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せつな  作者: 666
春編
113/1444

Episode.14-G~図書室は私語しちゃ、ダメですよ〜^^~

前話:Episode.13-D

https://ncode.syosetu.com/n6562kv/101/

 放課後の図書室には、人の気配がほとんどなかった。

 季節はテスト期間。

 けれど、多くの生徒は教室か自宅で勉強することを選んだのだろう。

 その静けさは、むしろ心地よく、机に向かえば自然とペンが走るような空間だった。


「……ここなら集中できそうだね」

「うん」


 短く頷いた雪那は、圭の隣の席に腰を下ろした。

 (……向かい合わせじゃないんだ)

 そう思った瞬間、雪那は椅子をギィと引き寄せ、わずかに圭のほうへと体を寄せた。

 制服の袖が触れるか触れないか――そんな微妙な距離。

 その近さに圭は自然と心拍が上がるのを感じた。

 (でも……そのほうが教えやすい、よな)

 自分に言い聞かせるようにして、ノートを開き、問題の解説を始める。

 雪那は真剣な顔でそれを見つめ、ときおりメモを取りながら頷いていた。

 ただ――圭の内心は少しだけそわそわしていた。

 (結菜か凛、来ないかな……)

 図書室といえば、彼女たちが好んで訪れる場所。

 別に用事があるわけじゃない。けれど、誰かがいてくれたら、空気が和らぐような気がしていた。

 そんな思いが届いたのかどうか――

 カラカラ、と扉が開く音がして、誰かが足音を立てて入ってくる。


「……あっ、いたーっ!」


 第一声が図書室に響いた。

 凛の声だった。

 後ろには結菜もいて、二人そろって扉口からこちらを見つめている。


「しっ!」


 瞬間、司書の先生が眉をひそめて指を立てる。


「あっ、ごめんなさい!」


 慌てて口を押さえる凛に、結菜がくすっと笑いながら頭を下げた。

 (やっぱり来たか……)

 苦笑しながら視線を戻すと、雪那がこちらをじっと見ていた。

 何も言わない。けれど、彼女の目はわずかに圭を問いかけているようでもあった。

 その時、ちょうど放課後を告げる鐘が鳴った。


「じゃあ、そろそろ帰ろっか」


 圭がそう言うと、雪那は黙って本を閉じ、ゆっくりと立ち上がった。

 図書室を出た先で、結菜と凛が合流する。


「本当に二人で勉強してると思わなかったな…」

「ね! 最初から図書室こればよかった〜」


 そんな軽口を交わしながら、四人は連れ立って帰路についた。

 沈みゆく夕日に背を押されるようにしながら、淡く伸びた影が歩道に重なる。

続き→15-Dへ

https://ncode.syosetu.com/n6562kv/123/

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