Episode.14-G~図書室は私語しちゃ、ダメですよ〜^^~
前話:Episode.13-D
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放課後の図書室には、人の気配がほとんどなかった。
季節はテスト期間。
けれど、多くの生徒は教室か自宅で勉強することを選んだのだろう。
その静けさは、むしろ心地よく、机に向かえば自然とペンが走るような空間だった。
「……ここなら集中できそうだね」
「うん」
短く頷いた雪那は、圭の隣の席に腰を下ろした。
(……向かい合わせじゃないんだ)
そう思った瞬間、雪那は椅子をギィと引き寄せ、わずかに圭のほうへと体を寄せた。
制服の袖が触れるか触れないか――そんな微妙な距離。
その近さに圭は自然と心拍が上がるのを感じた。
(でも……そのほうが教えやすい、よな)
自分に言い聞かせるようにして、ノートを開き、問題の解説を始める。
雪那は真剣な顔でそれを見つめ、ときおりメモを取りながら頷いていた。
ただ――圭の内心は少しだけそわそわしていた。
(結菜か凛、来ないかな……)
図書室といえば、彼女たちが好んで訪れる場所。
別に用事があるわけじゃない。けれど、誰かがいてくれたら、空気が和らぐような気がしていた。
そんな思いが届いたのかどうか――
カラカラ、と扉が開く音がして、誰かが足音を立てて入ってくる。
「……あっ、いたーっ!」
第一声が図書室に響いた。
凛の声だった。
後ろには結菜もいて、二人そろって扉口からこちらを見つめている。
「しっ!」
瞬間、司書の先生が眉をひそめて指を立てる。
「あっ、ごめんなさい!」
慌てて口を押さえる凛に、結菜がくすっと笑いながら頭を下げた。
(やっぱり来たか……)
苦笑しながら視線を戻すと、雪那がこちらをじっと見ていた。
何も言わない。けれど、彼女の目はわずかに圭を問いかけているようでもあった。
その時、ちょうど放課後を告げる鐘が鳴った。
「じゃあ、そろそろ帰ろっか」
圭がそう言うと、雪那は黙って本を閉じ、ゆっくりと立ち上がった。
図書室を出た先で、結菜と凛が合流する。
「本当に二人で勉強してると思わなかったな…」
「ね! 最初から図書室こればよかった〜」
そんな軽口を交わしながら、四人は連れ立って帰路についた。
沈みゆく夕日に背を押されるようにしながら、淡く伸びた影が歩道に重なる。
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