Episode.13-C~大きくなってから分かる、勉強の楽しさ~
前話:Episode.12-B
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《それじゃあ、また明日》
画面に浮かんだ短い一文。
いつも通りの、何の変哲もないやり取り。
圭はそれに《うん、おやすみ》とだけ返し、スマホを机の上に伏せた。
最近では、雪那とこうしてメッセージを交わすのが日常になっていた。
クラスでは、特に親しい素振りを見せることはない。
けれど、画面越しに交わされるやり取りの中には、互いの存在をそっと確かめ合うような温度があった。
まるで、糸のように細く、けれど決して切れない線。
そのやり取りのせいで、圭は常にスマホに気を配るようになっていた。
朝っぱらに雪那から「制服、第二ボタンの位置って合ってる?」などという実に微妙な相談が飛んでくることもあり、気づけば早起きが習慣になっていた。
――――――
けれど、圭の“管理”が功を奏しているのか、雪那のクラスでの交友関係は良好そのものだった。
彼女は以前のように圭にべったりすることもなく、友達からの誘いにもよく応じるようになった。
彼女が話している様子を、教室のあちこちで見かける。
その度に、圭は心の奥でそっと安堵するのだった。
(……よかった)
今日もまた、雪那はクラスの女子たちとカフェに勉強へ行く予定らしい。
「篠原くんも来ればいいのにー」と言われたが、圭は自分の予定を理由に断った。
というのも、圭もまた勉強会が控えていたからだ。
――――――
場所は、三人の家からも比較的近いカフェ。
平日の昼過ぎ。午前授業が終わったばかりの時間帯で、まだ店内は混んでいない。
大きな窓から午後の光が差し込み、テーブルの上には飲みかけのアイスコーヒーと、ひらかれたノート、参考書が並んでいた。
圭の向かいには凛。その隣に結菜。
結菜は、黙々とノートを取り、時折質問を飛ばしてくる。
落ち着いた学習姿勢は、見ていて安心すら覚える。
問題は――凛だった。
「えっとね、ここの文法、つまり“will”と“be going to”の違いって……あー、もうわけわかんない!」
頭を抱えながら唸る凛。
「だから、未来の意志か予定かの違いで――」
「それ、さっきも聞いたけど……説明されても頭に入らないやつー!」
「……」
圭は、諦め半分、苦笑半分で凛のノートに自分の指を伸ばす。
何度も教えたこのやり取りは、中学時代から何一つ変わっていなかった。
(……懐かしいな)
そんな感情が、ふと胸を満たす。
けれど、懐かしさというものは、時に“予感”を伴う。
その予感は――案の定だった。
「ねえセンパイ、そろそろさ……山、登んない?」
ぴったりと肩を寄せ、いたずらっぽく凛がささやく。
「……は?」
「リフレッシュ! ほら、頭疲れたでしょ? 上で勉強した方が、効率いいって〜!」
そう言って圧をかけてくる彼女は、完全に“勉強モード”を脱していた。
結菜が、ゆるく息をつきながら本のページを閉じる音が響いた。
「……行くの? 圭くん」
「さあ……」
圭の目が、スマホと、凛と、そして夏の空へと交差する。
【選択肢1】:
山に登ることにする→14-Eへ
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【選択肢2】:
このままカフェで勉強を続ける→14-Fへ
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