Episode.9-F~普通に考えたら叔父さん戦犯じゃね?~
前話:Episode.8-E
雪那の言葉を聞いても、圭の選択は変わることはなかった。
文化委員――クラスの中で程よく人との関わりがあり、ほどよい距離を保てる委員会。
彼女にとってもきっと悪くない選択だと、そう思ったから。
(……そう思いたかった)
もう、圭には後戻りをする場所がなかったのかもしれない。
「高嶺さん。やっぱりそれでも、文化委員がいいと思う」
意識して声を穏やかにしたつもりだった。
けれど、それがまるで一方的な命令のように響いたのかもしれない。
雪那は、圭の顔を静かに見つめ――
冷えきった目で、たった一言を呟いた。
「……自分勝手な人」
その言葉は、過去に聞いた言葉とまったく同じだった。
カフェで交わした、ささやかな雑談の中で――
雪那が、過去の関係相手を語るときに言った、“軽蔑”の言葉。
(俺は……そうならないって、あのとき、決めたのに)
気づいたときには遅すぎた。
雪那は無言で席を立つと、静かに委員会に誘ってくれていたクラスメイトの方へと歩いていった。
まるで、最初からそうすることが決まっていたかのように。
「――っ!」
圭の手が、無意識に伸びる。
引き留めたくて、止めたくて。
けれど、その手は虚空を掴み、空を切った。
残されたのは、開いた掌と、胸の奥に沈む後悔だけだった。
――――――
それから、雪那は圭に話しかけることはなくなった。
特別冷たくなったわけでも、敵意を見せたわけでもない。
ただ、“無関心”という形で、ゆっくりと距離が開いていった。
関係も――当たり前のように、自然消滅した。
まるで、最初からそんな関係など存在していなかったかのように。
静かに始まり、静かに終わった関係。
残された圭の胸には、ひとつの選択の重みと、取り返しのつかない“静寂”だけが残った。
――――――――
BAD END
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