Episode.11-D~社会の常識を、学校では教えてくれない~
前話:Episode.10-C
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「ごめんなさい。実は……先日、ちょっと腰をやっちゃってて」
圭はそう言って、背中をさする仕草を添えた。
すかさず委員長は眉を下げ、「ああ、それは大変だったね」と、心底心配そうに頷いた。
「無理はしない方がいいよ。他の人に頼んでみる」
それだけ言うと、委員長は軽快な足取りで別の男子生徒のもとへ向かっていった。
――あっさりと信じられてしまった。
嘘をつくことに慣れているわけではない圭は、逆に胸の奥がきゅっと締めつけられるような思いを抱えていた。
(……まぁ、仕方ない)
結菜と凛をこれ以上待たせたくなかった。
そして何より、雪那からのメッセージに気づけず返事を遅らせてしまうこと――それが、圭にとって最も避けたかった事態だった。
そんな圭の“策”を、正面から見抜いていたのが、他でもないその二人だった。
「……嘘、下手すぎ」
「ね〜、さっき普通に席から立ってたじゃん?」
ジト目で見てくる結菜と凛。
圭は言い訳もせず、ただ小さく肩をすくめるだけだった。
――――――
そんな懸念をよそに、スマホが震えた。
――高嶺雪那。案の定だった。
《委員会の子に、カフェに誘われた。どうすればいい?》
圭は一瞬だけ考えたが、すぐに返した。
《行っておいで》
短く、けれど確かな言葉だった。
画面を伏せ、圭は席を立った。
「じゃあ……帰ろっか」
「賛成〜!」
「……はい」
凛と結菜は初対面だったはずだが、凛の明るさに、何とか結菜が適応できたらしい。帰り道は終始和やかな空気に包まれていた。
「本ってさ、読むだけじゃなくて、読む時間と場所が大事だよねー!」
「……その“雰囲気”を読むのも読書」
「え、かっこいい! それ、今度誰かに言う!」
「……勝手に名言化しないで」
そんな軽快なやり取りに、圭もつい笑みがこぼれた。
そして、交差点に差しかかる。
ここで三人の進路は分かれる。
凛は北側の住宅街。結菜は駅の南側を越えた古書店の近く。
どちらについていっても、圭の帰宅経路にさほどの差はなかった。
どちらに、ついていくか――
その選択だけが、今、彼に与えられた“自由”だった。
【選択肢1】:
凛→12-Bへ
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【選択肢2】:
結菜→12-Cへ
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