Episode.10-A~今を見るか、先を見るか~
前話:Episode.9-A
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「……はい。僕でよければ、引き受けます」
圭の口からその言葉がこぼれた瞬間、委員長の表情がわずかに和らいだ。
「本当? ありがとう、助かるよ。……正直、他の子たちはちょっと頼りなくてさ。君なら安心して任せられるって思ったんだ」
その言葉に、圭は少しだけ頬を掻いた。
頼られるのは嫌いではない。むしろ、自分にできることがあるのならば力になりたいという気持ちが、どこか心の奥底に根を張っていた。
それだけではない。
(……進路、か)
最近になって、少しずつ将来の話題がクラスでも出始めている。
まだ何がしたいのか分からない。だが、大学に進学する場合、推薦という選択肢が視野に入ってくる。何か“形”になる実績は持っておいて損はないはずだ。
委員長という肩書き。それは地味だが確実な足がかりになる。
圭はその現実的な判断もまた、承諾の理由に加えていた。
しかし、即答できない理由もまたあった。
圭は再び、雪那達の方を見やる。彼女たちとの時間が疎かになるのではという懸念が少しばかりあった。
しかしもう、決めたこと……決まったことだ。
圭は手の中のサイコロを握りしめる。
「それじゃあ、夏休みあたりになったら、また連絡すると思う。ちょっと準備が必要だから」
「分かりました。よろしくお願いします」
小さく頭を下げ、委員長と別れた圭は、再び図書室の奥へと戻っていく。
――こんな後付け、全て言い訳でしかないのに。
――――――
本棚の陰で、三人が並んでいた。
雪那、結菜、そして凛。三者三様の無言の時間が、何とも言えない空気を生んでいる。
その中で、最初に動いたのは雪那だった。
圭の姿を見つけるなり、まっすぐに近づいてくる。
「……何、話してたの?」
「ああ、ちょっと委員長からね。図書委員長、やらないかって言われて」
「……やるの?」
「うん、やることにしたよ」
雪那はそれに対して特に何も言わなかった。ただ静かに頷いた。
「……そっか」
その言葉の意味を掴みかねるまま、圭は曖昧に笑った。
「ところでさ、さっきから棚見てたけど……何か探してるの?」
「……ううん。分からなくて。何を借りればいいか……」
少しだけ伏し目がちに言う雪那は、どこか子供のようにも見えた。
どうやら三人で話しているときに、本を借りようという流れになったらしい。
そして本を読んでこなかった雪那は何を読めばいいか分からないわけで。
「やっぱり、決めて欲しい」
その言葉にも慣れてきた気もするが、やはりまだ咀嚼するのに時間がかかる。
きっと先数ヶ月は慣れることはないだろう。圭は本棚に目をやった。
読書初心者に薦めれる本を頭の中で検索しながら、本のタイトルを眺めていく。
(小説か、哲学か……)
雪那にどんな本が合うだろうかと考えながら、指先はゆっくりと書棚をなぞっていく。
【選択肢1】:
小説を選んで渡す→11-Aへ
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【選択肢2】:
哲学書を選んで渡す→11-Bへ
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