巻の二覚後禅夏編、第六面:神は自らその大きさを測る
詩に曰く、風流の得物は自ら裁つべし
閨房にて真の才を発揮できぬなら、
小手先の技で愁いの種を蒔くのはおよしなさい。
闇の中、誰が潘安の美貌に気づこうか。
戦場にあって、子建の才覚は役に立たない。
迷える魂はすでに楚国へ帰ったというに、
重ねて問う、何ゆえ陽台にまで来たのかと。
生ある間に風流の得物を携えたいと望むなら、
その寸法は、自らの手で裁断せねばなるまい。
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賽崑崙の提案と未央生の野心
席に着くなり、賽崑崙はまず未央生に問いかけた。
「賢弟、近頃何か面白い巡り合わせはあったかね?」
未央生は、また厄介事を持ち込まれるのではないかと警戒し、「いいえ、何もございません」とだけ答えると、すぐさま話を切り返した。
「ところで長兄、先ほどお話しされていたご婦人ですが、どちらの家の方で? お住まいは、お歳は、そしてお姿はどのような塩梅なのでしょうか?」
「ふむ」と賽崑崙は応じた。「今、私が見立てたのは一人ではない。合わせて三人だ。ただし、賢弟が選べるのはそのうちの一人だけ。欲張ってすべてを望むでないぞ。それでは話がまとまらん」
(私が心に描いているのも三人。彼が口にしたのも三人。まさか、以前私が見初めたあの女たちではあるまいな? もしそうなら、一人を手に入れさえすれば、残りの二人も自ずと我が物になる。彼の助けなどなくとも)
未央生は胸中でそう算段し、口ではこう答えた。
「とんでもない! 一人でも身に余るほどです。どうしてそのような貪欲な真似ができましょうか」
「よろしい。ならば聞くが、賢弟は豊満な女人を好むか、それとも華奢な女人を好むか?」
「女人の肉体というものは、豊かには豊かの妙があり、華奢には華奢の妙がございます。されど、豊かすぎて衣が窮屈なのも興醒めですし、華奢すぎて骨ばっているのも物寂しい。要は、その肉付きが頃合いであることが肝要かと存じます」
「なるほど。それならば、三人とてお主の眼鏡にかなうだろう。ではもう一つ。風流を解する女人が好きか、それとも奥ゆかしく真面目な女人が好きか?」
「それは無論、風流な方に限ります。奥ゆかしいだけの女人を隣に寝かせても、何の趣もございません。むしろ一人寝の方がよほど清々いたします」
賽崑崙は首を横に振った。
「それならば、三人ともお主の望みとは合わんな」
「と、申しますと? なぜそのご婦人方が奥ゆかしいと分かるのです?」
「あの三人の女は、いずれも似た気風でな。容姿は申し分なく美しいのだが、『風流』という二文字の心得が、どうにも足りぬようだ」
「それならば問題ございません」と未央生は言った。「女の情愛や仕草というものは、男が教え導くもの。長兄にはありのままを申し上げますが、私の妻も嫁いできた当初は朴訥な娘でした。しかし、私が数日かけて手ほどきしたところ、今ではすっかり風流を解する女になりました。かの三人が美貌の持ち主であるならば、たとえ今は奥ゆかしくとも、私には彼女たちを変える術がございます」
試着:布一枚隔てた品定め
「それもよかろう」と賽崑崙は頷いた。「では、もう一つだけ問おう。一目見たらすぐにでも手にしたいか、それとも数ヶ月かけてゆっくりと口説き落としたいか?」
「長兄、包み隠さず申し上げます。私は日頃より情欲が極めて盛んで、三晩か五晩も女人の肌に触れねば、夢で精を漏らしてしまうほど。こうして家を離れて日も経ち、この昂りは焦れるばかり。美しき人に出会わなければどうにか耐えられますが、もし目の当たりにしてしまえば、自制心を保つのは難しいやもしれません」
「そういうことなら、他の二人はさておき、この一人に絞って話を進めよう。残る二人は富裕な家の女ゆえ、手に入れるには時がかかる。だが、この女は貧しい男の妻だ。それだけ事を運びやすい」
賽崑崙は語り始めた。
「この話をお前に持ちかけたのは、常に心の隅に留めていたからだ。女人に出会うたび、必ずや注意深く見定めてきた。ある日のこと、たまたま街を通りかかった折、戸口に座る一人の女を見かけた。戸の外には竹の簾が掛かっていてな。簾越しでは定かには見えぬが、彼女の顔には、まるで内側から光を放つ宝玉のように、艶やかな赤い光が射し、白い炎がゆらめいているかのようであった。全身の様子に目をやれば、あたかも簾の内側に一枚の美人画が掛かり、風に揺れているかのようだ。私はしばし、門の真向かいに立ち尽くした」
「すると、中から一人の男が出てきた。粗野で愚鈍な顔つきで、身なりはぼろぼろ。一束の絹を背負い、市へ売りに行くところだった。近所の人に尋ねると、男の姓は権といい、人が良いため皆から『正直者の権さん』と呼ばれている、と。あの女は、その妻だそうだ」
「簾越しでは物足りぬと思い、数日後、再びその門前を通った。彼女はまた、内に座している。そこで私は一計を案じ、簾をまくって中に飛び込み、彼女の夫に絹糸を買いに来たと偽ったのだ。彼女は、夫は留守だが絹なら家にあると言い、奥から品を出してきた。彼女が振り返って絹糸を取りに行く、その僅かな間に、私は見た。彼女の十本の指は蓮の芽のように瑞々しく、一対の小さな足は三寸にも満たぬほど。手足は確かめたが、衣の下の肌の色、肉付きまでは分からぬ」
「そこで、私はもう一つ策を講じた。彼女の棚にまだ一束の絹があるのを見て、『こちらの品は今ひとつだ。棚の上の絹も見せてはくれぬか』と頼んだ。彼女は心得たと応じ、手を伸ばして棚の品を取ろうとする。知っての通り、折は暑い盛りだ。彼女が纏うは薄い絹の単衣。手を上げた拍子に袖が肩までまくれ、両腕が余すところなく露わになったばかりか、胸の双つの乳房までもが、衣の下でかすかに揺らめいた。その肌はまさしく雪のように白く、磨かれた鏡のように光を放っていた。私がこれまで見てきた女の中で、これこそ随一の美しさよ」
「長らく手間をかけさせた手前、悪く思ってな。結局、一束の絹を買い求め、その場を辞した。……賢弟よ、この女人、欲しいか、欲しくないか?」
「そのようなお話を聞かされれば、まさしく十全の美女ではございませんか。欲しくないはずがございましょう! ただ問題は、いかにしてこの女にまみえ、そしていかにして手に入れるか、です」
「案ずるな、難しくはない」と賽崑崙は請け合った。「今すぐお前と共に銀子を携え、夫の留守を見計らって、先と同じ手管で絹糸を買いに行くのだ。お前の目に適うか否か、一目見れば決まるだろう。あの女は来る日も来る日も、あの無骨な夫と一緒で、情趣のかけらもない暮らしを送っている。そこへ突然、お前のような男が現れれば、心が動かぬわけがあるまい。お前が少し色めいた素振りを見せ、もし彼女がその場で怒りを示さぬようなら、私はすぐさま次の手を打つ。三日のうちには必ずものにできると保証しよう。もし生涯の伴侶としたいと望むなら、それもこの私に任せておけ」
貧富の法則と男の器量
「もしそれが叶うなら、感謝の言葉もございません」未央生は言った。「ただ一つ、お尋ねしたい。あなたは神出鬼没の計略を持ち、壁を飛び越える術さえお持ちです。天下に難しいことなどないはず。なのになぜ、この女人のことは易々と語るのに、他の二人の話はまるでなさらないのですか? 結局のところ、貧しい者は欺きやすく、裕福な家には手が出せぬと、そうお考えなのでは?」
「天下の習いとして、概ね貧者は欺きやすく、富者は手が出しにくいものだ。だがな、こと女を盗むという点においては、これが逆になる。富裕な家の方が与しやすく、貧しい家の方が厄介なのだ」
「と、申しますと?」
「裕福な家には必ずと言っていいほど複数の妻がいる。夫が一人の女と寝れば、必ず何人かが閨を空けることになる。『衣食足りて淫欲を思う』とは古からの言葉。彼女たちは満ち足りて、一日中を持て余し、ただ閨のことばかりを考えている。どうしようもなく悶々としているところへ、もし男が忍び込んできたら、むしろ願ったり叶ったりよ。どうして拒むことがあろうか。たとえ夫に見つかったとしても、役所に突き出せば、富裕な家の面目が潰れるのを恐れる。かといって夫婦もろとも手討ちにしようにも、あれほど美しい妻を捨てるのは惜しい。妻が惜しければ、間男だけを殺す理屈もない。結局、怒りを呑み込み、男に逃げ道を与えることになるのだ」
「だが、貧しい男の妻は一人きり。夜毎に夫と枕を並べている。女は飢えと寒さで身も心も疲れ果て、色めいた心など起きようもない。もし万が一、淫心が芽生え、男と事を起こしているところを夫に見つかったら、どうなるか。貧乏人は体面など気にせん。捕らえて役所に突き出すか、夫婦揃って斬り殺すか、そのどちらかだ。だからこそ、貧しい家は厄介で、富裕な家は欺きやすいのだ」
「それならば、今日あなたがご提案くださったことは、そのお話と矛盾しているではございませんか?」
「私の言動が矛盾しているのではない。ただ、この女人の家と、他の二つの家の事情が、ちょうど逆だということだ。ゆえに、この女は事を運びやすく、他の二人は手に入れ難い」
「私の心は、もうこの女に決まりました。ですが、差し支えなければ、他の二人のご婦人についてもお聞かせ願えませんか。長兄が私のために、どれほど心を砕いてくださったかを知りたいのです」
「他の二人は、一人が二十歳過ぎ、もう一人が十六、七。実家では従姉妹同士で、嫁ぎ先では義理の姉妹という間柄だ。夫の家は代々官吏の家系だが、彼女たちの夫は共に科挙を目指す秀才での。兄は臥雲生と号し、二十歳過ぎの女を娶って四、五年になる。弟は倚雲生と号し、十六、七の女を娶ってまだ三月も経っていない。二人の容姿は、先の絹売りの女と甲乙つけがたい。ただ、いささか奥ゆかしすぎるのが難点だ。閨の交わりにおいても身じろぎもせず、声も立てぬ。まるで悦びを知らぬかのようだ。女は貞淑で、夫は他に妻を持たず、夜は必ず共に過ごす。これでは計略を立てるのが難しい。お前が千の手、万の手を尽くして彼女たちの淫心を誘い出し、さらに夫の留守を待たねば手は出せぬ。これでは数ヶ月はかかるであろう? それに比べれば、絹売りの女は夫が常に家を空けるゆえ、事を運びやすいのだ」
その二人の女が、以前見かけた人物と似ている気がして、未央生はまだ諦めきれなかった。
「長兄のお考えはごもっともですが、見落としもあるのでは? その二人のご婦人が奥ゆかしく、淫心がないと仰るのは、きっと彼女たちの夫の、その……男としての器量が小さく、精力が続かぬため、快楽の何たるかを教えられていないからでしょう。もしこの私と出会えば、奥ゆかしい女もたちまち変わるやもしれません」
「私の見る限り、あの二人の男の器量も、決して小さくもなければ短くもない。ただ、並外れて大きく長い者に比べれば、少し劣るというだけだ。逆に問いたいが、お前の天賦の宝は、どれほどの太さで、どれほど長く続くのか。それを私に教えてくれれば、お前の力量が分かり、安心して事を任せられるのだが」
未央生は嬉々として言った。
「そのことでしたら、ご心配には及びません。私の男の証も精力も、人並み以上と自負しております。いかなる器量の大きな女人であろうと、必ずや酔い潰れるほど満足させてから席を立つ所存。決して、物足りなさを客に残すような無粋な真似はいたしません。満腹になった者を再び飢えさせ、酔った者を醒めさせるようなことは決して」
「結構なことだ。だが、少しばかりでいい、教えてはくれぬか。賢弟は普段、女と事を致すとき、およそどれくらい突き続ければ果てるのだ?」
未央生の実際の持ち時間は半刻(約十五分)ほどであったが、賽崑崙に事を運んでもらうため、少ないと答えては断られるのではないかと恐れ、あえて倍の時間を告げた。
「私の力は、たっぷりと一刻(約三十分)は持ちこたえられます!」
「それならば、ごく普通の精力であって、剛の者とは言えんな。夫婦の営みであれば、その腕前で十分だろう。だが、他人の家に忍び込み、城を奪い砦を陥とすような真似をするには、その程度の力では心もとないぞ」
「長兄、ご心配なく。私は先日、極上の春薬を手に入れました。今は相手がいないため、英雄が腕を振るう場を失っているようなものですが、いざ事を成す段になれば、それを塗る工夫ひとつで、持たぬということはございません」
「春薬は持続させることはできても、大きくすることはできん。もし元々、天賦の宝が太く大きい者が春薬を使えば、それは例えるなら、才気ある受験生が試験前に高麗人参などの補薬を飲み、試験場で倍の精神力を発揮して見事な文章を書き上げるようなものだ。だが、得物が細く小さい者が春薬を使っても、それは腹の中が空っぽの秀才が、試験前に補薬をどれだけ飲もうとも、結局何も書き出せぬのと同じことよ。今、私が問うているのは、その物の太さと長さだ」
「申し上げるまでもございません。ただ、小さくはないことだけは保証いたします」
賽崑崙は彼がはぐらかすのを見て、手を伸ばすと彼の袴の股間を掴み、無理やり見せようとした。未央生は必死に身をかわし、どうしても承知しない。
「それならば、私は断じてお前のために動くことはできん」と賽崑崙は言った。「もし無理に事を進め、万が一あの女が痛がって叫び出し、お前が乱暴を働いたなどと訴え出たらどうする。その時、面倒が起きて、かえって私が貴殿の邪魔をしたことになってしまう。そんな真似はできん」
彼の剣幕に押され、未央生は笑いながら言った。
「私の得物は、ご覧いただく価値もない代物ではございませんが、白日の下、友人の前で取り出すのは、いささか見苦しい。しかし、長兄がそこまでご心配なさるなら、この醜態を晒しましょう!」
彼は帯を解き、己の陽物を取り出すと、両手でそれを支え、賽崑崙に向かって何度か振って見せた。
「これが私の微々たる得物です。長兄、どうぞご覧ください」
賽崑崙は身を乗り出し、それを注意深く観察した。
本体は磨かれたように白く、先端は血の色に鮮やか。
根元には柔らかな草が茂り、皮下には微かな筋が透けて見える。
長さを測れば二寸(約六センチ)ほどか、重さを量れば三銭(約十一グラム)はあろうか。
十三の処女なら受け入れられよう、十四の若衆には最も喜ばれよう。
事に臨めば鉄のように硬いが、姿はまるで特大のマテ貝の干物。
事を終えれば弓のようにしなり、さながら極太の干し海老に似ていた。
賽崑崙はしばらくそれを見つめた後、何も言わなかった。未央生は、自分のものが立派なので彼が驚いているのだろうと思い、得意げに言った。
「これは萎えている時の姿。奮い立てば、まだ見どころがございます」
「萎えてこれなら、奮い立ってもたかが知れている。もうしまえ」
そう言うと、賽崑崙は思わず大声で笑い出した。
「賢弟よ、なぜ己の分量をわきまえんのだ。お前の得物は、人の三分の一にも満たぬではないか。それでまだ他人の妻を盗もうなどと! 私は最初、お前がしきりに女を求めているのを見て、さぞや誰もが度肝を抜くほどの剛の物を隠し持っているのだろうと思っていた。まさかそれが、せいぜい茂みの中を掻き回すのが関の山で、肝心要の働きはまるで期待できぬ『肉の孫の手』であったとはな」
「長兄、ありのままを申し上げますが、この私の卑小な得物も、さほど見栄えは致しませんが、かつては喝采を浴びたこともございます。まんざら役に立たぬ代物でもないはずです」
「喝采した者がいるとすれば、それはまだ蕾のままの処女か、まだ何も知らぬ子供であろう。彼らが見れば、当然、感嘆するだろう。その二種類の人を除けば、この私と同じく、お前の得物にお世辞を言う気にはなれまい」
「長兄が仰る通りだとすれば、まさか世の男の得物は、皆、私よりも大きいとでも?」
「この手のものを、私は千本以上は見てきた。お前のものほど『上品』なものは、二つとなかったぞ」
「他人のことはどうでもよいのです。ただ、かの三人の女たちの夫の腰の物は、私のものと比べてどうなのですか?」
「賢弟のものより、太さも長さも、一倍か二倍は大きい」
未央生は笑って言った。
「長兄の言葉が偽りであると分かりました。私に事を任せたくないがために、口実を設けておられるのでしょう。あの二人の男の物は、あなたが夜中に忍び込んでご覧になったのかもしれない。しかし、この絹売りの女の夫には、昼間に一度会ったきり、しかも本人には会っていない。どうして私の物より一、二倍も大きいと分かるのですか?」
「あの二人の男の物は、この目で見た。だが、この男のことは耳で聞いたのだ。私が最初に行った折、隣人に彼の名を知ったついでに、『あれほどの美人が、あの無骨な夫に嫁いで、夫婦仲は良いのか』と尋ねたのだ。すると隣人はこう言った。『夫の顔つきは粗野だが、幸いなことに張り合いのある得物を持っているから、夫婦仲は悪くない』と。私が『どれほどの大きさか』と重ねて問うと、『測ったことはないが、夏に彼が裸になると、あの物が袴の中でまるで打ち棒のように揺れ動いているのを見た。だから、彼の得物には張り合いがあると分かる』と言っていた。私が今日、お前に得物を見せろと頼んだのは、この話を聞いていたからだ。でなければ、理由もなく人の陽物を借りて見たりするものか」
これを聞き、彼の話が真実であると悟った未央生は、大いに興醒めした。しかし、それでもなお食い下がる。
「女が男と交わるのは、色欲ばかりではございません。その才能を愛でるか、その容貌を愛するかです。もし才能も容貌もなければ、技量に頼るしかない。私のこの二つは人並み以上ですから、あるいは彼女が才能と容貌に免じて、私を許してくれるやもしれません。長兄、どうぞ最後までこの件をお助けください。一つの欠点をもって長所を捨て、友の誼を途中で絶つようなことはなさらないでください」
「才能と容貌はな」と賽崑崙は諭した。「女を盗むための口実にすぎん。それは薬における生姜や棗のようなもの。ただその香りを借りて、薬の力を臓腑へと導くだけだ。一度、薬が導かれた後、病を治すのは薬の本体であって、生姜や棗はもはや何の役にも立たん」
「男が女を盗むには、才能と容貌がなければ閨に入ることはできん。だが、閨に入った後は、真の腕前が物を言うのだ。まさか、布団の中で相手の顔を褒めそやし、腹の上で詩を詠むわけではあるまい。もし得物が細く、精力が限られているなら、たとえ才能と容貌で誘い込んでも、一度か二度、相手を満足させられなければ、あの愛らしい女もそっぽを向くだろう。男が命懸けで女を盗むからには、心を通わせ、生涯を共にしたいと願うのが常だ。ただ一度や二度の快楽を貪るためだけに、これほど心血を注ぐものか。ましてや、女が夫に隠れて男と密通するのも、どれほどの警戒と恐怖を乗り越え、快楽を求めていることか」
「もし、わずかな満足も得られなければ、それはまるで雌鶏が雄鶏を受け入れるようなもので、体の芯が満たされぬうちに終わってしまう。彼女の一生の名節を傷つけるだけではないか。賢弟よ、私の言葉を悪く思うな。お前のような得物と精力の持ち主なら、自分の妻を邪な道から守るだけで手一杯のはずだ。それ以上、愚かな妄想を抱き、他人の女を汚してはならん。今日、この私が古くからの友として、体に合わせて衣を仕立てるように、分相応の助言ができて良かった。もし、長短を顧みず、手当たり次第に事を進め、衣が体より大きくなってしまったら、材料を無駄にするだけではない。『この度の企てに誠意がなかった。わざと手に余る女をあてがって、私を言い訳させたのだ』と、賢弟が私を責めることになりかねんからな。私の言葉は粗暴だが、どうか許してほしい」
彼の激しい言葉を聞き、もはや望みは叶わぬと悟った未央生は、返す言葉もなかった。賽崑崙はさらに幾度か慰めの言葉をかけると、立ち上がって席を辞した。未央生もまた、意気消沈して彼を見送るのだった。
作者曰く:いずれの議論にも、極めて精妙な比喩があり、読む者を感嘆させずにはおかない。「春薬は試験前の補薬である」「才能と容貌は薬の導き手である」といった類は、枚挙にいとまがない。これらは戯言のようでありながら、その実、至極の道理を内包している。作者の心には、一体どれほどの無数の孔が開いていて、ここまで玲瓏たる境地に達したのであろうか。
第六回の要約
色男で自信家の未央生は、「そろそろ新しいイイ女が欲しいな」とウズウズしています。そこに、裏社会の何でも屋で旧知の仲である賽崑崙がやってきて、「とっておきの物件が3人いるぜ」と美女を紹介する話を持ちかけます。
未央生が食いつくと、賽崑崙はまず一番手に入れやすそうな「貧乏な絹商人の美人妻」をプレゼンします。簾越しに見たオーラ、夫が留守がちな生活環境、そして計略をしかけて覗き見た純白の肌まで、その魅力を生々しく語り、未央生を完全にその気にさせます。
しかし、話が進むにつれ、賽崑崙は「お前、本当にこのミッションを遂行できるだけのスペックあるのか?」と核心に迫ります。閨での持続時間を尋ねられた未央生は、見栄を張って「30分はいけます!」と豪語(本当は15分)。
それでも疑う賽崑崙は、「口だけじゃ信用できん。モノを見せろ」と迫ります。散々渋った末、未央生は仕方なく自分の”得物”を披露します。
それを見た賽崑崙は、驚くどころか大爆笑。「なんだその『肉の孫の手』は! それじゃ人の奥さんの、しかもガチ勢の旦那がいる相手を満足させられるわけないだろ!」と、未央生の”資本”が圧倒的に不足していることを徹底的にダメ出しします。
未央生は「いや、俺にはルックスと才能があるから!」と食い下がりますが、賽崑崙は「見た目や才能なんて、女をベッドに誘うまでの呼び水に過ぎん。本番で勝負するのは、あくまで”モノ”そのものだ」と一刀両断。
結局、「お前のスペックじゃ無理。分相応に自分のお嫁さんだけ大事にしてろ」と、この話は完全にお流れになり、未央生はプライドをズタズタにされて茫然自失となるのでした。
この作品は単なる好色文学ではありません。その過激な性の描写の裏には、明代末期から清代初期という時代の価値観に対する、鋭い風刺と深い思想が隠されています。
1. 「才能」や「見た目」だけでは通用しないという現実主義
当時の物語の主流は、眉目秀麗で詩文の才に長けた「才子」が、その魅力だけで美しい「佳人」の心を射止めるという、ロマンティックな才子佳人小説でした。
しかし作者は、この第六回でそのお約束を木っ端微塵に破壊します。主人公の未央生は、まさにその「才子」の典型です。しかし、彼の自慢の才能や容姿は、「実戦」の場では何の役にも立たない「前戯」に過ぎないと断じられます。人間関係、特に男女の深い悦びにおいては、観念的な「才」や「美」よりも、生々しい「身体」という現実が支配するのだ、という冷徹なまでのリアリズムを突きつけているのです。
2. 己を知ることの重要性(仏教的・道教的テーマ)
章題の「神は自らそのサイズを測る」が象徴するように、この回の核心は「自己認識の欠如」に対する痛烈な批判です。未央生は自分の能力を過信し、大きな野望を抱きますが、客観的な物差し(賽崑崙の眼)で測られたとき、その「実寸」がいかに矮小であるかを思い知らされます。
これは、「汝自身を知れ」という普遍的なテーマであり、特に仏教や道教における「無知(慢心)」が苦しみの根源であるという思想に繋がります。自分の器量をわきまえず、分不相応な欲望を抱くことの愚かさを、これ以上なく滑稽かつ残酷に描いているのです。
3. 身体こそが根源であるという思想
儒教的な建前が支配する社会において、この作品は徹底して「身体」を物語の中心に据えます。特に男性器は、単なる性器ではなく、その人物の持つ根源的なエネルギー、生命力、そして社会で事を成すための「資本(作中では『本銭』)」のメタファーとして描かれます。
この資本がなければ、いくら上辺を取り繕っても何も成し遂げられない。これは、きれいごとでは済まされない人間の営みの本質を、性という最も分かりやすい形で暴き出した、一種の身体哲学と言えます。
4. 欲望の果てにある「空」を描く仏教寓話
作品全体のタイトル『肉蒲団』は、肉体を座禅の際に使う「座布団」に見立てた仏教的な言葉です。作者は、主人公が肉欲の限りを尽くし、その結果として壮絶な苦しみを味わい、最終的に欲望の虚しさを悟って出家するまでを描くことで、「欲望の追求という名の修行の果てには、”空”がある」という仏教的な教訓を示そうとしています。
この第六回は、その長い旅の始まりです。ここで主人公は最初の、そして最大の「挫折」を味わいます。この屈辱が、彼のさらなる異常な欲望への探求(性器の改造手術など)へと繋がり、物語を破滅的な結末へと導いていくのです。
作者は過激な性描写をフックとしながら、人間の根源的な欲望、自己認識の甘さ、そして理想と現実の残酷なギャップを暴き出し、最終的には仏教的な無常観へと読者を導こうとした、極めて思想的な作品であると言えます。




