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世界変化

…二十年後…


都市は廃墟と化し、海は干上がり、人々の生きていけるような世界ではなくなっていた…。


ということはなく、世界の地形の変動こそあったが、昔と変わらない生活を人々は過ごしていた。

いや、昔と変わった所が一つだけあった。

あらゆるものに、足りない部分が出来ていた。

エネルギーを変換する機械のない乗り物、資源を必要としない発電所、電気のない大都市。

しかし、全く機能しなさそうな物達は動いていた。

そして、そういう物達の周りにはある共有点を持つ人達がいた。

その共有点は、誰しもが若いということ。

そして、足りない部分を補っているということだった。

これは、神の贈り物による影響だった。


神が人々を守るため、人々に与えた贈り物は、神の力である「能力」を分け与えることだった。

人々が、「能力」に気づいたのは化け物によって多くの命がなくなっていく最中だった。

そして、それは少ない数、限られた地域ではなく、世界中で多く発見された。さらに、発見場所はほぼ全て病院だった。

何故なら、「能力」を与えられた人々は全て、産まれたばかりの新生児だったからだ。


神が消えて数秒後、初めての能力者が誕生した。しかし、同時に世界中がパニックになり、能力者の存在が知られるのは少し後になってしまう。

最初に気づいたのは、オーストラリアのとある夫婦だった。彼らは、中々子宝に恵まれず、やっと子供が産まれた時に世界が変わってしまい気落ちしていた。

そんな彼らの希望が、産まれたばかりの子供だった。

ある日、夫が家に帰ってくると妻が出迎え、一緒に子供を見に行くと…


子供が燃えていた。


夫婦が慌て火を消すと、そこには無事な子供の姿があった。

何故なら子供は、自分で火をまとっていたからだ。

この日以来、世界中であらゆる能力者が発見された。

そして、20年後の今、能力者の数は10億を超えていた。

大人達は、能力者達を化け物と戦う戦力として、または「能力」をエネルギーに変換するために利用していた。

エネルギーの変換には、「変換所」を設け、戦力はスカウトと志願を募って集めていた。

能力者が、二つの役職に分けられているのは、戦える能力者と戦えない能力者がいるからだった。

例えば、同じ火の「能力」を持つものでも、軽い火傷をする程度の火力を出すものと、町を焼き切る程の火力を持つものがいたらどちらを戦わせるだろうか?

当然強い方だろう。

弱い方を戦わせないのは、単純に危ないからだ。

大人達は、能力者達にこの能力の強さを分かる機械を付けて、能力者を分けていた。

弱くて戦えないものはエネルギーの変換に、そして強くて戦えるものは化け物と戦う戦力に。

だが決して、この役職分けが絶対ではなかった。

稀に弱い能力者として生まれ、化け物と戦えるものがいたからだ。

そして、弱い能力者の中には化け物と戦えることを認めてもらうために試験を受けるものも少なくはなかった。

化け物と戦い、死ぬかもしれないのに志願者が多かったのには理由があった。

理由は単純に、世界を救うこと。

子供の頃に描くヒーローへの憧れだった。

しかし、憧れで合格できるほど試験は甘くなかった。人の生死を左右することなので、採点はとても厳しく、合格率は少数点を切っていた。

そんな試験を受けるべくして試験会場の門をくぐった一人の少年がいた。

ただし、外から中にではなく、中から外にだったが……。


裏音は、空を見上げていた。

空は裏音の心の様に曇っていた。

そして、

「はあぁぁぁ………。」

裏音の口からため息がこぼれる。

「また落ちたか…。」

言っても仕方ないことだが言わずにはいられなかった。

「……はは。これで30回目か…」

なんでこんな試験受けてるんだろう?

受付の人も最初は優しかったけど、段々「またお前かよ」みたいな目で無言で対応されるし。最近じゃ完全に哀れみの目で見られている。

「やっぱり、向いてないのかな……?」

そんな俺に話しかける人物が1人。

「珍しいな。めげない、しょげない、諦めないが信条みたいな裏音がそんなこと言うなんて」

「なんだ、いたのか…」

話しかけた人物は、二宮春紀。俺の友達だ。

「なんだよ、親友に向かってその態度は」

春紀が、肩をすくめて戯けたように言う。

「俺はお前のことを親友と思ったことなんてないよ」

「酷いな……。いや、まさか俺はお前の親友以上の存在だということか⁉︎」

「それはない」


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