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Episode.13-A~アウトプット=神~

前話:Episode.12-A

https://ncode.syosetu.com/n6562kv/90/

 放課後の教室は、いつもと少しだけ空気が違っていた。

 机が自由な配置に組み直され、数人ずつのグループに分かれてそれぞれがノートを広げている。ホワイトボードの前では竹下がチョークを握り、数式の解法を説明していた。


「xを左辺に移して、aを代入すれば……ここが答えになるわけ」

「なるほど、マイナスが消えるのか」


 そんなやり取りがあちこちで交わされていた。

 ――きっかけは、圭が放課後に竹下へ声をかけたことだった。

 竹下は同じ学年でもトップクラスの成績を持つ少年で、普段からクラスメイトに勉強を教えている姿をよく見かけていた。人当たりがよく、知識も分かりやすく伝えるタイプの“教えるのが上手い人間”だ。


「高嶺さんの勉強、ちょっと見てくれないかな」


 そう相談を持ちかけた時、竹下は快く頷いた。


「おっ、そういうことなら手伝うよ。俺も教える練習になるし」


 その会話を聞いていた森川が、すぐさま身を乗り出してくる。


「え、なにそれ。じゃあ俺も混ぜて! てか、せっかくだしみんなでやらね?」


 彼のその一言が、輪を広げた。

 声の大きな彼が呼びかければ、クラスの空気もすぐに活気づく。結局、十人以上の生徒が参加する小さな“勉強会”が教室で始まることになったのだった。



――――――



「ここはさ、まず動詞を過去形に変えるんだよ。覚えてる?」

「う……goの過去形……went?」

「正解。じゃあ次は?」


 雪那は竹下と女子二人に囲まれ、英語のプリントに取り組んでいた。教えられたことを必死に吸収しようとする姿勢は真剣で、だが、顔にはほとんど表情が浮かんでいない。

 その様子を圭は斜め後ろから見守っていた。

 (少しずつでも、前進してくれたらいい)

 そう思っていると、近くのグループから「ジュース買ってこようぜ」という声が上がる。


「俺、喉乾いたから買ってくるわ」

「じゃあ私も〜」


 数人が席を立ち、購買へと向かう。その流れに圭も続こうと腰を浮かしかける。


「……篠原君」


 呼び止められた。

 雪那だった。


「何か飲みたい?」

「……ううん。篠原君が、選んで」


 圭は一瞬、肩の力が抜けるような気がした。

 いつものパターン。だがそれはもう、嫌ではなかった。


「“何でもいい”っていうのが、一番困るんだけどな……」


 ぼやきながら、ポケットに小銭を入れ、廊下に出る。

 (とはいえ……何を買おうか)

 雪那に渡す飲み物。本人は気にしないだろうが、自分が選んだ“何か”が、彼女の手に渡る。

 それはつまり、些細だけど確かな「選択」の一つなのだ。


【選択肢1】:

 甘いフルーツジュース→14-Aへ

https://ncode.syosetu.com/n6562kv/107/


【選択肢2】:

 ほろ苦いブラックコーヒー→14-Bへ

https://ncode.syosetu.com/n6562kv/108/

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