表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
せつな  作者: 666
夏編
126/1444

EpisodeN.1-A~夏の始まりは山の頂で~

Episode”N”は夏編を示しています。お間違えのないよう。


前話

:Episode.15-A

https://ncode.syosetu.com/n6562kv/120/

:Episode.15-D

https://ncode.syosetu.com/n6562kv/123/

:Episode.5-Hm

https://ncode.syosetu.com/n6562kv/40/

 夏の日差しが、容赦なく全身を焦がしていた。

 木々は緑濃く、その枝葉は風を孕みながらざわめいている。春に花を咲かせていた頃とは、まるで別物の世界だ。圭は山頂で一人、木陰に腰を下ろし、幹に背を預けていた。額に落ちる汗を指で拭うと、真っ青な空が視界に広がる。


 遠くで蝉が鳴いていた。連なる声が山の空気に響いて、まるで夏を宣言しているかのようだ。


 圭は景色を眺めながら、先ほど終わった終業式のことを思い返す。


「来年は受験で遊べないだろうから、今のうちに遊んどけよ」


 担任が笑いながら言ったその言葉は、冗談のようでいて、現実を鋭く突いていた。仮にも教師がそんなことを口にしていいのか――そう思ったが、確かにその通りなのだろう。何の気兼ねもなく遊べる夏など、きっともう二度と来ない。


 ――夏らしいこと。

 そう考えたから、ここに来たのだ。静かな場所で、風を感じながら、何をしようかと頭を巡らせるために。

 けれど、考えたところで何も浮かばない。それもそうだ。今まで夏らしいことをしてこなかったのだから。

 それでも、不思議と焦りはなかった。今年は何か、夏らしいことに一歩近づけそうな、そんな気がしていたからだ。


 その予感は、終業式のあとに訪れた。

 教室を出ようとした瞬間、隣の席の少女が声をかけてきたのだ。


「――篠原君」


 圭は木々の間から覗く空を仰いだ。

 脳裏に残る声と、いま聞こえる現実の音が重なる。

 振り返るとそこには雪那が立っていた。白い半袖のブラウスに、淡い色のスカート。陽射しに透ける髪が、夏の光を柔らかく反射している。

 圭はわずかな動揺を隠すように上擦った声をあげた。


「どうしてここが分かったの?」

 

 彼女はわずかに息を弾ませながら答えた。


「メッセージ送っても既読がつかなかったから……家に行ったら、家の人が山にいるって……」


 急足で登ってきたのだろう。ほのかに紅潮した頬が、無表情な彼女に生気を与えている。

 スマホを見てもメッセージは届いていない。よく見れば圏外を示すマークが表示されていた。

 確かにメッセージが届くはずがない。


「……ごめん、タイミング悪かったね。それで、どうしたの?」


 問いかけると、雪那はスマホを両手で握りながら用件を伝えた。


「クラスメイトに、プールに誘われたんだけど……行ったほうがいいかな?」

 

 蝉の声が、強くなる。

 夏が始まろうとしていた。


【選択肢1】:

 プールへ行くのを許可する→N.2-Aへ

https://ncode.syosetu.com/n6562kv/134/


【選択肢2】:

 誘いを断らせる→N.2-Bへ

https://ncode.syosetu.com/n6562kv/135/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ