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Episode.10-E~ゆっくりと毒に体を蝕まれる~

前話:Episode.9-D

https://ncode.syosetu.com/n6562kv/65/

 足は迷いながらも、昇降口ではなく、図書室へと向かっていた。

 どこか麻痺したような思考のまま、圭は教室から歩き出し、静まり返った廊下を進んでいく。

 ドアを開け、図書室に入った瞬間の空気――

 静かで、冷たくて、少しだけ古い紙の匂いがした。

 それなのに、その後の記憶は曖昧だった。

 委員長が丁寧に説明してくれた業務内容も、何も頭に入ってこなかった。

 凛とばったり再会して、何か話をしたような気がする。

 けれど、何を話したのかも、どう反応したのかも――一切、思い出せない。

 唯一、はっきりと覚えているのは、委員長から「次期の委員長を任せたい」と言われて、断ったこと。

 なぜかは自分でもわからない。ただ、頷けなかった。

 そして、そのすべての選択が、どこか“否定的”だったように思えた。

 何もかもがどうでもよくて、頭の中には空虚な風だけが吹いていた。



――――――



 それから数日。

 圭は、何をどうしていいのかわからないまま、ぼんやりとした日々を過ごしていた。

 雪那と交わす“選択”も、次第に雑になっていった。

 返答は曖昧になり、どこか上の空で、指先ひとつで返すような会話。

 関係は形だけ続いていたが、何かが確実に壊れつつあることを、圭自身も気づいていた。

 でも――それを止めるだけの力が、もう残っていなかった。



――――――



 そして、放課後の教室。

 机にノートを開いたままうつむいていた圭に、雪那が静かに声をかけてきた。


「……篠原くん」


 顔を上げると、彼女はいつも通りの無表情だった。

 ただ、その目だけは、確かな決意を宿していた。


「私との関係が、あなたを苦しめているのなら……」

「……この関係は、やめるべきだと思う」


 その言葉は、重く、はっきりと胸の中に落ちた。

 圭は何も言えなかった。

 首を縦にも横にも振れず、ただ俯くことしかできなかった。

 彼女の靴音が教室を遠ざかるまで、耳を塞ぐこともできなかった。

 静かに始まり、静かに終わった関係。

 それが、最善だったのかもしれない。

 けれど、今の圭には、それすらもわからなかった。


――*――*――


BAD END

最初からやり直す→プロローグへ

https://ncode.syosetu.com/n6562kv/1/


一つ前からやり直す→9-Dへ

https://ncode.syosetu.com/n6562kv/65/

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