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Episode.12-A~Youイママデドウヤッテシンキュウシテキタノ?~

前話:Episode.11-A

https://ncode.syosetu.com/n6562kv/79/

 梅雨の終わりを告げるように、蒸し暑さが日ごとに増していた。

 校舎の窓から入り込む風はぬるく、扇風機の音が静かな教室の背景音になっている。周囲の生徒たちは制服の袖をまくり、ネクタイを緩め、どこか浮ついた雰囲気を身にまとっていた。

 夏が、近づいていた。

 だが、それに浮かれてばかりもいられない。

 夏休み前――期末テストが目前に迫っていた。


「……高嶺さん、テスト勉強……どれくらいやってる?」


 放課後の教室。机を並べて軽く課題を片付けていた時、不意にそう尋ねると、雪那はいつものように少しだけ首を傾げた。


「勉強は……苦手」


 やっぱり、と思った。

 圭は思い返す。授業中、雪那はたびたび圭の方へ視線を向けてくる。内容を尋ねる声はごく小さく、ほとんど囁きに近いが、その頻度は少なくない。

 さらに小テストの最中、ふと横を見れば――雪那のペンは一度も動いていなかった。


「……今までどうしてたの?」

「……補修でいっぱい」


 答えは静かで、けれど重かった。

 彼女の表情に焦りはない。だがそれは、慣れのせいだ。苦手なことに対して、感じるべき焦燥すら鈍くなってしまっているのかもしれない。


「……じゃあさ、小テストの結果、見せてもらってもいい?」


 雪那は黙って鞄の中からプリントを数枚取り出した。そこには、見事なまでに真っ赤な答案が並んでいた。

 赤点どころか、白紙に近いものもある。

 ため息混じりに圭はひとつ問題を口に出してみた。


「……“鎌倉幕府が成立した年号は?”」


 雪那はほんの少し目を上げ、真剣な顔で言った。


「……せん……はっぴゃく……ごじゅう……いち?」

「惜しくもないよ」


 冗談めかして言ったものの、内心では危機感が高まっていた。

(このままだと……)

 圭の通う学校では、テストで赤点を取ると、基準点に達するまで補修が続く仕組みになっている。しかも、それが夏休み期間中にまで食い込む。補修の長さによっては、夏休みそのものが潰れてしまう生徒も少なくなかった。

 (……まずいな)

 雪那にとって、“選択”は常に圭に委ねられるものだった。

 ならば、今この状況において彼女が補修漬けの夏を送るかどうかも――圭にかかっている。


「一緒に、勉強しよう」


 そう提案すると、雪那は少しだけ首を傾けて、すぐに頷いた。


「……分かった」


 だが――すぐに圭は悟る。

 これは、一筋縄ではいかない。

 数学の基礎問題を出しても答えは飛び抜けておかしいし、歴史の年代もぐちゃぐちゃ。英単語は読み方すら危うい。

 (……これは、予想以上だ)

 圭一人の力では、どうにもならないかもしれない。

 だったら、選ぶべきは――


【選択肢1】:

 クラスメイトの力を借りる→13-Aへ

https://ncode.syosetu.com/n6562kv/98/


【選択肢2】:

 見知った仲間(結菜や凛)と勉強する→13-Bへ

https://ncode.syosetu.com/n6562kv/99/

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