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Episode.5-C~頑固な人は嫌われますヨ~

前話:Episode.4-B

https://ncode.syosetu.com/n6562kv/9/

「……そっか」


 圭の言葉を聞いた雪那は、吐き捨てるようにそう言い放った。

 彼女の表情に変化はない。

 だが、彼女の纏う空気の温度が間違いなく下がった。


「……篠原くん、私はね」


 静かな声。けれど、それは感情を押し殺した者だけが持つ独特の響きを帯びていた。

 淡々としているのに、なぜか胸の奥を押し潰されるような、そんな声音だった。


「私が誰かと一緒にいたいのは、そうしないと“普通”の生活ができないから」


 彼女の言葉は、もはや説明というより“断罪”に近かった。

 目の前にいる圭が、彼女の想定する関係性を築けなかったことの、静かな告発。


「自分で選ぶことに、もう期待してない。過去に何度も、選んで、失って、後悔して……だから、私はもう選ばないって決めたの。誰かに委ねて生きるって、決めたの」


 圭は、何も言えなかった。

 その生き方の背景にどんな過去があったのか――具体的なことは知らずとも、真正面から突きつけられた“覚悟”の前に、言葉を紡ぐ勇気がなかった。


「……多分ね、君は向いてないんだと思う」


 雪那はすっと距離を取った。まるで、これ以上近づけば傷を負うと察しているかのように。

 椅子の背にかけられていた自分の鞄を手に取ると、彼女は最後にぽつりと言った。


「だから、この関係……やっぱやめにしよう」


 そうして、踵を返した彼女の背中に、圭はただ、呆然と立ち尽くすことしかできなかった。

 ――自分は、彼女の“地雷”を踏んだのだ。

 その事実が、じわじわと胸の奥に広がっていく。

 言葉ひとつ、選び方ひとつで救えたかもしれないものを、自分は手放してしまった。

 雪那はクラスメイトのところへ歩いて行く。そして皆は立ち尽くす圭を横目に教室からゾロゾロと出ていく。

 教室から誰もいなくなった瞬間、圭はようやく息を吐いた。けれど、それは決して安堵などではなかった。

 ただひたすらに、虚しさだけが残っていた。



――*――*――



Bad End

最初からやり直す→プロローグへ

https://ncode.syosetu.com/n6562kv/1/


一つ前からやり直す→4-Bへ

https://ncode.syosetu.com/n6562kv/9/

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