Episode.11-G~誰かに消費されるだけの君じゃない~
前話:Episode.10-F
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結菜に話したことで、胸の奥に沈んでいた重しが、ほんの少し浮かび上がった気がした。
自分の弱さも、迷いも、すべて吐き出したからだろうか。
誰にも言えなかった言葉が、言葉として形になったからだろうか。
けれど――
問題が解決したわけではない。
雪那との関係に、決着をつけなければならない。
そう感じていた矢先、廊下の向こうから、見慣れた黒髪の少女が歩いてきた。
雪那だった。
立ち止まり、こちらをまっすぐに見つめる彼女の瞳に、もう迷いはなかった。
「篠原くん。……少し、話せる?」
頷くより先に、胸が締め付けられるのを感じた。
「……君は優しいから、私に関わらない方がいい」
その言葉は、淡々としていて、けれど確かに“距離”を告げていた。
静かに、穏やかに――二人は関係を解消した。
覚悟していたはずだった。
それでも、目の前で別れを突きつけられると、胸の奥に空洞が広がっていく。
心苦しさ。
無力感。
そして、自分には彼女を導く力も、守る資格もなかったという事実。
――――――
それから、圭の傍に残ったのは――三枝結菜だった。
結菜は雪那と同様に、決して多くを語るタイプではない。
それでも、ふとした仕草や言葉に、圭への気遣いがはっきりと現れていた。
だからこそ、雪那の感情を読み取ることに苦しんでいた圭にとっては、その気遣いが痛いほど胸に沁みた。
日常の風景が、少しずつ、戻ってきた。
◇図書室での出来事。
「……この本、前に読んでたやつの続編だよ」
差し出された文庫本。
表紙を見た瞬間、ふと笑みが漏れる。圭の好みを、彼女は覚えてくれていたのだ。
◇昼休みの教室。
黙って机にプリンを置いてきた結菜。
「食べなよ。元気ない時って、甘いのが一番なんだから」
そう言って、自分のぶんはそっと机の隅に置いたまま、彼女は読書に戻った。
◇黒板係を忘れていた圭に代わって、無言で書いてくれた放課後。
終わってから、「今日はたまたまだよ」と小声で言いながら、少しだけ誇らしげに見えたその背中。
そういった、ささやかな日々が――確かに、圭を日常に連れ戻してくれていた。
――――――
季節は巡り、教室に流れる空気が引き締まってくる。
テスト期間がやってきたのだ。
ある日の放課後、鞄を持って廊下を歩いていた圭に、結菜が声をかけてきた。
「ねえ、圭くん。……帰りにカフェ寄らない?」
そう言って差し出されたスマホの画面には、静かな雰囲気のカフェの写真が表示されていた。
(行くべきか、行かないべきか――)
選択は、今ここにある。
【選択肢1】:
カフェに行く→12-Fへ
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【選択肢2】:
断る→12-Gへ
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