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異世界と俺と黒猫。  作者: こんにゃく
3/3

第2話 異世界に落ちたはいいけど…(よくない)

ここは何処か?という俺の質問の答えは案外近くに立っている看板にあった。

「…ここは人類最弱の国と言われているノーマリアという国にゃ」

「ふぅん…人類最弱ねぇ」

なんだかんだ黒猫についてきてしまったが、こいつの帰りを待つより自分で出向いた方が良かったかもしれない。人類最弱…俺には相応しくない場所だ。早くここを出たいところだ。

「取り敢えず、この国を出ないか?俺に最弱など相応しくない」

「やれやれ…。仕方ないにゃ」

「で、どうやれば違う国に行けるんだ?」

「…」

「おい、黒猫」

「わ、わからないにゃ…」

やれやれ、はこっちのセリフだ。神なのに地図が把握出来ていないのか。

「仕方ない。地図を探しに行くぞ」


で、どこに行けばいいんだ…?


「君も人のこと言えないにゃ。地図は店に売ってるにゃ。店を探しに行くにゃ」

「うむ、わかった」

こいつの命令を聞くのは悠珠の姿をしているからだ。猫の姿なら言うことなど聞かない。


✱✱✱

「おい、黒猫よ」

「何にゃ?」

「暫く歩いてこの店を見つけたはいいが…」

次の言葉を待っているようだから言ってやろう。俺は衝撃の事実に気づいたのだ。

「金が無いのだが…?」

「にゃっ!?」

かなり初歩的なミスをしてしまった。俺としたことが…。

「この世界では金はどのようにして手に入れるんだ?早く金を稼ぎ、地図を買いたいのだが」

「そうにゃねぇ…モンスターを倒したり、クエストをクリアしたり、アルバイトしたりにゃね」

「アルバイト、これは却下だ。この俺が人の下について働くなど問答無用だ。有り得ん。モンスターを倒すか、クエストをクリアするしかないようだな」

「勝手に選択肢を減らさないで欲しいにゃ…」

とは言われたものの、アルバイトは嫌だからどうしようもない。

「クエストはどこで受けるのだ?」

「ギルドってとこね。まぁ、言ってしまえば酒場のようなもので、そこに冒険者たちが集って、パーティーメンバーを探したり…」

「パーティー?そんなもの組まずとも俺一人でいけるさ。ギルドってことに行くのも面倒だし、モンスターの討伐に決まりだな。」

「えっ」

「さぁ、黒猫よ!行くぞ!」

「ええぇぇぇえ!?待ってってばぁぁ!!」

俺を静止する声など聞こえん。自分の思った通りに突き進むのが一番だ。何故かって?俺の考えがいつも最良だからに決まっている。


✱✱✱

モンスターは町の外にいるらしい。町、と言ってもここは人が少なく、ド田舎といった感じだが。

また暫く歩いて町に出る。気づかなかったが、町の外周には木で造られた柵があった。モンスターとやらを寄せ付けないためか先端が鋭く尖っている。

「ふむ。このあたりにモンスターがいるのか」

「そうだと思うにゃ」

「なんだその曖昧な返事は…」

この世界の神がこのような有り様じゃ、この旅には不安しかない…。早く終わらせて本物の悠珠に会いたい。

町の外は一面草原で、暖かな日差しの下に芝生のような長さの草が生えている。所々には花も見受けられる。なんだ、日本と大差ないな。日本はこのような自然が減っていると言われているが。

「私は春が好きにゃ。暖かいし、とても過ごしやすいにゃ」

「この世界にも四季はあるんだな」

「あるにゃよ。君の住んでいた日本と同じようににゃ。今は春にゃ」

「へぇ…。で、猫って冬が好きなイメージがあるのだが。お前は違うのか」

「猫じゃなくて神様にゃ!」

「あっそ」

そんなやり取りをしていたら、ぴょこぴょこと愉快な音を立てて饅頭のような青い物体が跳ねてきた。因みに、大きさはというと、人の頭二個分くらいだった。

「えっ、怖。なんだこれ!」

「これがモンスターよ!最下級モンスターブルースライム!…だと思うにゃ」

「スライムといえば、最弱キャラって決まってるはずだろ…!?実際目の前にすると怖いもんだな…」

結構本音を言ってしまった…

スライムってこんな怖いのか…

「とにかく、こいつらを倒すのにゃ!」

「倒すってどうやって!?」

「そ、それは…」

と言って言葉に詰まる黒猫。

え、ひょっとしてこんな雑魚キャラ風情(実際は怖い)を俺とあろうものが倒せない…のか!?

「武器も持ってないし、逃げるしかないにゃ!」

「えええええええええええ!?」

異世界に来たのに現実は残酷だということを思い知らされる俺であった。武器を手に入れねば…

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