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せつな  作者: 666
春編
65/817

Episode.9-D~苦悩~

前話:Episode.8-D

https://ncode.syosetu.com/n6562kv/58/

 図書委員に一緒に入る――

 それは、雪那が“自分で選んだ”選択だった。

 圭は、他のクラスメイトからの視線を軽くかわすように笑って、こう言った。


「高嶺さんが図書委員、やってみたかったみたいでさ」


 誰に聞かれたわけでもないのに、言い訳のように口から出た。

 その場は特に騒がれることもなく、穏やかに通過していった。

 ――けれど、圭の胸の奥では別の波が荒れていた。



――――――



 委員会が決まり、三人で図書室へと向かう。

 雪那、圭、結菜。

 それは、穏やかな組み合わせのはずだった。

 けれど、圭は意気消沈していた。

 (全部、空回りだったのかな……)

 叔父の言葉を信じて、彼女のために手を尽くした数日間。

 それが、彼女の言葉ひとつで、まるで意味のないものになったような気がしてならなかった。

 隣を歩く雪那の気配を感じるたびに、自分の過去の行動が頭をよぎる。

 ――申し訳なさ。

 ――恥ずかしさ。

 ――そして、いたたまれなさ。

 それらが、じわじわと心を蝕んでいく。


「篠原くん……大丈夫?」


 ふいに、前を歩いていた結菜がこちらを振り返って言った。

 圭は「うん」と返したが、その声はあまりにも力がなかった。

 (どうして、こんなに……俺は打たれ弱いんだろう)

 思えば、小さなことで躓いては、立ち止まりそうになることが何度もあった。

 今回も、同じだった。

 誰かのためにと動いて、それが否定されたと感じたとたん、心が揺らぎはじめた。

 足を動かしながら、ふと横を見ると、昇降口が視界に入る。

 夕方の光が差し込むガラス扉。

 その先には、外の空気と、誰もいない静寂が広がっている。

 (……逃げ出したい)

 今、ここを曲がれば、外へ出られる。

 この息苦しさから解放される。

 図書室へ向かう道と、昇降口へとつながる曲がり角。

 圭の足は、その境界に立っていた。



――*――*――



【選択肢1】:図書室へ向かう


【選択肢2】:委員会には行かずに先に帰る

【選択肢1】:

 図書室へ向かう→10-Eへ

https://ncode.syosetu.com/n6562kv/74/


【選択肢2】:

 委員会には行かずに先に帰る→10-Fへ

https://ncode.syosetu.com/n6562kv/75/

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