包まれている。

 轟火が3人に尋ねる。

「何か見つかったか?」

 光月が溜息交じりに答える。 

「いえ、残念ですが有力な情報は何も……」

 そこへ大きな胸を揺らしながらみうが言った。 

「ねぇ……思ったんだけどさ……」

 何でこう……無駄に悩ましげなんだろう、などと考えながらその真意を尋ねてみる。

「何だ?」

「……ゴメン、何でもないや♪」

 エヘッっと舌を出し照れくさそうに答えた。

「おぅい!!」

 こういう仕草も可愛いなぁ…とか思いつつ突っ込みを入れる轟火。

「まぁまぁ」

 どこか初々しさを感じさせる二人の姿を可愛いと思いつつ一言先生。

「……ご、轟火……」

 何かを言いかけるマキシム。

 そんなメンバーを横目に

「お前ら……基地に戻るぞ」

と、拳を握り閉め、やや怒り気味の隼人に言われ、一同は基地へ帰還することにした。



 基地に戻り、轟火が一人でオペレーションルームに入るとそれを待ちかまえていたみうが声を掛けてきた。

「あ、ねぇねぇ。ちょっといい?」

「なんだ?」

 グッと近づき一言。同じ隊員としてそれなりに一緒に行動しているが、こういう無防備さには未だに慣れない。

「やっぱり気になっちゃって」

 みうの胸を強調したポーズにドキッとする轟火。

「どぅしたぁ?」

 平静を保とうとするが思わず声が裏返る。気恥ずかしさを覚えたが、みうはてんで気にする様子ではないようだ。少しほっとした。

「気付いたんだけどさぁ……この爆発の順番、どぉ~も納得いかないんだよねぇ」

「?」

「オペ子ちゃ~ん! 地図出して貰っていい?」

「誰がオペ子ちゃんよ。今出すわ」

 誰もいないと思っていたオペレーションルームにもう一人の女性、オペ子ちゃんこと元村(もとむら) 美弥希(みやき)が返事をする。眼鏡、ポニーテールの他に、これと言った特徴のない、地味な娘だ。冷めたツッコミを入れながらも仕事をこなしてくれるのは、長い付き合いの中でみうがどんな人間か熟知しているからだろう。

「なんだいたのかよ……」

 轟火の呟きに返事もせず、オペ子がコンソールをパチパチと叩いて、ミーティングルームの中央に鎮座している机の上に画像を展開する。出したのはバッテンが書き込まれた仙台市の地図だ。

「オペ子ちゃん、ありがと♪でね、ここがまず最初に起きた地点よね。それから、次がここで次がここ……」

「ふむふむ……」

 バッテン同士を線で結んでいく。すると……!

「……特に形にはならないけどね」

「おいおい……」

「あ、いや、問題はそこじゃなくてねぇ」

 轟火に突っ込む暇を与えず言葉を続ける。

「え~と……オペ子ちゃん、この地点とこの地点、走った場合のタイムって出せる?」

「ちょっと待ってね、やってみるわ……」

 再びコンソールを叩き出す。パチパチパチ…と静かな空間にしばらく響いた後、

「出来たわ。今そっちの地図に反映するわ」

と、眼鏡をクイッとあげながらオペ子は操作を終わらせた。

 地点と地点の間に、タイムが現れる。それを見て、みうがう~んと一つ呻る。

「やっぱりねぇ……」

「どうした?」

 轟火には何が見て取れるのか分からなかった。

「え~とねぇ。ほらこれ、見ると分かると思うんだけど、綺麗に走ったタイムと爆発のタイミングが一致するのよ」

言われてみれば……あぁ、確かにそうだ。しかしこれがどんな発見なのか、轟火にはまだ理解できない。

「どういう事だ?」

 轟火の質問に、待ってましたとばかりに声を大に叫ぶ!

「つまりね!これ……たった一人の犯行なの!!」

 ばぁぁぁぁん!!とドヤ顔を決めるみう!

「そ……」

 ポカーンとした轟火の口から、辛うじて言葉が漏れる。言葉を続けるには後10秒程要した。

 オペ子は、こういう突拍子もない言葉には慣れているのか、大して動じていない。パチパチとコンソールをまたいじり始めた。

「……ンな訳あるか!これほどの犯行……たった一人で出来るのか!?」

 ようやく言葉の続きを絶叫する轟火。しかしみうはそれに動じない。

「あら、この犯行は一人の手によるものではない、という確証も無いわよぉ? ……まあ、あくまで可能性としてだけどね。もし一人の犯行だとすれば、それほど大規模な範囲で爆破が行われることは無いし、大規模なテロって線も無さそうよねぇ……」

 みうの神妙な面持ち、これは真剣だ。

「じゃ、じゃぁ、例えばだ。それが本当だったとして、次に狙われる地点が予測できるか?」

 次の地点が今回のそれと果たして関係あるのか?そもそも次回なんてあるのか?そんな疑問を抱えたまま、轟火が無茶フリをしてみる。が、みうは平然とした態度で言葉を発した。

「うん。このまま行くなら……オペ子ちゃん?」

「はいはい。分かってるわよ」

 面倒くさそうに返事をしながら、オペ子は素早くエンターキー。すると地図に新たなバッテンが浮かび上がる……!

 そのバッテンがあるところは…富沢駅から少し北へ行った、河原町駅周辺!

「そんなところを爆破するのか?」

 轟火は少し呆れた。バッテンが示した地点は、確かにそれなりに人が住んではいるが、それほど人的被害は出ないだろう。果たしてそんな所を狙うだろうか?

「何か根拠があるのか?」

 みうは少し表情を曇らせ、人差し指を顎に当てながら

「ん~と……あんまりないや」

 ガクッと力が抜ける轟火。

「無いのか……それを信じて隊を動かすのは若干……」

「でも、この辺だと思うんだよね~……」

 しぶとく粘るみう。しかし轟火はリーダーとして、勘で隊を動かし、町を危険に貶めるわけには行かないのだ。

「とにかく! 今回爆破された地点を中心に警戒を強めよう! また狙われるかもしれないんだ!」

 轟火はそう言い切って、会話を終らせた。みうは、少しぶーたれた顔で、オペ子にその後しばらく愚痴っていた。




 翌日、最悪の形でみうの予想が的中してしまう。通信で、河原町駅と周辺のゴミ置き場が爆破されたという情報が入ったのだ。慌てて出動したものの、最早後の祭り。

 ニ度目の爆破は、防ぐ事が出来なかった。

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