Episode.7-F~グイグイ来る子は嫌いじゃない~
前話:Episode.6-D
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それは数日後のことだった。
部活や委員会の勧誘も一段落し、春の空気がようやく穏やかに感じられるようになってきた頃。
圭は下校途中の道で、偶然凛と出くわした。
「おー、センパイ! 奇遇だね」
制服の裾を軽くつまみながら、凛は嬉しそうに近寄ってきた。
何の予定もなかった圭は、そのまま並んで歩くことにした。
夕日がアスファルトに長く影を落とす中、ふたりの足音が交互に響く。
他愛のない会話が続いた。
学校のこと、最近の課題の話、購買のパンの美味しさについての議論――
ふと、話題が委員会に及ぶ。
「そういえばセンパイ、委員会って何にするの?」
「まぁ、図書委員かな。いつも通りだし」
「うわっ、めっちゃ想像できる。センパイが静か〜に本を持って棚の間を歩いてるとことか、ありありと目に浮かぶよ」
「……褒めてる?」
「もちろん!」
凛は屈託のない笑顔で言うと、ひょいと前に出て道の端に咲いた小さな花を見下ろした。
その背中に向かって、圭は問い返す。
「じゃあ、凛は何かやりたい委員会あるのか?」
「うーん……センパイと一緒のなら、なんでもいいかも」
さらりと口にされたその言葉に、一瞬、圭の歩みが止まりかけた。
凛はすぐに振り返り、照れもせずに続ける。
「あ、でもね、文化委員もちょっと興味あるんだよね。文化祭の準備とか、楽しそうだな〜って」
文化委員――
秋にある文化祭の運営に深く関わる、学校行事の花形とも言える委員会。
特に凛のような、明るくて目立つタイプの生徒には向いているかもしれない。
去年も文化委員は準備に追われていたが、それを楽しんでいる姿が印象的だった。
「いいんじゃないか。文化委員、楽しそうだし」
そう勧めると、凛はぴたりと足を止めた。
夕日に照らされたその顔には、不満の色が浮かんでいる。
「センパイ、なに言ってるの?」
唇を尖らせながら、凛はじっと圭を見つめた。
「さっき言ったでしょ? センパイと同じところ行くって。なのに、“いいんじゃないか”って、どういうこと?」
その言葉に、圭は思わず返す言葉を失った。
彼女は冗談で言ったわけではない。
本気で、同じ時間を過ごしたいと思ってくれている。
その純粋な想いを、どう受け止めるべきなのか。
それはただの委員会の話なのに、どこか慎重にならざるを得なかった。
自分の決断が、彼女の大切な一年を左右してしまうかもしれない。
圭は立ち止まり、真剣に考え始める。
【選択肢1】:
図書委員を選ぶ→8-Fへ
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【選択肢2】:
文化委員を選ぶ→8-Gへ
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