6話.魔王面談です。
魔王による魔術習得に向けた試練開始です。
「どう言うことだ?お前が俺?何言ってんだ?」
こいつがたった今自分で自分が魔王だと言っている。しかも初代だって、だいぶ昔の魔王ってことだろ?そんな奴がなぜ俺の名を語っているんだ?意味が分からない。アルフレットの話によると、『勇者』と『魔王』は一定の間隔で生まれ変わる存在だって教わった。仮に目の前にいるこいつが魔王だったとしても俺な訳がない。ほんとにこいつは何者なんだ?
「警戒してるな、それもしょうがない。突然現れたヤツが突然、魔王だとか自分自身だとか言われても信じれないのも無理もないな、だがまぎれもない事実だ。俺は、初代の魔王だし、俺は、お前自身だ。」
「じゃあ証明してみろ、お前が俺だってことをな。」
「そんなもん、お前が俺を『鑑定解析』すればいいだけだろ、まさかお前、まだ習得してないのか?エゲリアのやつ仕事してないのか?」
エゲリア?誰だ?さっきから何を言っている?わからないことをいくら考えても仕方ないな、すべてはこいつを『鑑定解析』すれば済むことだ。
「『鑑定解析』発動」
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四葉 慎太郎
体力 100,000,000,000/100,000,000,000
魔力 100,000,000,000/100,000,000,000
攻撃力 ∞
防御力 ∞
知力 100,000,000,000
運 100,000,000,000
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ユニークスキル
『魔法創造』『魔術創造』
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スキル
攻撃系統合スキル『絶死』
防御系統合スキル『絶防』
魔法系統合スキル『全魔』
『死克』『時空間操作』『厄災魔法』『神魔昇華』
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称号
『魔王』『初代魔王』『勇者殺し』『賢者殺し』『死克者』『世界の支配者』『神殺し』『時の魔術師』『神』『全能神』
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......................こいつ、やばすぎる。鑑定をしてわかった、確かに目の前にいるこいつは確かに俺だ、だが今の俺とは天と地ほどの実力の差がある。今の俺では絶対に勝てない、てゆーかこいつに勝てるヤツなんてどこにいるんだ?同時に可能性も見える、目の前のこいつが俺ならば、いずれ俺もこいつと同じステータスまで能力を上げることができるということだ。
「お前が俺ってことはわかった、だがそのステータスはなんだ?どうやったらお前みたいに強くなれる?それに魔術を教えてくれんじゃなかったのか?そのために俺はここに来たんだ。」
「そうだな、これも何かの機会だ。試練のついでに伝えておきたいこともあるしな始めるか、試練。」
パチンっ
魔王が指をはじくと目の前が暗くなる。そして暗闇に一人になった俺に遠くから魔王の声が聞こえる。
『おい!これから試練だ!とりあえず受けてみろ!敵がいたら倒せ!以上だ!じゃあがんばれ。』
「テキトーすぎだろ。ほんとに大丈夫か?」
明るい光が向こうからこっちに迫ってくる。
(ここは..................?)
「おい!四葉!さっさとこっち来い!」
「あっ............はい!」
「その「あっ」ってのやめろっていつも言ってんだろ!きもちわりぃんだよ」
「あっ.............ごめん。」
(なんだ?俺?こいつはクラスメイトだったな、相川だったか?俺はなんでこいつと一緒に行動しているんだ?)
そこには、四葉とクラスメイトが一緒に森の中を歩いている状況だった。四葉自身そんなことをやった記憶なんて一切ない、これはなんなのか全く理解できなかった。しかも目の前の自分は、クラスメイトの相川のパシリのような関係に見える。相川はクラスの中でもかなりのヤンキーだった。授業にはまともに参加している姿なんてなかなか見たことなかったし、四葉自身は相川とは全く接点などない、学校で話したことなんてなかったし、陰キャの四葉だが、パシられるような関係でもない、なのでこの状況は一切理解できなかったのだ。
「おっいい感じの魔獣がいるじゃねえか、レベルアップにはちょうどいい、おい四葉!今回はミスるなよ!ちゃんと捕まえとけよ!」
「うっ..........うん。頑張るよ。魔法『影捕縛』発動!」
映像の中の俺が魔法を発動する、俺の知らない魔法だ。俺が放った魔法は俺自身の影を伸ばし、遠くにいる魔獣とやらに絡みつき動きを制限した。そこに相川が追い打ちをかける。
「死ねぇぇえ!爆撃拳!」
勢いよく魔獣に拳を振りかざす、そして殴った個所が強烈な爆発を起こした。俺もまた俺の知らない魔法だな。
「よし、レベルアップしたぞ、新しいスキルはなしか。まあいい、行くぞ。」
「うん、わかったよ。」
まったく意味が分からないな、俺と相川が一体なにをしているのか、目的が見えない、しかもレベルアップってなんだ?この世界にはそんなシステムがあるのか?知らないぞ、俺の『鑑定解析』にもレベルの表記はなかった。
『混乱しているな、とりあえず最後まで見てみろ、こんな映像でも役に立つこともあるだろう。』
「...............?それはどういう........」
「おい!もたもたすんな!さっさとしねえと魔獣がよってきちまうだろうが!」
「ご...ごめん」
そう言うと目の前の俺はさっさと荷物をまとめてそそくさと相川の後ろをついて歩いていった。するといきなり周りの景色が変わった。
そこは戦場だった。血に染まる大地、大量の屍、響く悲鳴。そこはまさに地獄のような景色だった。
ふと周りを見回してみるとクラスメイトがいる。みんな揃って同じ方向を向いている。みんなの視線の先には、見たことある姿があった。魔王だ。
「よう、お前ら久しぶりだな。俺が追放されたとき以来だな。」
目の前の魔王は、俺と同じようにクラスから追放されたらしい、なぜ俺とクラスメイトが相対しているかはわからない、だがもし、目の前で起きていることが事実なら俺はこいつらクラスメイトに対して、追放をされた報復をしようとしているのだろう。俺の表情と言葉の節々から怒りの感情が見え隠れする、怒りというか苛立ちに近いな、報復というか八つ当たりだな。
「四葉君、君は今、自分で自分が何をしようとしているかわかっているのかい?」
「ああ、もちろんわかっているとも。俺はこの世界に真の魔王として顕現する。そのために必要なことをしようとしている、あとは俺の個人的な感情だな。」
「その真の魔王として顕現するのにどれほどの人が犠牲になるのか知っているのか!?」
「知っているとも、それはお前自身が一番わかっているだろ?この世界の『勇者』と『魔王』は表裏一体、俺の真の魔王に覚醒進化するための条件は、『勇者』もほとんど変わらんだろう?」
「それがどうした!?なんの罪のない人々を救うための必要な犠牲だ。」
「じゃあ俺も同じ気持ちだな、俺は俺以外のことなんてぶっちゃけどうでもいい、たまたま犠牲になるのがたまたま同じ人族だったってだけだ。お前だって同じだろ?残虐だなんだって言ってるけど、魔族から見たお前と、人族から見た俺はさほど大差ないだろ?なのになんでこんなに非難されているんだ?」
「君に何を言っても無駄だってことはわかったよ。」
『勇者』新城は、腰にぶら下げた剣を抜く。無駄にキラキラした黄金の剣だ。凄まじいオーラを放っている。
それに対し、魔王は腕を前に向け、魔術を発動する。
「魔術『終焉を迎える運命の者ども』発動」
魔王とクラスメイトは漆黒の闇に包まれ数秒たったあと、闇が晴れた。そこには死に絶えたクラスメイトとたった一人、今にも倒れそうな『勇者』新城と余裕な表情で突っ立っている魔王がいる。
「つまんねーな、俺を追放してから何してたんだ?ただだらだら過ごしてただけか?魔獣を殺して、魔人を殺して、魔族を殺して、四天王をも殺して真の勇者として覚醒したお前が覚醒もしてない俺にこんな簡単にやられて恥ずかしくないのか?」
「はぁ........はぁ.....なにをした。この鎧はあらゆる魔法に耐性があるんだぞ?覚醒した時にあらゆる魔法を感知する魔眼も授かった。だが何も感知できなかった。一体何をしたんだ!?」
「うるせーな、説明してもどうせ理解できないんだ、死んで神にでも聞けや。」
.......ドンっ........
そこで『勇者』新城は息絶えた。この瞬間、『魔王』四葉は、真の魔王として覚醒し、この世界に顕現したのだった。
そこで映像が終わった。元いた地獄のような場所に帰ってきた。
「おう、おかえり。どうだった?」
「まずあれはなんだ?俺とクラスメイトがいたが俺はあんな場面全く記憶にない。最後のあれはなんだ?真の魔王だとか真の勇者だとか一体なんなんだ?」
「ああ、一から説明してやるよ、あれは俺の記憶だ。俺が体験したことをそのままお前に見せただけだ、だが安心しろ、お前は俺と同じ道は辿らないようになっているからな。」
「記憶.........?同じ道を辿らないってなんだ?ってかまず俺が二人いること自体意味わかんないんだよ。」
「あー、そっからか。じゃー教えといてやるよ。
...................賢者は敵だ。お前はいつか、賢者と戦う運命にある。」
賢者が敵?けど師匠だしなぁ~どーしよ。