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せつな  作者: 666
春編
27/817

Episode.5-H~面倒~

前話:Episode.4-G

https://ncode.syosetu.com/n6562kv/18/


 昼休みの鐘が鳴ると、圭は教室を飛び出した。

 今日もまた、彼女の背を追いかける。

 廊下の向こう、無言で歩いていくその姿は、昨日と何も変わらない。

 けれど、変わらないのは姿だけだった。

 心の距離は、少しずつ遠ざかっている気がして――焦りが足を速めさせた。


「高嶺さん、今日も……一緒に、昼ご飯を食べない?」


 立ち止まった彼女は、わずかに眉を寄せた。

 ため息混じりに、視線を逸らす。


「……めんどくさい」


 それでも、彼女は黙って屋上への階段を上っていった。

 拒絶ではない。ただのため息と共に歩いていく姿が、圭にとっては一つの救いだった。

 そして二人はまた、屋上へと辿り着いた。

 空は今日も、晴れわたっていた。

 どこまでも青く、雲ひとつない。

 簡素な弁当を広げ、ぎこちない沈黙が流れる。


「どうして、今日も来たの」


 雪那が口を開いた。

 その問いに含まれるのは、疑念でも感謝でもない。

 ただ、純粋な「理解できない」という感情だった。


「……君が、今のままだと……クラスに、居場所を失ってしまう気がしたんだ」


 自分のためじゃない。

 罪滅ぼしでも、執着でもない。

 ただ――彼女が孤独に沈んでいくのを見たくなかった。


「別に、今さら居場所なんていらないよ」


 即答だった。

 それが嘘じゃないことも、圭には分かってしまう。

 あまりにもあっけらかんとした口調だったから。


「もう一度言うけど、私に関わらないで」


 言葉が冷たく、しかし乾いていた。


「お互いに、そっちの方が有意だよ」


 それは――まるで、圭のやっていることが、最初から無意味だったと突きつけるような響きだった。

 圭は何も言い返せなかった。

 それが本当に正しいのかもしれないと、どこかで思ってしまったから。

 雪那は、また立ち上がる。

 屋上の扉が軋む音がしたかと思えば、彼女の背中は、あっという間に風の向こうへと消えていった。

 空を見上げた。

 今日も、雲ひとつない青空だった。

 その青さが、どうしてだろう――とても、遠くに感じられた。

【選択肢1】:

 次の日も雪那を追いかける→5-H-aへ

https://ncode.syosetu.com/n6562kv/28/


【選択肢2】:

 諦める→5-Iへ

https://ncode.syosetu.com/n6562kv/41/


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