Episode.4-C~hill~
前話:Episode.3-B
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駅前のロータリーには、午後の陽が柔らかく差し込んでいた。
バスの発着や、行き交う人々のざわめき。商業施設の喧騒と、若者たちの笑い声が交差する、町で最も賑わう場所。そんな中、圭はその一角にある洒落たカフェの看板を見上げていた。
ガラス張りのファサードに、洒落たロゴ。スタバのようなチェーン系の店だ。女子たちがよくSNSに写真を上げる、いわゆる“映え”を狙ったメニューが豊富な場所。
雪那の顔をちらりと窺い、圭は言葉を選ぶ。
「駅前の……このカフェ、どうかな。女の子って、こういうの好きだって聞くし……」
そんな曖昧な理由を口にしながらも、内心では少しだけ自分を嘲っていた。雪那が本当に「女の子」らしいものを好むかなんて分からない。だが、それでも彼女は――
「……うん」
迷いもせずに頷いた。
その反応に、逆に戸惑う。けれど、深くは考えない。彼女にとって「選ぶ」ことはすなわち、「圭が選んだものに従う」ことだからだ。
圭はポケットの中のサイコロに触れたくなる衝動を堪えながら、歩き出す。
カフェのドアが見えたところで、圭はふと立ち止まり、振り返る。
「……本当に、ここで良かった?」
何気ない問いだった。だが、雪那は首を横に振った。
「そういう聞き方、しないで」
「え?」
「私に選択を求めないで。貴方の選択は、私の選択なんだから」
その言葉に圭は何も言えなかった。
カフェの自動ドアが開き、二人はその中に入った。
エアコンの冷気と共に、甘く香ばしいコーヒーの匂いが鼻腔をくすぐる。照明は柔らかく、木目調の内装が落ち着きを与えていた。
店内は混雑していた。制服姿の女子グループ、スーツ姿の会社員、タブレット片手に作業をする若者……皆が思い思いの午後を過ごしている。
注文カウンターに近づくにつれて、ずらりと並ぶドリンクメニューが目に飛び込んできた。
キャラメルフラペチーノ、ダブルモカラテ、抹茶ホワイトチョコレート……
派手な名前に圭は思わず気圧され、立ち止まりそうになる。
「……高嶺さんは、ど…れ……」
思わず雪那に要望を聞きそうになって、言葉が萎んでいく。彼女は無表情のまま、じっとこちらを見つめていた。
その視線はどこかじっとりと重たく、しかし確かに「訴えて」いた。
――私に選択を求めないで
さっきの言葉が圭の中に蘇る。
せめて嫌いなものを言ってくれれば助かるのに、と苦笑する。しかし、短時間で同じ過ちを繰り返すわけにも行かない。
深呼吸を一つ。
雪那の分のドリンクを選ぶ――
【選択肢1】:
甘いやつを頼む。→5-Dへ
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【選択肢2】:
苦いやつを頼む。→5-Eへ
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