静かに沈む
少し冷たい夏の夜の海
まるで海に浮かんでいるかのような月
苦しさは海に流して
悲しみは海に溶けて
身体は海の底へ沈め
静かに消える
夏の虫の奏でる音色
柔らかな風が心を抜ける
砂浜に映る影
周りを見渡してもわたしはひとり
零れた涙は誰も救えることがない
全力疾走
砂浜を駆ける
息を切らすのもこれが最後
綺麗な貝は生き生きと
崩れたわたしは死を待つと
この差は一生埋まらない
サンダルを脱いで足を冷やす
重石を付けた足首も
髪はほどいて風になびかせ
白いワンピースは海色に染まる
静かに沈んで
静かに消えて
静かに死ぬの
苦しい
冷たい
きらきら光る水面は
まるで宝石のようだね