42話.思わぬ再開
再会再会、レッツ再会
「貴様ッ!!!」
誰かがそう言ったかと思えば、俺を囲うエルフたちが一斉に戦闘態勢を取る、俺は一応敵対する気はない意思を伝えるために両手を挙げる。
「あの~、下げてくれない?武器」
そんな俺の言葉を微塵も聞く耳を持ってくれないエルフたち、今この瞬間にも襲い掛かってきてもおかしくないくらいの気迫を感じる。
まあ対全員でも余裕で勝てると思うが、この森にいるエルフがここにいる5人だけなわけないし、ここでエルフと敵対するのはデメリットしかない。よって平和的解決を試みる。
「さっきから何回も言ってるけど俺はお前らと敵対する気はないんだよ、俺がしたいのは話し合い、まあ今のは斬りかかってこられたから仕方なく反撃しただけであって俺に戦う意思はない」
俺は極めて冷静に俺の意思を伝える。その間に俺に斬りかかった男エルフは立ち上がり、足早に俺から距離を取る。他のエルフたちは男エルフが無傷なことを確認する。
男エルフが無傷だったことが理由かはわからないが、戦闘態勢を取っていたエルフたちの警戒が少しだけ緩んだ...気がした。俺に戦闘意思がないことが少しばかり伝わったっぽい。
「わかってくれたなら嬉しいよ、さっきも言ったが俺はたまたまこの森に入っただけだ、良ければこの森について教えてほしい」
「..........まあ、いいだろう」
「いいですか!?人間なんかに....」
「たまたまと言っているがこの森に侵入できる時点でかなりの実力者だろう、このまま放っておくのはかえってこの森に危険を及ぼすかもしれない」
「そう.....ですか」
なにやらエルフ側の考えがまとまったらしい、まあいろいろあったが平和的に解決できるならそれに越したことはない。
「それで?人間、貴様のことは何と呼べばいい?私の名はフィーア。この森の警備隊長を任されている者だ。種族は見ての通りエルフだ。」
「俺の名はヨツバ、フリーの冒険者だ。君らと敵対する気は微塵もない、それとさっきのあれはすまない。正当防衛ってことで許してくれ」
自己紹介とさっきの謝罪をする
「ヨツバ.....か、聞いたことない名だな、エルフの魔法を見破るほどの魔法練度を誇る人間は久しく見てなかったぞ」
「やっぱこの世界のエルフは魔法が得意なのか.....」
「ん?何か言ったか?」
「いや、何でもない、それよりこの森について教えてくれないか?さっきこの森には認識阻害と魔法妨害の結界が張られているっていってたろ?やっぱエルフの里でもあるのか?」
「あぁ、正確には我らの国がある」
「国...ね、かなりの規模だな」
「まだ見てもないのに......あぁ、魔力探知か....かなり遠くまで見れるのだな、貴様はさぞ優秀な冒険者なのだろうな」
妨害の結界を解き、この大陸全体を魔力探知してみたが、円形の大陸の中心に居住区みたいな建物が見え、その周囲を360度囲うように森が広がっている形だった。要はドーナッツ型だ。
「国っていうからには他の国との交流とかもあるのか?」
「ない訳ではないな....ただあるとも言い切れん、我らエルフは他の種族の援助なんかを受けなくても我らだけで生きていけるからな」
他の種族...今更驚きはしないがこの世界は人間とエルフ以外にも種族があるみたいだ。
話しを聞いてみるとたまにエルフとの交流を持とうと考える種族が話を持ち掛けに森に入ろうとするらしい、その際に軽い交易的なものをするらしいがどの種族もその程度の交流しか持つことはできないらしい。それ以上踏み込もうとすれば......その先はお察しって感じらしいよ
立ち話もなんだしと言うことで森の先、エルフの国まで案内をしてもらうことになり、俺はエルフに囲まれながら森をあるいていた。ふと思っていたことを聞いてみることにした。
「なぁ、フィーア」
「なんだ?」
「人間は嫌いか?」
「なんでだ?」
「いや、俺の勝手なイメージなんだけどね、エルフは人間が嫌いなイメージがね、あるからさ」
まあ日本にいた時の異世界のイメージの話なんだけどね、アニメとか作品によって違ってたけどこの世界のエルフは人間にどんなイメージを持っているのか知っておきたいからね。
「私自身はそれほど嫌いではないな、強欲で身の程を知らぬ人間をこれまで幾千と見てきたが今更なんとも思っていないさ」
これは呆られてるな、人間。
「フィーア以外のエルフはどう思っているんだ?」
「まあ個人差はあれど基本的には人間を毛嫌いしている者が多いな」
....え?じゃあなんで見た目人間の俺をエルフの国に案内を?
疑問をぶつけようとしたその瞬間、突如として巨大な爆発音が俺らの鼓膜に響く。
ドォォォンンンン!!!!
同時に魔力反応、火系の魔法による爆発だと容易に想像できた。
その音と魔力に即座に反応し、音のする方に向かって走りだすフィーア、それに追うように剣を持った男エルフと弓を持った女エルフが走り出す。なんの指示もないのにキビキビ動くなぁなんて思っていたら残った方の男エルフが話しかけてくる。
「おい、人間」
人間呼びかい、って思ったけどそんなこと言ってられなさそうな状況っぽいから反応する。
「なんだよ」
「今からお前に魔法をかける、抵抗するな」
「いや、普通に嫌だけど」
「説明している暇はない、とりあえず受けろ、お前に害のある魔法じゃないことは保障する」
えぇ~、よくわからない魔法をとりあえず受けろと言われましても...
「簡単でいいから説明をしろ、そしたら受けてやる」
「俺の固有魔法 『契約』でお前に選択肢を与える。今すぐに決めろ」
「説明それだけかよ...」
そうだ。といい、男エルフは俺に魔法をかけようと手をかざし、有無を言わさず魔法を発動した
「『契約』発動」
突如俺の目の前に一つの契約書が現れる。
「.....?なんだこれ」
「俺の魔法だ、お前さっき言ってたよな?エルフと敵対する気はないって」
「あぁ確かにそう言ったが...」
「これに同意すれば、一時的にだが、俺らエルフの仲間になれる、選べ。受け入れるか、拒否するか」
フィーアは爆発が起きた現場に向かって警備隊の仲間である剣士 アルドーと魔法使い リモを連れて走っていた。エルフの国を囲うこの森には時々、不埒な侵入者がやってくる。そのたびに我々警備隊が対応していたのだが、今日に限って侵入者が2組も現れたのだ。もちろん警備隊は私達だけではないのだが、私達のチームと比べ、他のチームの実力は劣る。
幸運なことに私たちのチームが対応した侵入者は私達エルフとの敵対の意思はないようだったので、戦闘には至らなかった。同時に不幸だったのは他のチームが対応した侵入者は敵対意思があり、戦闘が始まってしまったことだろう。
エルフには『念話』という思念を魔力に乗せて伝えたい相手に伝えることができる技術がある。私達が侵入者、ヨツバの対応をしているときに別のタイミングで他の侵入者が入ってきたことは報告を受けていた。
別の侵入者の種族もヨツバと同じく人間、もしや仲間か?と一瞬思ったが、同じタイミングで森に入ったならば同じ場所で『迷走結界』による足止めをくらうはずなのでその可能性は低くなった。
それに、あちらの侵入者はヨツバとは違い、魔法に関しての知識や技術が乏しいようでこの森にかけられている認識阻害と魔法妨害を合わせた『迷走結界』によって順調に足止めができていた。だが、予定外の出来事が起きる、暴動だ。侵入者が暴れ出した。周囲に手当たり次第に魔法を放ち、森に火を放った。
ここまでが爆発が起こるまでの経緯だ。もうすぐで現場に着く。
そこには地獄が広がっていた。燃える木々、倒れ今にも息絶えそうな仲間たち、そしてその原因であろう人間が3人。
プツンとなにかがフィーアのなかで切れた。
「人間ッ!!!」
叫び声をあげ、魔法を放とうとする
「おっ今度はちゃんと強そうなエルフ来たじゃん!ほらな?言ったろ?とりあえず爆発させときゃ人が集まるんだよ」
「はいはい....そーですねー」
「興味なさすぎwww」
余裕綽々な様子の人間
後悔させてやるッ!フィーア自身ができる最高の魔法を最速で練り上げる。そして人間に狙いを定め、消し飛ばすつもりで魔法を放つ。
「『光剣の怒り』ッ!!!!!」
剣の形をした無数の光を放つ魔法。これで人間を殺す....つもりだった
「『星間旅行』 返すぜ、これ『反射』」
私の攻撃は人間に近づけば近づくほどに速度を落とし、ついには人間に届くことなく人間の手前で完全に動きを止めた。
それだけでは終わらず、今度はこちらに向かってきたのだ。
終わった....
「はぁ、こんな所で会いたくなかったな」
私の耳に届いたのは跳ね返された魔法が私を貫く音ではなく、愚痴だった。諦めて、死を覚悟し、閉じていた目を開けるとそこにはヨツバがいた。
「な....なんで...」
「ん?詳しい説明省くが、『契約』って魔法で一時的に仲間になった」
「契約......イアンの固有魔法......なんで......」
「嫌な予感がしたからですよ、フィーアさん。間に合ってよかった」
少し後ろから警備隊の同じチームのメンバー、イアンの声がした。
いろいろとカオスなこんな状態だが、ひとまず命が助かった。それだけは理解できた、安心したからか足に力が入らずその場に腰を下ろしてしまう
同級生との再会は毎回同級生が誰かを襲撃してないとできない仕組みになっているのかな?
まあ2回中2回そうだったというだけの話なんだが、これでも結構な確率だろう。正直嫌になる。別に同級生がどこの誰を襲ってようが知ったこっちゃないがこう毎度俺の味方陣営を攻撃されると腹が立つ
何が一番腹が立つかって誰に仕返ししたらいいかわからないことだ。神か?神でもぶん殴ればいいのか?
ともあれ一応同級生との再会だ、とりあえず話し合いを試みる。
「よう、久しぶり」
「.........!」
「四葉!?」
「なんでここに!?」
三者三様の反応が返ってきたところで頭の中に声が響く
(「どういう事だ、ヨツバ。やつらと知り合いなのか?」)
え?なんで声が頭に直接?
(「『念話』というエルフの魔法だ、やつらにはこの会話は聞こえない、お前も頭の中で返事するだけでこちらと会話ができる)
あぁそうなのね、理解理解。
(「それで?お前はやつらと知り合いなのか?」)
(「ちょっと昔のね、詳しい話は終わったらする」)
(「わかった、お前はやつらの対処を頼む」)
(「任せな、お前はそこらへんに倒れてるやつらの回収を頼むよ、まだ全員生きてるからすぐに回復魔法を」)
(「わかっている」)
『念話』を使い、イアンとの役割分担を終わらせ、俺は同級生たちに向き合う。
人数は3人、青木 流星、林 哲弘、渡辺 治樹。もちろんだが、いずれも同級生
「この森になんの用?できれば今すぐ出てって欲しいんだけど」
「ここにエルフがいるって王様に聞いてさ、ちょっと何匹か国に持って帰れば褒めてくれんじゃね?って感じで来たんだけど、四葉は?なんでここに?ってか生きてたんだね」
渡辺 治樹がそう返す、持って帰る、奴隷か。まあ異世界モノのお決まりではあるよね、エルフ奴隷。普段ならどうでもいいで終わらせるところだが今の俺はエルフの味方だ。
「元クラスメイトのよしみだ、一度だけ警告してやるよ。今すぐ帰れ。そしたら生かしといてやる」
「なにそれ?なんの冗談?四葉お前、いつの間にそんな冗談言うキャラになったん?」
「異世界に来てんだ、キャラくらい変わるだろ。で?返事は?」
「返事は.....こうかな?」
目の前にいきなり青木 流星が現れる。
「『星間旅行』 『惑星 火星』」
目の前の光景が炎へと変わる。俺を軽く覆い隠すほどの大きさの炎が迫りくる
「警告はしたからな?後悔するなよ?」
「それはお前だ、四葉 慎太郎」
背後から声、いつの間にか後ろに回った林 哲弘が手に持った短剣で俺の背中を刺そうと短剣を突き出す
「『魔力纏』削除」
右手で短剣を、左手で目の前の炎に触れる。その瞬間短剣と炎は音もなく、消えた。
「ッ!?」
俺は一歩前に出て、そのままの勢いで青木 流星に触れようとする
「『星間旅行』 『合』ッ」
パッと一瞬の間に3人の姿が消えた。
「逃げたか.....」
ひとまず任務完了だな
一件落着.......ともいかないかもしれない




