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せつな  作者: 666
春編
122/1444

Episode.15-C~僕らを繋ぐ見えない線~

前話:Episode.14-F

https://ncode.syosetu.com/n6562kv/112/

 テストが終わり、教室には成績表を手にした生徒たちの声が飛び交っていた。

 歓声、ため息、どこかほっとしたような沈黙。

 圭は自分の成績表を確認して、軽く頷いた。予想通りの結果だった。

 ふと隣を見ると、雪那が小さく、静かに息を吐いていた。


「……赤点、なかった」

「そっか。よかったな」


 雪那は小さく頷いたあと、スマホを取り出していた指を止め、圭の方を見た。


「……みんなのおかげで、何とかなった。これからも、よろしくね」


 その言葉に、圭は思わず顔を緩めた。

 普段の雪那からすれば、それは十分すぎる感情表現だった。

 (本当に……変わってきたな)

 その成長が、何より嬉しかった。



――――――



 ホームルームが終わった後の教室。

 荷物を片付ける音が響く中、勢いよく凛が駆け寄ってきた。


「圭センパイ! 聞いてー!」

「ん?」

「赤点、回避っ!!」


 凛は両手を掲げてにっこりと笑う。

 その姿は、まるで勝利を報告する子供のようだった。


「すごいじゃん、よく頑張ったな」


 圭が言うと、すぐ横で見ていた結菜も小さく笑って言葉を添えた。


「……おめでとう。ちょっと心配だったけど」

「ちょっと!? ひどっ!」


 抗議する凛に、二人がくすくすと笑う。

 そんな何気ないやりとりの中で、圭はふと、窓の外に目をやった。

 透き通るような夏空。

 朝の雨が乾いたばかりのアスファルトが、陽光を鈍く反射している。

 教室の空気が、夏の匂いを含んでいた。


 “夏が来る”。


 それを肌で感じる瞬間だった。

 新しい季節が、確かにここから始まろうとしている。

夏へ→N.1-C

https://ncode.syosetu.com/n6562kv/130/

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