Episode.5-H~面倒~
前話:Episode.4-G
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昼休みの鐘が鳴ると、圭は教室を飛び出した。
今日もまた、彼女の背を追いかける。
廊下の向こう、無言で歩いていくその姿は、昨日と何も変わらない。
けれど、変わらないのは姿だけだった。
心の距離は、少しずつ遠ざかっている気がして――焦りが足を速めさせた。
「高嶺さん、今日も……一緒に、昼ご飯を食べない?」
立ち止まった彼女は、わずかに眉を寄せた。
ため息混じりに、視線を逸らす。
「……めんどくさい」
それでも、彼女は黙って屋上への階段を上っていった。
拒絶ではない。ただのため息と共に歩いていく姿が、圭にとっては一つの救いだった。
そして二人はまた、屋上へと辿り着いた。
空は今日も、晴れわたっていた。
どこまでも青く、雲ひとつない。
簡素な弁当を広げ、ぎこちない沈黙が流れる。
「どうして、今日も来たの」
雪那が口を開いた。
その問いに含まれるのは、疑念でも感謝でもない。
ただ、純粋な「理解できない」という感情だった。
「……君が、今のままだと……クラスに、居場所を失ってしまう気がしたんだ」
自分のためじゃない。
罪滅ぼしでも、執着でもない。
ただ――彼女が孤独に沈んでいくのを見たくなかった。
「別に、今さら居場所なんていらないよ」
即答だった。
それが嘘じゃないことも、圭には分かってしまう。
あまりにもあっけらかんとした口調だったから。
「もう一度言うけど、私に関わらないで」
言葉が冷たく、しかし乾いていた。
「お互いに、そっちの方が有意だよ」
それは――まるで、圭のやっていることが、最初から無意味だったと突きつけるような響きだった。
圭は何も言い返せなかった。
それが本当に正しいのかもしれないと、どこかで思ってしまったから。
雪那は、また立ち上がる。
屋上の扉が軋む音がしたかと思えば、彼女の背中は、あっという間に風の向こうへと消えていった。
空を見上げた。
今日も、雲ひとつない青空だった。
その青さが、どうしてだろう――とても、遠くに感じられた。
【選択肢1】:
次の日も雪那を追いかける→5-H-aへ
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【選択肢2】:
諦める→5-Iへ
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