51話.vs渡辺 1
ぬるっと50話を突破いたしました。
いつもありがとうございます!
これからも細々と頑張っていくので応援よろしくお願いします!
霧の中を歩く。その足取りは想像していたよりは軽い。これから実行する計画に乗り気はしないものの、失敗するとは微塵も思っていないからだろうか。
怒りも恨みもない。復讐なんて言葉はとっくの昔に消え去っている。なのに何故俺は今から元同級生を殺そうとしているのだろうか、不思議な感覚だった。いざとなったら何か、それらしい感情が湧いて出るものだと思っていた。
だが実際はどうだ?自分でも驚くほどに心は凪いでいる。
この感情をなんと呼ぶのだろうか............
「..........なぁ、お前にはわかるか?渡辺」
「...............ッ!!よぉ、随分と久々じゃねぇかよ、四葉」
渡辺はいきなり現れ、全くの脈略の無い質問をする俺に少し驚きつつ、再会の言葉だけを返してくる。
「あぁ、久々だな、今日はガチでやってやる。.............こいよ」
俺は手をクイクイッと渡辺を煽る。それに対し、渡辺は....
「舐めんなよ?前回みたいにうまくいくとでも思ってんのか?お前の魔法なんざ俺がかき消してやるよッ!!」
振り返り、こちらに向かって急接近してくる渡辺
渡辺が俺のエリアに到達するまでの刹那の時間に、俺は先程まで渡辺と戦っていて、いきなり俺が登場したことに対してまだ驚きが収まらない様子のフィーアに対し
「おーい、フィーア。こいつは俺が対応するから、お前は他に行け、青木.....はティスミスがやってるから.....キノコ頭の眼鏡野郎の所に応援でも行け」
「あっ.....あぁ、こちらは頼んだ。」
若干の動揺は感じられたが、まあ状況の理解とこれからやるべき事は理解できたのだろう。イアン含むほかの仲間たちを連れて霧の中に入っていった
ちなみに何となくわかると思うけどキノコ頭の眼鏡ってのは林 哲弘のことね。マッシュヘアーで眼鏡、わかりやすいでしょ?
余計なことを考える時間は終わりだ。集中.....
迫りくる渡辺の右ストレート。格闘技経験はどうしたと言いたくなるほどにお粗末に見えるパンチ、それに対し俺は半身になり、拳を躱す。と同時に左手で渡辺の手首をつかみ後方に引っ張る。
それに合わせるように右の掌底に魔力を集中させ、渡辺の顔面にめがけて思いっきり放つッ!
ボグンッ.....といった重い音が響き、渡辺の鼻から鼻血が噴き出る。
「おいおい、もっと真面目に来いよ。俺はお前を殺すぞ?」
「.......痛ってーな、このやろぉ、テメェも覚悟しろよ?」
俺は再度、手をクイクイと動かし、煽る。
渡辺も再度、俺に向かってくるのだが、今度は雰囲気が違った。さっきの素人感が感じられるパンチではなく、『格闘技』を感じられる動きから放たれる確かな実力を秘めたストレート。
それを俺は紙一重で回避。
観察成果の一つ、ステータスの差。俺と渡辺の間には劇的とは言えないが確かなステータスの差があり、その差を考慮すればたとえ俺が格闘技初心者だったとしても渡辺の攻撃を躱せるのだ。
「おいおい、躱すだけじゃいつまで経っても俺に勝てないぜ?」
渡辺の攻撃を数十回回避した時、急に渡辺が攻撃を止めた。そして俺を煽る。
それに対して俺は....
「『魔剣召喚』発動......『無剣』召喚」
召喚した魔剣を握り、真っ直ぐと渡辺を見据える。
「いくぜ?」
「......」
現れた魔剣の気配か、俺の雰囲気の変化か、渡辺にとって得体のしれないプレッシャーに押され渡辺は構えを取る。
数秒の沈黙の後、俺は詠唱破棄で『身体強化』の魔法と『疾風』の魔法を同時発動
瞬時に渡辺の背後まで回り込み首を斬り落とすつもりで斬撃を放った。
常人には目にも止まらぬ超高速の攻撃に対し、渡辺は超反応を見せる。背後に回り込むまでの俺の移動をも目で追い、横なぎに振るう俺の剣を掴み取ったのだ。
まぁありえない話じゃあ無い、実際できてるわけだしな、元々の反射神経+ステータスによる飛躍的な強化さえあればこれくらいはできるだろうと予想はしていたが....
まさか、掴まれた剣をピクリとも動かせない程差があるとは思わなかったな、一応俺もそれなりに高いステータスなんだけどね
俺はすぐさま魔剣を解除、両腕を挙げ、そこに魔剣を再召喚、そのまま掴んで真下に振り下ろすッ!
完全に虚を突いた一撃だった......だが渡辺は俺の行動を事前に知っていたかのように振り下ろされる剣をなんの動揺も見せずに片腕で受け止める。
「........」
.........違和感。
未来予知系統のスキルか?いや、違う。あまりにも今まで得てきた情報と乖離しすぎている。やはりステータスによる超反応と肉体強化の恩恵なのか?
俺の脳に様々な可能性が浮かぶ、だがそのすべてが納得いかない
距離を取り、違和感についての追求を脳内で始めた所で渡辺が話しかけてくる。
「さっきから何考えてんだ?ガチでやるんじゃないのかよ、さっさと来いよ」
渡辺は俺がやったように手をクイクイと動かし、俺を煽る
そんな安い煽りに乗ることはないが、疑問が解消しないことは気持ちが悪い、ので素直に疑問をぶつけてみる。
「スキルか?違うよな。お前のスキルは『魔法の打ち消し』だろ?」
「........のぞき見でもしてたんか?気持ちわりぃな。ストーカーが趣味か?根暗野郎」
俺って根暗野郎なんか?まぁ学校じゃこれといって仲のいい友達いなかったけどさぁ。ちょっと傷つくぜ?
「........煽り合いがしたいのか?威勢だけの小心者が、声のデカさだけで会話の主導権握れると思いやがって、脳の足りねぇサルが。国語勉強しなおせ馬鹿が」
................あ......これか。思わず言い返しちゃったけどこれを言われてんのかな?
まあいいや
「........ッチ、好き勝手散々言いやがって陰キャが............ぶっ殺してやるッ!!」
「クソ短気が、カルシウム取れ」
「クソがッ!死ねッッ!」
こいつ死ぬほど短気だな、こっち方面で勝ち筋作れんじゃね?
怒りと共に迫りくる渡辺に向かって無意味とはわかっているが違和感を確かめるために魔法を放つ
まずはシンプルに...
「『火球』」
ボンッと放たれた火球は真っ直ぐと渡辺に向かい、消滅。
「効かねぇーよ、馬鹿がよッ!!」
振り下ろされた拳を回避、勢いをそのままに地面に衝突した拳は、激突した地面を叩き割った。
ちょうどいい。割れた地面に魔力を流し、操作。
「『地形操作』」
渡辺を中心とした周囲360度から地面を起き上がらせ、圧し潰す
魔力によって操作した物体はかき消せない、観察の結果の一つでもあるが......
両手を広げ、起き上がる地面を止める渡辺。渡辺に触れられた途端、魔剣同様ピクリとも動かせる気がしない。魔力操作そのものを阻害しているのか?魔力そのものには干渉できないはず......なのだが、できとるやんけ
う~ん、わからん!!
何をするにも初めは必ず未経験です......が、まあ適正ってもんがありますからね
次回52話 12/26 12:00 投稿予定です。




