Episode.9-D~苦悩~
前話:Episode.8-D
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図書委員に一緒に入る――
それは、雪那が“自分で選んだ”選択だった。
圭は、他のクラスメイトからの視線を軽くかわすように笑って、こう言った。
「高嶺さんが図書委員、やってみたかったみたいでさ」
誰に聞かれたわけでもないのに、言い訳のように口から出た。
その場は特に騒がれることもなく、穏やかに通過していった。
――けれど、圭の胸の奥では別の波が荒れていた。
――――――
委員会が決まり、三人で図書室へと向かう。
雪那、圭、結菜。
それは、穏やかな組み合わせのはずだった。
けれど、圭は意気消沈していた。
(全部、空回りだったのかな……)
叔父の言葉を信じて、彼女のために手を尽くした数日間。
それが、彼女の言葉ひとつで、まるで意味のないものになったような気がしてならなかった。
隣を歩く雪那の気配を感じるたびに、自分の過去の行動が頭をよぎる。
――申し訳なさ。
――恥ずかしさ。
――そして、いたたまれなさ。
それらが、じわじわと心を蝕んでいく。
「篠原くん……大丈夫?」
ふいに、前を歩いていた結菜がこちらを振り返って言った。
圭は「うん」と返したが、その声はあまりにも力がなかった。
(どうして、こんなに……俺は打たれ弱いんだろう)
思えば、小さなことで躓いては、立ち止まりそうになることが何度もあった。
今回も、同じだった。
誰かのためにと動いて、それが否定されたと感じたとたん、心が揺らぎはじめた。
足を動かしながら、ふと横を見ると、昇降口が視界に入る。
夕方の光が差し込むガラス扉。
その先には、外の空気と、誰もいない静寂が広がっている。
(……逃げ出したい)
今、ここを曲がれば、外へ出られる。
この息苦しさから解放される。
図書室へ向かう道と、昇降口へとつながる曲がり角。
圭の足は、その境界に立っていた。
――*――*――
【選択肢1】:図書室へ向かう
【選択肢2】:委員会には行かずに先に帰る
【選択肢1】:
図書室へ向かう→10-Eへ
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【選択肢2】:
委員会には行かずに先に帰る→10-Fへ
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