54話.流れるままの生
四章もラストスパートに突入です
テンポ良く行きましょう
四葉 慎太郎の視点
目の前に転がる渡辺だったモノ。
「.......う.....ぅ......あぁ........」
「.............」
予想はしていたがやっぱ何も思わないな
死して無になるだけの元クラスメイトに対して俺は何も思わない。助けたいだとか、手にかけたことによる後悔。その他一切の感情が湧いてこない
正直驚いている。この状況で何かを思うべきだとは思っているが、何も思わない事。その状況に驚いている。
「............はる.........き.........?」
青木 流星の声だった。
受け入れがたい現実に直面した青年は、細い細い声を絞り出した。
友の死。すでに確定した事実のみが彼の目と脳を支配した。その他一切の情報をシャットアウトし、まとまらない思考だけが彼の脳みそを駆け巡る。
回復魔法。蘇生の可能性。そういった微かな希望をまだ諦めきれていない青木 流星
その隙を突こうと俺は青木に向かって駆け出す
絶望する青木、正面から迫る俺の姿はまるで入っていないかのような様子だ
身体強化した手刀で心臓を一突き。それで殺れるッ
突き出したその手は青木を確実に貫いた..........はずだったのだが、実際は寸前で俺の腕は何者かに止められてしまう。
「...........何してんだ?ティスミス」
俺の腕を掴んだ人物の正体はティスミス・ニュートロン。このエルフの国の第一階級序列第一位に位置する最強の男。2mを超えるその巨躯と常人では到底たどり着くことのできない程に鍛え上げられた全身の筋肉。最強の名にふさわしい風貌を持つその男は俺を無表情で見据える。
「それはこっちの台詞だ、ヨツバ。おめぇ今いったい何しようとした?」
「別に。ボケッと突っ立ってる敵を仕留めようとしてるだけだが」
互いになんの抑揚のない言葉で会話を交わす。
「それは違うだろ、俺達は戦士だ。戦う意思のない者を攻撃することは許されない」
「それはお前らの話だ、俺は戦士でも何でもないからな、手ぇ放せ。俺は俺の好きにやらせてもらう」
「お前は今オレの部下だ、つまりお前も戦士ということだ、オレの命令には従ってもうらぞ」
「...............チッ」
暴論だな。と思った。だがここでこいつを振り切ってまで青木を攻撃するという『利』と命令違反に伴うエルフ陣営との敵対の可能性という『害』。
わざわざ敵を増やすこともないか......と、意識を切り替え俺はティスミスに掴まれた腕を振り払う
「んじゃ、どうするんよ。このままあいつが立ち直るまで待機かい?総隊長サマよぉ」
「...........それはヤツ次第だ。ヤツが再び戦士として俺達に向かってくるというのならば、オレも正面から正々堂々と受けるつもりだ」
「お前、あいつの事殺そうとしてなかったか?」
「そうだな、ヤツは仲間を傷つけた。それは許されざる行為だ、断じて容認できない。だが、それとこれは話が別だ。さっきも言ったが俺達は戦士だ。誇りをもって敵を討つ。その心を忘れてはいけない。それを無くして勝とうとする者はもはや戦士ではない、人の型をした獣だ」
「ふーん.......」
うーん、シンプルに獣って言われた気がする。
ご立派で崇高な自説の展開に若干の困惑を覚えつつも俺は一旦受け止めることにした
王様との面会のときは自由奔放なイメージだったけど意外と厳格な性格らしい
そーいや林の所はどうなったのだろうか
フィーアたちを向かわせてそのままになってしまったが、大丈夫だろうか。相手は一応『勇者』、数では圧倒的に優位とはいえ何人かは死ぬ可能性がある。
別に俺自体は仲間が死ぬことになんも思う所は無いが、横にいる男がなぁ。後々なんか言ってくるかな?
..............仕方ない
『索敵魔法』広域展開
...............見つけた
全員をこっちに転移..........は、やめとこう。ただでさえちょっとカオスなこの状況がもっとカオスになる。
俺が出向くか
「なぁ、ここはお前に任せてもいいんだよな?」
「どこに行く気だ?」
「フィーアとかイアンの所にな、もう1人の『勇者』との状況がちょっとな.......」
「お前はここにいろ、お前が手にかけた者の最期はちゃんと見るべきだ」
真面目やなぁ、めんど
けれどフィーア達が気になるのに変わりはない。ので
「おい、ティスミス。ここは俺が引き継ぐからお前はアッチ向かえ」
「まあそれならいいだろう、だが条件がある」
「.......なんだ」
「ヤツがちゃんと自分の足で立ち上がり、向かってくるまでお前から仕掛けることは許さん」
「あぁ、いいぞ。約束だ」
ティスミスは満足したかのような表情で霧の中に入り、フィーア達のもとへ向かった。
俺はただただ立ち尽くす青木に向かって歩く。
「俺は何も間違ったことをしたつもりはないぞ?」
「.......................なに?」
悲しみと怒りを含んだ声だった、死んだような顔のままこっちを向く青木
「別に謝るつもりもない、間違ったことをしたつもりはないと言ったが正しいことをしたとも思ってないからな?俺のしたい事をした結果がこれだ」
「治樹を、殺すことが...............お前のしたかったことなのか?」
「別に明確な殺意を持っていたわけじゃない、追放されたことに関しては今はもう特に怒ってすらいない」
「じゃあ..............なんで................」
「さぁ?たまたま敵陣営だった。知り合った種族の違い。『勇者』と『魔王』だから。適当に理由を付けるとしたらこのあたりか?どれがいい?」
「おまえ.........................」
「どうでもよかったんだ、誰が死のうが生きようが。」
俺は続ける
「最近気づいたんだが俺はその場で流されるままに生きているんだ。敵も味方もその場次第、明確な意思のもと行動した試しがない、ただただ強大な力だけをもって流れ着いた場所に不幸をもたらす。俺は災害のようなモノなのかもしれないな」
「それは.......治樹に死に何か関係があるのか?」
「別にただの自分語りさ、お前のメンタルケアをするつもりも渡辺の死を悼むつもりもない、殺したことに後悔もしないし、その他の感情を思うことはこの先一生ないと確信している。それを考慮したうえでお前に聞いていやるよ
........................まだやるか?」
「.............................死ね..........................」
[勇者としての覚醒を確認]
[勇者に相応しい力が送られます]
自分の生き方を自覚する四葉君でした....
作者としてはサイコパス感を出せているといいなぁって感じなんですけどいい感じに出せているか不安です。
登場人物の名前を普通に間違えるというミスをやっていました......
自分の確認できるところでは修正したんですが漏れがあるかもしれないです。もしミスを見つけたらよろしければ教えていただけたら幸いです。よろしくお願いします。
その他にもコメントいただけたら最高にうれしいのでこれからも応援よろしくお願いします!




