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短編集  作者: 蜜傘
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いつかの日だまりの中で

疑って泣かせてしまうより 裏切られて泣くほうがずっと楽だった

人がいた

湖のほとりで それを眺めるようにして

でも それなんか全く見ていないようで


わたしはその人を見ていた

その人のことをわたしは知らないけど

その人のことを見ていたかった

そして 話しかけたいわけでもないのに

傲慢にも 気づいてほしいと思っているような気がした

傲慢にも 話したいと思っているような気がした


彼女はこちらに気づいて振り返った

知ってか知らずか わたしと目を合わせて微笑んだ

いつものように

いつものように ?

だからわたしは その人のもとへ駆け寄った


水面は穏やかで 空をうつしていた

忙しなく話したいことがあった気がするのに

今は彼女のそばにいることが嬉しくて

忘れることを選んだような感覚がした

ただ 彼女の隣にいることを実感したいような感覚がした


優しい時間が訪れた

季節の変わり目の香りがして 草花が揺れていた

ここにいることを実感した

ここにいることに感謝した

彼女と目を合わせると 彼女は相も変わらず微笑んだ

いつものように

当たり前のように


どこにも行きたくないし どこにも行ってほしくなかった

そう思ったのは どこかへ行くような気がしたから

それは彼女かもしれないし それはわたしかもしれない

しがみつくように願っても 無駄なことだと知っている気がした

それでも 願っていた


あなたがわたしの母であると知るのは 

もっと未来の出来事かもしれないし

もっと昔の出来事なのかもしれない

でもまた会えますように


忘れてしまえば 深い傷も気づかれない

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