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せつな  作者: 666
春編
104/1152

Episode.13-G~賑やかな夏を~

前話:Episode.12-G

https://ncode.syosetu.com/n6562kv/96/

 テストが終わり、教室には成績表を手にした生徒たちの声が飛び交っていた。

 歓声、ため息、どこかほっとしたような沈黙。

 圭は自分の成績表を見下ろし、軽く頷いた。予想通りの結果だった。


「……どうだった?」


 隣の席から、結菜がそっと声をかけてくる。

 いつもの丸眼鏡の奥で、彼女の瞳がほんのりと和らいでいた。


「うん、大丈夫だった。そっちは?」

「……ふふん、私もね」


 小さな誇らしげな笑みに、圭もつられて口元を緩めた。


「ね、せっかくだし……帰り、どこか寄らない?」

「どこかって?」

「……カフェとか。ちょっと甘いものでも食べたい気分」


 その誘いに、断る理由はなかった。

 テストも終わった今、少しくらい羽を伸ばしてもいいだろう。


「……いいね、行こうか」


 そう頷いたときだった。教室のドアが勢いよく開かれ、元気な声が響いた。


「センパイ! 聞いて聞いてー!」


 振り向けば、凛が駆け寄ってくる。


「赤点、回避しましたっ!」


 掲げた成績表をひらひらと振って、満面の笑顔を浮かべている。


「……すごいな。よく頑張ったじゃん」

「えへへ、でしょ?」


 嬉しそうに笑う凛。その姿はどこか、他人の妹みたいで――ふと守ってやりたくなるような、そんな存在感があった。

 そんな凛の耳にも、先ほどの会話が届いていたのだろう。


「カフェ行くの? 私も行きたいっ!」


 突然の申し出に、圭は結菜の方を振り返る。

 彼女は少しだけ目を細めて、にこりと笑った。


「……うん、いいよ」

「悪いな……」

「全然大丈夫。なんか凛ちゃんって他人の妹って感じで、微笑ましいんだよね」

「ふーん、三枝センパイの妹にしてもいいんですよ?」

「それは大丈夫かなぁ……」


 その絶妙な空気のなか、三人は肩を並べて教室を出ていく。

 静かな火花を散らしながら――

 三人の夏は、ここから静かに始まりを告げた。

夏へ→N.1-F

https://ncode.syosetu.com/n6562kv/133/

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