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環境戦隊ガドガイアー  作者: 黒井羊太
第三話「絶対守護!優しきマキシムの叫び!」
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事件発生!そして解決……?

新たな事件の予感がガドガイアーの前に!

 太白山。仙台市の南部に存在する、標高320m程度の小さな山だ。そこには都会にはない自然が溢れている。

 かといって田舎にある訳ではない。ちょっと足を伸ばした先に、その山はある。

 今日もハイキングを楽しむ観光客で賑わっていた。


「いやぁ~! 春だけど暑いなぁ!」

 玉のような汗を額に輝かせ、おじさんが言う。去年定年を迎え、自分が無趣味である事に気付き……あ、ここからこのおじさんの半生について少し書きますが、読まなくても支障ありませんよ?

 自分が無趣味である事に気付き、愕然としたこのおじさん。どうしようもなく不器用で、趣味といえるような趣味がなかったのだ。周りからは「真面目だけが取り柄」などと言われ、家庭内でも「真面目馬鹿」などと笑われ、怒りながらも事実故に否定できない日々を送っていた。そしてその怒りを仕事にぶつける日々。仕事は順調だった。周りの誰からも一目置かれるようになり、自身も天狗になっていた。が、退職してみればそれだけだったのである。残ったのは何もない自分だけ。大いに焦る。何か無いかと焦っていた時に出会ったのが登山だったのだ。たまたま太白山の近くを通った際に、楽しげに登っていく登山客を見て、「こいつら山に登って何が楽しいんだか」と鼻で笑うつもりで登ってやろうと思ったのだ。そして意外にきつかった。ヒィヒィ言いながら頂にたどり着けば仙台一望。鳥肌が立った。六十年間見慣れたはずの、見た事もない自分の町の顔。夕映えするその顔は、高校時代に一目惚れしたあの子の横顔のようだった。そして日が落ちる前に山を下りたが、心洗われたおじさんには、見る物全てが美しかった。「登山って楽しい!」心底思った。以来、登山に夢中なのだ。おじさんの半生終了。

 で、そのおじさん、いつも慣れた道を歩く。そこにたまたま、見た事のない蝶々が飛んでいた。

「おっ!? 何だあの蝶々は!?」

 気になったおじさんは、ガサガサと藪を掻き分け、道無き道を進んでいった。


 そして、行方不明になった。


「諸君、既に知っている事だとは思うが、最近太白山の登山客が行方不明になる事件が多発している」

 長官が振り返りながらみんなに言った。みんなの顔に緊張が走る。そんな中、続報を知っている轟火が口を開く。

「も、勿論知っています。しかし長官! その後全員下山してきているのも事実! 解決してしまっているのではないでしょうか?」

 そうなのだ。前述のおじさんを含め、行方不明になった登山客は全員自力で、その間にあった出来事を忘れているが、何事もなかったように降りてきているのだ。つまり解決済み。

「そうなんだ。だがそれが引っかかる。事件性が低い故、大きく扱われないが……何か引っかかるのだ。……轟火君、君の気持ちも分からないでもないが、やはり心のどこかに止めて置いて欲しいのだよ。日常生活の中でも、この事件を念頭に置いて行動して貰いたい」

「「了解!!」」

 ビシッと敬礼して、今回の会議は解散した。



 ガイアーブラックことマキシム・ガルスキー・Jr.は、山をこよなく愛している。何故なら、山には他にはないエネルギーがあるからだ。週末などには良く山へ登り、エネルギーを貰って次の週の活力にしているのだ。

 特に太白山は、最も近所で、手軽にハイキングできる(もちろん山を舐めてはいけない。山は恐ろしい場所でもある)山なので、頻繁に出かけていた。加えて、太白山は休火山とはいえ、元々吹き上がるマグマをその内に秘めた山なのだ。だから凄まじいエネルギーを体感できる。そう言った意味でも、マキシムはこの山をこよなく愛していた。

 その山で、人が消えては出てくる事件が多発している。以来、太白山は怖い場所、というレッテルを貼られ、とかく敬遠されがちになっている。その状況が、とても悲しかった。

 だから自分がなるべく多く通って市民が事件に遭わないよう、また、事件を解決できるよう頑張っていこう、と思ったのだ。


行方不明は確かに問題、だが全員戻ってきている。カリメアは関係ないのか……?

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