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Episode.11-I~カフェは本当に集中できる場所なのでしょうか~

前話:Episode.10-G

https://ncode.syosetu.com/n6562kv/76/

 放課後。

 駅前にある小さなカフェの隅、三人分のドリンクと勉強道具が並ぶテーブルがひとつ。

 その上には教科書とノート、色とりどりの付箋紙がまるで花のように散らばっていた。


「わー、カフェで勉強って、ちょっと憧れてたんだよね〜」


 凛がキャラメルラテを吸いながら目を輝かせる。

 店内には落ち着いた音量のBGMが流れ、ガラス越しの夕焼けがテーブルの縁を温かく染めていた。


「勉強しに来たんだよな?」


 圭の冷静な一言に、凛は「わかってるって〜」と笑いながらノートを開く。

 向かいの席では、結菜がすでに静かにシャープペンを走らせていた。

 いつものように落ち着いた雰囲気で、問題集に自分なりのマークを入れている。


「……ねぇ、ここちょっと難しい」


 凛が顔を寄せるようにして結菜のノートを覗き込むと、結菜は小さく頷きながら答えた。


「ここは公式に代入してから、ここの式を整理するの。順番にやれば大丈夫」

「なるほどね……やっぱり、結菜ちゃんすごいなぁ」


 そう言いながら、凛も真剣にペンを動かし始めた。

 ふだんの明るさはそのままに、勉強となればちゃんと前を向く。

 その姿に、圭もつい口元が緩んだ。


「次の問題、これなんだけど――」


 今度は圭が説明役を買って出る。

 三人が交互に話しながら、まるで一つのリズムのように机上が動いていく。


「やば、集中してたらケーキ食べるの忘れてた……!」


 凛が慌ててフォークを手に取り、ケーキの端を口に運ぶ。

 それに結菜がくすっと笑う。


「美味しいうちに食べてね」

「はい、先生……」


 ふわりと流れる空気の中に、笑い声が混じる。

 ここは学校ではないけれど、それでも“学び”の時間がちゃんと流れている。

 三人の間に漂うのは、緊張でも義務でもなく、ただ穏やかな居心地のよさだった。

 外を行き交う人々の姿が、ガラス越しに霞んでいく。

 テーブルに映る光は、静かに夜の色へと変わりはじめていた。

続き→13-Gへ


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