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Episode.11-D~社会の常識を、学校では教えてくれない~

前話:Episode.10-C

https://ncode.syosetu.com/n6562kv/72/

「ごめんなさい。実は……先日、ちょっと腰をやっちゃってて」


 圭はそう言って、背中をさする仕草を添えた。

 すかさず委員長は眉を下げ、「ああ、それは大変だったね」と、心底心配そうに頷いた。


「無理はしない方がいいよ。他の人に頼んでみる」


 それだけ言うと、委員長は軽快な足取りで別の男子生徒のもとへ向かっていった。

 ――あっさりと信じられてしまった。

 嘘をつくことに慣れているわけではない圭は、逆に胸の奥がきゅっと締めつけられるような思いを抱えていた。

 (……まぁ、仕方ない)

 結菜と凛をこれ以上待たせたくなかった。

 そして何より、雪那からのメッセージに気づけず返事を遅らせてしまうこと――それが、圭にとって最も避けたかった事態だった。

 そんな圭の“策”を、正面から見抜いていたのが、他でもないその二人だった。


「……嘘、下手すぎ」

「ね〜、さっき普通に席から立ってたじゃん?」


 ジト目で見てくる結菜と凛。

 圭は言い訳もせず、ただ小さく肩をすくめるだけだった。



――――――



 そんな懸念をよそに、スマホが震えた。

 ――高嶺雪那。案の定だった。


 《委員会の子に、カフェに誘われた。どうすればいい?》


 圭は一瞬だけ考えたが、すぐに返した。


 《行っておいで》


 短く、けれど確かな言葉だった。

 画面を伏せ、圭は席を立った。


「じゃあ……帰ろっか」

「賛成〜!」

「……はい」


 凛と結菜は初対面だったはずだが、凛の明るさに、何とか結菜が適応できたらしい。帰り道は終始和やかな空気に包まれていた。


「本ってさ、読むだけじゃなくて、読む時間と場所が大事だよねー!」

「……その“雰囲気”を読むのも読書」

「え、かっこいい! それ、今度誰かに言う!」

「……勝手に名言化しないで」


 そんな軽快なやり取りに、圭もつい笑みがこぼれた。

 そして、交差点に差しかかる。

 ここで三人の進路は分かれる。

 凛は北側の住宅街。結菜は駅の南側を越えた古書店の近く。

 どちらについていっても、圭の帰宅経路にさほどの差はなかった。

 どちらに、ついていくか――

 その選択だけが、今、彼に与えられた“自由”だった。


【選択肢1】:

 凛→12-Bへ

https://ncode.syosetu.com/n6562kv/91/


【選択肢2】:

 結菜→12-Cへ

https://ncode.syosetu.com/n6562kv/92/

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