Episode.13-G~賑やかな夏を~
前話:Episode.12-G
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テストが終わり、教室には成績表を手にした生徒たちの声が飛び交っていた。
歓声、ため息、どこかほっとしたような沈黙。
圭は自分の成績表を見下ろし、軽く頷いた。予想通りの結果だった。
「……どうだった?」
隣の席から、結菜がそっと声をかけてくる。
いつもの丸眼鏡の奥で、彼女の瞳がほんのりと和らいでいた。
「うん、大丈夫だった。そっちは?」
「……ふふん、私もね」
小さな誇らしげな笑みに、圭もつられて口元を緩めた。
「ね、せっかくだし……帰り、どこか寄らない?」
「どこかって?」
「……カフェとか。ちょっと甘いものでも食べたい気分」
その誘いに、断る理由はなかった。
テストも終わった今、少しくらい羽を伸ばしてもいいだろう。
「……いいね、行こうか」
そう頷いたときだった。教室のドアが勢いよく開かれ、元気な声が響いた。
「センパイ! 聞いて聞いてー!」
振り向けば、凛が駆け寄ってくる。
「赤点、回避しましたっ!」
掲げた成績表をひらひらと振って、満面の笑顔を浮かべている。
「……すごいな。よく頑張ったじゃん」
「えへへ、でしょ?」
嬉しそうに笑う凛。その姿はどこか、他人の妹みたいで――ふと守ってやりたくなるような、そんな存在感があった。
そんな凛の耳にも、先ほどの会話が届いていたのだろう。
「カフェ行くの? 私も行きたいっ!」
突然の申し出に、圭は結菜の方を振り返る。
彼女は少しだけ目を細めて、にこりと笑った。
「……うん、いいよ」
「悪いな……」
「全然大丈夫。なんか凛ちゃんって他人の妹って感じで、微笑ましいんだよね」
「ふーん、三枝センパイの妹にしてもいいんですよ?」
「それは大丈夫かなぁ……」
その絶妙な空気のなか、三人は肩を並べて教室を出ていく。
静かな火花を散らしながら――
三人の夏は、ここから静かに始まりを告げた。
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