Episode.11-I~カフェは本当に集中できる場所なのでしょうか~
前話:Episode.10-G
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放課後。
駅前にある小さなカフェの隅、三人分のドリンクと勉強道具が並ぶテーブルがひとつ。
その上には教科書とノート、色とりどりの付箋紙がまるで花のように散らばっていた。
「わー、カフェで勉強って、ちょっと憧れてたんだよね〜」
凛がキャラメルラテを吸いながら目を輝かせる。
店内には落ち着いた音量のBGMが流れ、ガラス越しの夕焼けがテーブルの縁を温かく染めていた。
「勉強しに来たんだよな?」
圭の冷静な一言に、凛は「わかってるって〜」と笑いながらノートを開く。
向かいの席では、結菜がすでに静かにシャープペンを走らせていた。
いつものように落ち着いた雰囲気で、問題集に自分なりのマークを入れている。
「……ねぇ、ここちょっと難しい」
凛が顔を寄せるようにして結菜のノートを覗き込むと、結菜は小さく頷きながら答えた。
「ここは公式に代入してから、ここの式を整理するの。順番にやれば大丈夫」
「なるほどね……やっぱり、結菜ちゃんすごいなぁ」
そう言いながら、凛も真剣にペンを動かし始めた。
ふだんの明るさはそのままに、勉強となればちゃんと前を向く。
その姿に、圭もつい口元が緩んだ。
「次の問題、これなんだけど――」
今度は圭が説明役を買って出る。
三人が交互に話しながら、まるで一つのリズムのように机上が動いていく。
「やば、集中してたらケーキ食べるの忘れてた……!」
凛が慌ててフォークを手に取り、ケーキの端を口に運ぶ。
それに結菜がくすっと笑う。
「美味しいうちに食べてね」
「はい、先生……」
ふわりと流れる空気の中に、笑い声が混じる。
ここは学校ではないけれど、それでも“学び”の時間がちゃんと流れている。
三人の間に漂うのは、緊張でも義務でもなく、ただ穏やかな居心地のよさだった。
外を行き交う人々の姿が、ガラス越しに霞んでいく。
テーブルに映る光は、静かに夜の色へと変わりはじめていた。
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