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異世界転移で追放されたけど自由に生きたい  作者: なぎちゃ
四章.エルフの国の災難
52/54

52話.vs渡辺 2

VS渡辺 決着です。

う~ん、わからん。前提から間違っていたのだろうか?

まあはっきり言ってしまえば何一つ確かな情報なんてハナから無かったのだが....




「はぁ......やっぱ慣れないことはやるべきじゃないんかねぇ...」

「何言ってんだ?お前」

「ん?あぁ、ひとりごと~」






..........パチンッ







真っ直ぐと渡辺を見据え、『指鳴り』。つまり指パッチンをし、俺はとある魔法を発動。

時空間操作魔法 『時よ止まれ(クロック・ロック)


魔法により凍り付いた時間と空間、俺だけが自由に思考し、行動できる。........が、

果たしてこの魔法が渡辺に通用するのか、事前に確証を得ることはできない状況でこの魔法を使うことは避けたかった。


習得し間もなく、コントロールが難しいこの魔法は魔力も精神力も激しく消耗する。失敗のリスクを抱えたままこの魔法を使うことに不安しかないが、覚悟を決めなければいけない時が来たのかもしれない。


勝ちに向かってひたむきに、一歩一歩地道に、時に賭けに出ながらも、突き進む。



うん、魔王のすることじゃないな。どっちかといえば勇者っぽいけどなぁ...




話を戻そうか

『魔法無効化』を持つ渡辺にこの魔法が通用するのか、『時よ止まれ(クロック・ロック)』は渡辺の時間を止めているわけではなく、発動地点を中心とした一定範囲の時間の進みを停止させる魔法であり、直接的に渡辺を害する様な攻撃ではないため、もしかしたら無効化されないのかもしれないという淡い期待を込めたなかなかに浅はかな策である。



停止した時間の中、俺はすこしずつ渡辺に近づいてゆく、無効化の可能性がある以上時間を止めたからといって油断できない。

渡辺の目の前、無効化の可能性があるから魔法は使わない。


握った拳を構え、踏み込む。全力の一撃。



必中であるはずのその一撃は、ある意味予想通りに俺の予想を裏切ってきたのだった。




「お前程度が使う魔法なんざ、俺に通用するわけねぇだろバーカァ!!!」

俺の繰り出した拳は停止した時間から抜け出した渡辺に受け止められてしまったのだ


なるほどね、ようやくわかった。

捕まれた拳を振りほどき、2、3歩下がった所で

「.....お前のスキルは『魔法無効化』じゃないな、お前のスキルは『魔法への適応』」

「ッ!?」


『何故わかった!?』と顔に書いてある。ここまではっきりと間近で観察し、検証さえ出来れば.....まあこれくらいの結果は導き出せるだろう


「お前の『魔法への適応』はお前に対する魔法、かつ、お前の理解できる魔法であるならあるだけの速さで無効化できるんだろ?」

「.......」

「だがお前に向かっていかない魔法に関しては対象外だし、またお前の理解の及ばない魔法に対してはスキルによる解析の時間を要する」

ポーカーフェイスを保つ渡辺を見ながら俺は俺の自説を語る


「俺の『時よ止まれ(クロック・ロック)』は空間を対象とする魔法だ、だからお前の『適応』の対象外だったんだろ?もちろん時間停止なんて理解できるわけないもんな?」

適応対象外だったはずの魔法をどうやって適応したのかは謎だがここは考える必要はない、時間をかければできるってことを頭に入れておけば対処のしようはある


恐らく身体強化など強化付与(バフ)に対しても『適応』はできるのだろう、適応の結果は対象の強化分の自動的な自己強化。強化付与(バフ)には強化付与(バフ)によって『適応』するのだと考えれば俺の『疾風』の速度を追えたのも辻褄が合う




はぁ、これで手札はそろった。そろってしまった。

あの時思いついた作戦ができてしまう可能性が出てきてしまった。






.........やるか...........






全力の身体強化を自身に付与。当然、渡辺にも同程度の強化が付与されるが問題ない

俺は構えを取り、渡辺に声をかける

「おい、構えろ」

「........は?お前何言って.........ッ!!」


渡辺が何かを言い切る前に俺は仕掛ける

それに反応し、防御、即座に反撃する渡辺、それを回避、反撃する俺、それを回避、反撃、防御、反撃、追撃、防御、反撃、反撃、防御、追撃、防御............




凝縮された一瞬の時間に繰り返される無数の攻防

ステータスの差と格闘経験の差。互いの長所を差し引いてギリギリ俺が劣勢、この状況がこのまま進んだら俺が押し切られて負けるのは明白












それは渡辺自身も直感で理解できていた、だからこそ、理解できなかった。なんで四葉(こいつ)は俺に真っ向勝負を仕掛けてきているのだろうか?

その違和感はすぐさま切り捨てることのできない程に大きなものだった。だがその違和感を確かめる手段は無い。故にこの勝負を受けるしか選択肢はなかったのだ。


こいつは何かを仕掛けてくる。それは分かりきっている事、だが同様にこのまま格闘で押し切れば勝てるのも分かりきっている事


ならば俺がやるべきことは一つ、こいつが何かを仕掛けてくる前にブチ殺す!!






渡辺のボルテージが上がる、渡辺のスキル『変転応化(アダプト・シフト)』による身体強化に追加して自前の身体強化を追加で発動

ステータス上では未だ四葉には届かぬものの、戦闘は急激に加速する!












.......渡辺の気迫が急激に増した。

二重の身体強化か、その程度で.......

「俺を超えられるとでも思ってんのか?」


『疾風』の上位魔法『神風』を発動、音の壁を超える攻撃は一つの動きがまさに災害のような影響を周囲の及ぼす。大地をえぐり削る衝撃を巻き起こし、轟音を鳴らす。


それに呼応する渡辺自身も音速を超え、俺と同様の被害を周囲に起こす









四葉と渡辺の巻き起こした衝撃はいつの間にか周囲の霧『迷いの霧コンフュージョン・フォグ』の一部に風穴を開けた。通常、風の魔法などを使っても動かすことなんてできないのだが、あまりの衝撃に耐えらず一部とはいえ濃霧に穴を空ける結果となったのだ。




その風穴は四葉の背後に現れた。ちょうど渡辺の視線の先......ティスミスと戦う青木の姿が見えた。

青木()ティスミス()は今も戦闘を継続中、二人だけの世界に入っているのか急に現れた風穴には気にも留めず攻防を続けている


渡辺は急に視界に入ってきた友の姿に一瞬とはいえ気を取られた







だが、その一瞬が致命的な隙となる。















俺は走り出す。渡辺の方向じゃなく、後ろ。渡辺から距離を取るように、走り出す。


逃げた訳じゃない.......目標は、風穴の先。青木 流星

こちらに気づかずティスミスとの戦闘に夢中になっているその背中に向かって俺は魔法を放つ。


「......『穿天』」

(くう)に放った拳、そこから放たれる不可視の攻撃

青木の背後から迫るその攻撃はもはや命中は必至だった。











だが、そこに割り込む影が一つ。

「避けろッ!流星ィ!!!!!」









突如響いたその声に驚き、青木 流星は回避行動を取った。その結果『穿天』の回避に成功




だが................その声の当の本人は.............

腹が.......否、胴が..........消滅していたのだった














渡辺 治樹の死がこの瞬間に確定した。

渡辺のスキルがめんどくさすぎて倒し方が思いつかなかったデス...........

伏線張ったからには回収しなきゃしけないという謎の縛りプレイ状態で勝手に苦しんでいました.....w



次回53話は年内には更新予定です。

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