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せつな  作者: 666
春編
100/817

Episode.13-C~大きくなってから分かる、勉強の楽しさ~

前話:Episode.12-B

https://ncode.syosetu.com/n6562kv/91/

《それじゃあ、また明日》


 画面に浮かんだ短い一文。

 いつも通りの、何の変哲もないやり取り。

 圭はそれに《うん、おやすみ》とだけ返し、スマホを机の上に伏せた。

 最近では、雪那とこうしてメッセージを交わすのが日常になっていた。

 クラスでは、特に親しい素振りを見せることはない。

 けれど、画面越しに交わされるやり取りの中には、互いの存在をそっと確かめ合うような温度があった。

 まるで、糸のように細く、けれど決して切れない線。

 そのやり取りのせいで、圭は常にスマホに気を配るようになっていた。

 朝っぱらに雪那から「制服、第二ボタンの位置って合ってる?」などという実に微妙な相談が飛んでくることもあり、気づけば早起きが習慣になっていた。



――――――



 けれど、圭の“管理”が功を奏しているのか、雪那のクラスでの交友関係は良好そのものだった。

 彼女は以前のように圭にべったりすることもなく、友達からの誘いにもよく応じるようになった。

 彼女が話している様子を、教室のあちこちで見かける。

 その度に、圭は心の奥でそっと安堵するのだった。


 (……よかった)


 今日もまた、雪那はクラスの女子たちとカフェに勉強へ行く予定らしい。

 「篠原くんも来ればいいのにー」と言われたが、圭は自分の予定を理由に断った。

 というのも、圭もまた勉強会が控えていたからだ。



――――――



 場所は、三人の家からも比較的近いカフェ。

 平日の昼過ぎ。午前授業が終わったばかりの時間帯で、まだ店内は混んでいない。

 大きな窓から午後の光が差し込み、テーブルの上には飲みかけのアイスコーヒーと、ひらかれたノート、参考書が並んでいた。

 圭の向かいには凛。その隣に結菜。

 結菜は、黙々とノートを取り、時折質問を飛ばしてくる。

 落ち着いた学習姿勢は、見ていて安心すら覚える。

 問題は――凛だった。


「えっとね、ここの文法、つまり“will”と“be going to”の違いって……あー、もうわけわかんない!」


 頭を抱えながら唸る凛。


「だから、未来の意志か予定かの違いで――」

「それ、さっきも聞いたけど……説明されても頭に入らないやつー!」 

「……」


 圭は、諦め半分、苦笑半分で凛のノートに自分の指を伸ばす。

 何度も教えたこのやり取りは、中学時代から何一つ変わっていなかった。


 (……懐かしいな)


 そんな感情が、ふと胸を満たす。

 けれど、懐かしさというものは、時に“予感”を伴う。

 その予感は――案の定だった。


「ねえセンパイ、そろそろさ……山、登んない?」


 ぴったりと肩を寄せ、いたずらっぽく凛がささやく。


「……は?」

「リフレッシュ! ほら、頭疲れたでしょ? 上で勉強した方が、効率いいって〜!」


 そう言って圧をかけてくる彼女は、完全に“勉強モード”を脱していた。

 結菜が、ゆるく息をつきながら本のページを閉じる音が響いた。


「……行くの? 圭くん」

「さあ……」


 圭の目が、スマホと、凛と、そして夏の空へと交差する。


【選択肢1】:

 山に登ることにする→14-Eへ

https://ncode.syosetu.com/n6562kv/111/


【選択肢2】:

 このままカフェで勉強を続ける→14-Fへ

https://ncode.syosetu.com/n6562kv/112/

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