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3話


 アレから、俺は気絶した…で良いんだよな?


 今度は黒い空間にいました。のおおぉぉぉぉぉ!!白の次は(三年くらいたってるけど)黒ってなんなんだよ!?

 同じ色の空間にいるの苦手なんだよ…。気分が悪くなる……。もう軽くトラウマかもしれない。

 周りは真っ暗で、自分の顔を見ることも出来ないくらい暗い。これは白い空間よりもたちが悪いかもしれない。

 白い空間のときは新しい世界に生まれ変わった(?)のだから、この黒い空間にあにかあるのでは、と疑ってかかっても良いだろう。

 動き回るのはのはあまりよくないな。白い空間では体力がすぐなくなった気がするし……。まずは、座るか……。

 手を床につけたとき、違和感を感じた。床は若干冷たかった。けど床が問題なんじゃない。手、本体に違和感を感じた。手のひらを重ねてみると少しごつごつとした感触がした。

 これは、(今の俺=三歳の)子供の手じゃない。

 手の甲から肩にかけて摩ってみると長い。少なくとも3歳の時の体よりも長い。

 顔の頬を触ると少し張りがある。3歳時の肌はこんなんじゃない、もっと…ぷにぷにしてる?

 

「何なんだ…一体」


 口から発した声はあたりに響いて吸い込まれるように消えていった。

 声が跳ね返ってこないあたりから、この周りに壁などの遮るものがないと感じた。


「ぐっ…っあ……!!」


 いきなり、頭に激痛が走った。頭がかち割られるんじゃないかってくらいいてぇっ!!

 痛みと良く分からない恐怖で地面をのたうちまわる。痛みに耐えるために歯を食いしばって耐える。

 痛みが除所に静まって行き、暗い空間には俺の荒い息だけが聞こえる。


「はぁ…はぁ……っ…はぁ」


 頭がぼーっとする。先ほどまで見えなかったものが視界に入りこむ。

 それは何とも幻想的な、青白い淡い光りをおびた黒く大きな石…サイズ的に岩かもしれないが、それが現れていた。

 それは何とも神秘的で、触れることすら許さないとでも言うように佇んでいる。

 重い身体を起こしその大きな黒い石(岩)に近づく。近くで見ると黒い宝石、と感じる。大きさは…2m位あるんじゃなか?


「白い空間の時はこんなんなかったぞ…」


 怪しい、如何にも何か有りますよ的なこの石の存在がウザイ。

 しかし、真っ暗で発光してる石以外何も見えない。ライトでもあったら良いのに。ガチャンと音がして、音の方を振り向いた。

 黒い個体から黄色い閃光が伸びている。 

 その黄色い線が延びているところまで走り、掴む。手の中でくるくる回して


「これ懐中電灯かっ!!」


 え、なんでこれがココに?確かにライトが欲しいって思ったけど…。あれ?ということは……


「あたりが照らせる大きいライトが欲しい」


 すると、ガチャンとさっきより大きな音がしてそっちを振り向く。

 あかるっ!まぶしっ!目がぁぁ!!光りに背を向ける。この明るさだったら、撮影用ライト位の明るさ何んじゃないか?うっすらと瞼を開け、自分の手を眺める。

 骨が出っぱて、少しごつごつしている。松がいなくコレは三歳児の手じゃねぇ!


「ちょ、鏡を…下さい?」


 目の前にパリンと音がして鏡が割れる。えぇぇぇ!!あ、やり直しやり直し!!


「俺の手の中に、手鏡をくれ」


 すっと手の中に手鏡が現れる。ココまで来て言うのもアレだが、俺の予想じゃ、俺が欲しい物はほぼ手に入る…と思う。

 現れた手鏡で顔を覗く。鏡に映ったのは死んだときの俺の顔。


「お、俺じゃん!」


 うわぁぁ!懐かしい!俺じゃん!!……なら三歳の俺はどうしたんだ?

 今の俺が死んだときの姿なら3歳の(新しく生まれた)俺は何処にいるんだ?


「3歳の方の俺の今の状況が知りたい」


 と言うと、ガタンと音がして目の前にテレビが現れる。コレ薄型じゃねーか!(生まれ変わった時のテレビはブラウン管のテレビだったから)懐かしいわ。

 リモコンもあったので電源を付ける。




――――――――テレビ―――――――――


『れいくんが目を覚ませないの!!直人さん…れいくんが……!!』


『もう3日だ。流石に(れい)の体力がもたんだろう』


『そ、そんな……!!』


秋江(あきえ)、落ち着け。医者も手を出せないらしいから、魔術の回復専門科に相談した。そろそろ来るころだろう。秋江、とりあえず落ち着け。な?鈴は俺たちの息子だ。簡単に死ぬはずないだろ?お前が泣いていたら、鈴が目を覚ました時、悲しむだろ?』


『そ、そうよね……私が泣いていたら、れいくんに不快な思いさせちゃうわよね』


 鈴の両親は、鈴の眠っているベッドの前にたたずみ嘆いている。

 二人の息子は3日前から目を覚まさない。母親は病院へ連れて行ったが、原因不明で病院側は手を出せない状況らしい。

 彼らは科学医術を頼れないのなら、と魔法医術に相談した。

 

 コンコン、と病室のドアをノックする音が響く。


『岩瀬殿、回復専門科の者です。ご子息の御容体を身に参りました』


『あ、ありがたい』


 父親の直人は病室のドアを開き専門家の人間を部屋に招く。

 ツカツカと音を立てて病室の中へ入ってくる。


『おや……』


入って来た男は鈴を見るなりそう呟いた。


『どうなんでしょうか…!?私の息子に何か…!!まさか……!!』


『いえいえ。死にいたることはありませんよ。ただしこのままでの状態では危険でしょうが』


『どういう事ですか?我々に理解出来るように話してくれ』


『ご子息の魂はちゃんとココに存在しておられます。けれど、何らかの衝撃が魂におこり意志を閉ざしてしまっている状態です。このままではまず体力がもちません。魔法陣を駆使すればご子息の状態を維持することは可能です。ただしこのままですがね…。意識が戻り次第この魔法陣は破棄されます。』


『意識はいつ戻るのですか?』


『それは私も分かりません。けど、このままご子息の身体が朽ちるのを待つより良い方法だと思います』


『では、お願いします』


『直人さんっ!』


『秋江、落ち着け。鈴が死ぬよりもましだ』


『………』


 三人の間に沈黙が走る。

 男は眠っている鈴に手をかざし、魔法陣を発動し始めた。





―――――――――テレビEND―――――――――――――




え、ちょ、何これ?


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