5話.魔術を習得してみよう。
修行パートになります。
「さあ、自己紹介も済んだことだし、早速修行を始めようか。」
自己紹介するついでに、アルフレットのステータスを鑑定してみたが、かなりえぐいな。俺が勝っているステータスが一つもないとは思わなかった、半強制的に弟子になっちゃったけど、こいつから何かを学ぶのもありかもしれないな、こいつ、俺の使えない魔術も使えるみたいだし、だが妙だ。こいつのステータスに魔術の文字がなかったぞ?こいつどうやって魔術を使っているんだ?それについても後々聞いていきたいところだな。
「ああ、まず俺は何をすればいい?」
「うーん、修行といってもね、私は弟子を取るのは初めてなんだ。私自身も何をすればいいのかわかない。だから、私の強くなった方法と同じ方法で強くなってもらうよ。」
一気に心配になってきたな、大丈夫かこいつ。やるしかないか。
「で?具体的な何をするんだ?」
「そうだな、とりあえず、さっきのデス・ボア、倒しに行こうか!」
.....................ほんとに大丈夫か?こいつ、俺さっきあいつに負けたばっかなんだけど。
「今の俺で勝てるのか?」
「うーん、どうだろうね?デス・ボアを倒しに行く前に、魔術は教えるけどね。倒せるかどうかは完全に君次第だよ?」
「...............それは修行としてどうなんだよ?俺が勝てなかったときはどうなんだよ?」
「それは、大丈夫だよ。君が死にそうになったら助けてあげる予定だし、もし死んでも生き返らせてあげるよ。」
.................なんだそれ。魔術には人を生き返らせるなんてものもあるのか。ますます興味深いな魔術。まあとりあえず俺の命が保障された。
「じゃあはやく教えてくれ、魔術を。」
「まあまあ、そんな焦ることはないよ、時間はたくさんあるんだ。ゆっくり行こう。」
そう言うと、アルフレットは指をパチンとはじいた。その瞬間、周囲が闇に包まれた。
「........なんだ?何が起こっている?」
「はいはい、焦んない焦んない。これは私の魔術だよ。魔術『時の歪み』。本来は時間を遅らせるくらいの効果しかない使いづらい魔術なんだけど、ちょっと応用を効かせるとね、今回みたいな自分たちのいる空間だけ時間の進むスピードを速めて修行なんかに使えるんだ。便利だろう?」
.......やっぱりこいつチートだな、なんだよ時間を遅らせるくらいって、それだけでめっちゃ便利だろ。それよこいつ、こんなすごい魔術をこんな簡単に使っている。まじで何者なんだよ。
「早速始めようか、まず魔術について説明をしよう。魔術とは、この世界に存在する、神や精霊などといった上位の存在と契約をすることによってはじめて使用ができる魔法の完全上位互換だ。元を辿れば魔法とは、魔術を真似てできたものなのだ。」
..................これは、かなり有益な情報だ、これでやっと俺が自分の傷を治そうとしたときできなかった理由が判明した。わかったことがあると同時に謎も増えた。契約ってなんだ?契約しないと使えないらしいがそしたら俺のユニークスキル『魔術創造』が説明がつかない。契約が必要ならこのスキルは一生使えないのか?
「その魔術ってのは今、俺は習得できるのか?」
「ああ、できないこともないよ?まあ試練みたいなものもあるけど、それさえクリアできればめでたく魔術習得だ。」
そんなのためらう理由がない、試練をクリアするだけで魔術習得できるなんてイージーゲームだ。
「よし、やろうか。」
「決断が速いね、じゃあこれから『契約の試練』を始めるよ。始める前に注意事項を話しておこうか。」
注意事項は主に三つだ。一つ、試練が始まったら試練の間に招かれる。そこにいる試練の主が出す試練を突破すること。ちなみにその試練はランダムらしいがだいたい主との戦闘らしい、勝てば魔術がもらえる、負ければもらえない。二つ、一度挑戦した試練には、例外を除きもう一度挑戦できない、一度きりのチャンスってことだな。三つ、魔術を習得できたとしても体がその魔術に適応できなければ、魔術習得後、体が魔術に浸食されて死に至る。
「....と、こんなところかな?質問はある?」
「その魔術に適応するかどうかってのはどこで決まるんだ?」
「うーん、それは私も知らないな、多分魔術と自身の相性とかがあるんだろう。そこの心配はしなくてもいいよ、適応できなかったら死ぬだけなんだ。」
「残酷だな、けどまあそうか、死ぬときは死ぬ時だ。今気にしても仕方ないな。注意事項は理解した。始めてくれ。」
「覚悟が決まってていいね!ちなみにどんな魔術が欲しいんだい?希望があればそれに沿った魔術の試練を用意するけど。」
「そうだな、デス・ボアに勝つための魔術が欲しいからな、とりあえず攻撃系の魔術が欲しいな。」
「わかったよ、じゃあ始めよう、魔術『契約の試練』発動」
アルフレットが魔術を発動する。それと同時に俺の意識が落ちる。
目を開けるとそこには、地獄のような場所だった。周囲には血の海、目の前には大量の骨の山、その上には禍々しい椅子とその椅子に座るまさに魔王が鎮座している。
「.............................よう。」
口を開いたその魔王の声はどこか聞き覚えがあった。まさか知り合いな訳ないしな、誰だ?こいつ。
「はやく試練とやらを始めてれ、やんなきゃいけないことがあるんだ。」
「そう焦るなって、ここでいくら過ごしても、外じゃ一時間にもなってねーよ。ゆっくりしていけよ、こんな機会なかなかないんだぜ?」
「気やすく話しかけんな、他人だろお前。馴れ馴れしいわ。」
「ひでーこと言うなよ、そういや自己紹介がまだだったな、」
「俺は、初代魔王。四葉慎太郎。俺は、お前だ、よろしくな」
魔王の卵が初代魔王?なんのこっちゃ?