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せつな  作者: 666
春編
54/817

Episode.7-F~グイグイ来る子は嫌いじゃない~

前話:Episode.6-D

https://ncode.syosetu.com/n6562kv/47/

 それは数日後のことだった。

 部活や委員会の勧誘も一段落し、春の空気がようやく穏やかに感じられるようになってきた頃。

 圭は下校途中の道で、偶然凛と出くわした。


「おー、センパイ! 奇遇だね」


 制服の裾を軽くつまみながら、凛は嬉しそうに近寄ってきた。

 何の予定もなかった圭は、そのまま並んで歩くことにした。

 夕日がアスファルトに長く影を落とす中、ふたりの足音が交互に響く。

 他愛のない会話が続いた。

 学校のこと、最近の課題の話、購買のパンの美味しさについての議論――

 ふと、話題が委員会に及ぶ。


「そういえばセンパイ、委員会って何にするの?」

「まぁ、図書委員かな。いつも通りだし」

「うわっ、めっちゃ想像できる。センパイが静か〜に本を持って棚の間を歩いてるとことか、ありありと目に浮かぶよ」

「……褒めてる?」

「もちろん!」


 凛は屈託のない笑顔で言うと、ひょいと前に出て道の端に咲いた小さな花を見下ろした。

 その背中に向かって、圭は問い返す。


「じゃあ、凛は何かやりたい委員会あるのか?」

「うーん……センパイと一緒のなら、なんでもいいかも」


 さらりと口にされたその言葉に、一瞬、圭の歩みが止まりかけた。

 凛はすぐに振り返り、照れもせずに続ける。


「あ、でもね、文化委員もちょっと興味あるんだよね。文化祭の準備とか、楽しそうだな〜って」


 文化委員――

 秋にある文化祭の運営に深く関わる、学校行事の花形とも言える委員会。

 特に凛のような、明るくて目立つタイプの生徒には向いているかもしれない。

 去年も文化委員は準備に追われていたが、それを楽しんでいる姿が印象的だった。


「いいんじゃないか。文化委員、楽しそうだし」


 そう勧めると、凛はぴたりと足を止めた。

 夕日に照らされたその顔には、不満の色が浮かんでいる。


「センパイ、なに言ってるの?」


 唇を尖らせながら、凛はじっと圭を見つめた。


「さっき言ったでしょ? センパイと同じところ行くって。なのに、“いいんじゃないか”って、どういうこと?」


 その言葉に、圭は思わず返す言葉を失った。

 彼女は冗談で言ったわけではない。

 本気で、同じ時間を過ごしたいと思ってくれている。

 その純粋な想いを、どう受け止めるべきなのか。

 それはただの委員会の話なのに、どこか慎重にならざるを得なかった。

 自分の決断が、彼女の大切な一年を左右してしまうかもしれない。

 圭は立ち止まり、真剣に考え始める。


【選択肢1】:

 図書委員を選ぶ→8-Fへ

https://ncode.syosetu.com/n6562kv/60/


【選択肢2】:

 文化委員を選ぶ→8-Gへ

https://ncode.syosetu.com/n6562kv/61/

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