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せつな  作者: 666
春編
101/817

Episode.13-D~空気感~

前話:Episode.12-D

https://ncode.syosetu.com/n6562kv/93/

 夏が近づくと同時に、学校全体の空気が一変する。

 教室に満ちるのは、いつもの雑談でも遊びの話題でもなく――

 試験範囲と点数、そして“赤点回避”という現実的な会話。

 そう、テスト期間。

 それは、夏休みという楽園の前に立ちはだかる、最初で最大の壁だ。

 圭も例に漏れず、昼休みや放課後の時間を使ってテスト勉強に勤しむようになっていた。



――――――



 放課後、教室の机にノートを広げていた時のこと。

 静かに歩み寄ってきた雪那が、圭の隣の席に座った。


「……勉強、教えてほしい」


 彼女はいつも通り、淡々とした声でそう言った。


「……苦手?」

「うん。だいぶ」


 聞くと、過去の成績も芳しくなく、補修の常連だったらしい。

 (……やっぱりか)

 授業中の反応、小テストでの沈黙。

 圭はなんとなく察していたが、彼女の口から“苦手”と聞くと、意外にも素直で新鮮だった。


「じゃあ……一緒に勉強しようか」


 そう答えると、雪那は微かに視線をそらしながら小さく頷いた。



――――――



 その日の帰り道、圭はふと、あることが頭をよぎった。


 (クラスメイトが、雪那を勉強会に誘ったりしないだろうか……)


 けれど、最近の雪那を見ていると、それもなさそうだった。

 ――というより、クラスの空気そのものが、変わってきていた。



――――――



「おーい、今度の日曜カラオケ行かね?」

「あー、でも雪那ちゃんとかいると、篠原と一緒にいるかもな。邪魔しちゃ悪いし」

「……だな。じゃあ別メンバーで行くかー」


 そんな会話が圭の耳に届いたのは、数日前の昼休みのことだった。

 どうやらクラス内では、無意識のうちに「高嶺雪那=篠原圭と行動を共にしている」という共通認識が出来上がりつつあるらしい。

 もちろん悪意があるわけではなく、むしろ遠慮や気遣いによるものだ。

 けれど、だからこそ逆に他の誰も、雪那に踏み込めなくなっているのが現状だった。

 (……このままだと、ずっと“二人だけの世界”になるかもな)

 それが悪いとは言えない。

 けれど、どこか息苦しさを感じるのも事実だった。



――――――



 いよいよ期末テストもあと数日というところまでやってきた。

 クラスの雰囲気もテストが近づくにつれて、重苦しいものに変わっており、否が応でも勉強をしなければならない空気感が漂っていた。

 圭もまたその空気感を演出する一人として、問題集を解いていた。隣では雪那が教科書を必死に読み込んでいる。

 ここ数日、空き時間を見つけては雪那に勉強を教えていたおかげで、ある程度は理解が深まってきたように思える。しかし、これではまだ足りない。もっとしっかり時間をとってラストスパートをかける必要があった。


 「高嶺さん、今度一緒に勉強会でもしない?」

 「……あ、うん。わかった」


 雪那に提案をすると、少し遅れて返事が返ってきた。よほど集中していたのだろう。

 さて、勉強会の約束を取り付けたのは良いのだが、一つ懸念点があった。


(二人でやるか……それとも、あの二人も誘うか)


 “あの二人”というのは、言うまでもない。

 三枝結菜と、有栖川凛だ。

 せっかくならみんなで勉強をしたい気持ちもあるが、二人きりでマンツーマンで教えた方がいい気もする。


 さてどうするべきか。



【選択肢1】:

 二人きりで勉強する→14-Gへ

https://ncode.syosetu.com/n6562kv/113/


【選択肢2】:

 結菜と凛を誘って四人で勉強する→14-Hへ

https://ncode.syosetu.com/n6562kv/114/

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