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Episode.11-E~少々やりすぎてしまったようです~

前話:Episode.10-D

https://ncode.syosetu.com/n6562kv/73/

「……ダメ」


 背後から聞こえたその一言は、小さく、けれどはっきりとした拒絶だった。

 委員長からの推薦にどう応えるべきか迷っていた圭は、その言葉に戸惑いながらも、結局口を開いた。


「すみません。……推薦は、辞退します」

「そうか。残念だな」


 委員長は肩をすくめてから、少し考えるように視線を巡らせた。


「じゃあ、三枝さんとかどうかな?」

「えっ、わたしですか……? えっと、考えておきます……」


 突然の指名に、結菜は小さく狼狽しつつも、断ることなく曖昧に返した。

 そんなやり取りの後、凛がすぐさま寄ってきて口を尖らせる。


「えー、もったいないよ、センパイ~。せっかく頼られてたのに!」

「……僕も、なんで断ったのか、正直よくわかんない」


 圭は苦笑混じりに答える。

 理由がはっきりしていたわけではない。ただ、あの瞬間――雪那の声の熱に、思考が引っ張られてしまったのだ。

 その張本人はといえば、何かに気づいたように、小さく身を縮こませていた。


「……ごめんなさい。勝手に、口出しして……」


 その謝罪に、結菜と凛が一斉に口を揃える。


「高嶺さん、勝手に決めちゃだめだよ」

「そうそう、センパイのことなのに~」


 普段はあまり感情を表に出さない雪那が、焦ったように目を伏せて小さく頭を下げる。


「……いいよ。過ぎたことは」


 圭はそれだけ言って、彼女の顔をじっと見た。

 (この関係は、雪那が“選ばずに済むように”という前提で始まった。けれど)

 今の雪那は、確かに自分の意思で言葉を放った。

 選択の意志が、彼女の中に芽生えてきているのなら――

 (それは、きっといいことなんだ)



――――――



 空気を和らげようと、誰かが提案した。


「せっかくだし、みんなで本借りようよ」


 その言葉に、自然と四人は書棚へと散っていった――はずだった。

 だが、圭が一冊の小説を手に取って棚を見ていると、すぐ隣に雪那が立っていた。

 そして、彼女はそっと袖を引いた。


「……篠原くんのおすすめがいい」


 無表情の奥に、ほんのりとした熱がこもっている。


「え、じゃあわたしも選んで欲しいなー」


 すかさず結菜も食いついてくる。


「ずるいずるい~! センパイ、わたしにも何か選んで~」


 凛までが圭にぴったりと寄り添ってくる。

 図書室の静かな空間に、無言の競り合いが始まっていた。

 (……いや、自由に選んでくれればいいのに)

 そう思いながらも、圭はそっと笑みをこぼす。

 袖に指を添える雪那も、やや距離の近い凛も、さりげなく間に入ってくる結菜も――

 誰もが不器用なやり方で、自分に手を伸ばそうとしてくれている。

 そんな空気を、圭はどこかくすぐったく、そして少しだけ愛おしく感じていた。



【選択肢1】:

 小説→12-Dへ

https://ncode.syosetu.com/n6562kv/93/


【選択肢2】:

 哲学書→12-Eへ

https://ncode.syosetu.com/n6562kv/94/

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