41話.喧嘩はしたくない、絶対負けないけど
4章 エルフの国編、始まります!
異世界お決まりのエルフ登場です。これからクラスメイト達がどう関わってくるか楽しみにしていてください!
転移で『クラヤミ』から一番近くの大陸に移動したはいいものの、俺は一つの問題に直面している
ここがどこの国かがわからないという問題だ
適当に転移で飛んだから仕方ないっちゃ仕方ないのかもしれないが、これは結構重要な問題だ、まあ『クラヤミ』の時も同じような問題に直面したんだが、前回は偶然スラムで新聞なんかを手に入れることができたから情報収集にはあまり困らなかった
今回はそうもいかないようだ。転移の魔法は便利な反面、使いづらい面もいくつかある。今回の問題も欠点の一つだ。
転移の魔法では飛べる場所に限界がある。自分が全く知らない場所には飛ぶことはさすがにできないのである。行ったことのある場所、ある程度の座標がわかっている場所、もしくは転移魔法陣の設置されている場所。このくらいの条件がないと転移魔法は成功しないのだ。
じゃあなんで俺は知らない土地に飛べるのかって話だよな、厳密にいえば転移魔法は条件を付ければ知らない場所にも飛べるのだ、まあ「海を挟んで一番近くの大陸」なんてざっくりとした条件しか付けられないんだけどね。
そんで『クラヤミ』から飛んだはいいもののここがどこかもわからない、周囲は木、木、木。つまり森だ。
とりあえず情報収集から始めよう、森を抜ければまあどうにかなるだろう、一応冒険者登録はしているからギルドにさえたどり着けばどうにかなる....はず
それから俺はひたすら歩いた。軽く1時間ほど、だが未だ人の気配はしない、歩けど歩けど続く森。まさか国ができるほどの文明がないほど原始的な大陸に俺はたどり着いたのかもしれない。
だが、おかしい点が複数。この森には生命反応が微塵もない。常時魔力探知で周囲を探索しているがなんの反応もない、これはさすがに違和感しかない
さらに誰かに見られている感覚、というか魔力だ。魔法が俺に向けて発動されている、直接的な攻撃の魔法じゃないみたいだが.....これは、幻覚の類の魔法だ
俺を中心に半径10メートルくらいの範囲か、どれだけ歩いても進んだ気がしないのはこれが原因か。
「.......ふぅ」
俺は足を止め、一息吐いて少し休憩をする....フリをする。俺はその場に座り、軽く周囲を見回し敵...かどうかはまだわからないが、俺に魔法をかけてきている複数の視線の先に何がいるのかを探る。ただ、単なる魔力探知をしても何もヒットしないのが困った。
ただこの問題の対策は簡単だ。こちらに向かって発動されている魔力を辿ればいい、逆探知だ。探知の結果はまあおおよそ予想通りだった。人数にして5人。魔力の質からして人間ではない。人間よりも強い気配を感じる、魔法の練度も人間のそれとはまったく違うものだ。
この大陸の原住民か?かなりの魔法練度だ、まさか異世界のお決まり種族のエルフか?!ちょっとテンションが上がるな。
ともかく俺は無暗に敵を作るつもりはないので、敵意がないことをどうにか伝えようとする
「あのー、隠れてないで出てきてくれるか?こちらに敵意はない。対話ができるなら平和的な解決をのぞんでいるんだが.....」
「 」
何も返ってこなかった。これじゃ俺が見えないなにかとしゃべってるやばいやつみたいじゃんかよ。恥ずかしい...ともかくもう一度話しかけてみる
「あの....わかってるよ?そこと、そこと、その木の上と、後ろに2人でしょ?出てきてくれるとありがたいんだけど。もしかしてここ入っちゃダメな場所だった?なら出てくけど....」
「 」
「.......いや、さすがに何か返して欲しいんだけど......」
『........何者だ、貴様..........』
おっ、反応あり。響くような声が返ってきた、未だ会話が成立していないことは気にしないでおこう。
「うーん、何者か....難しい質問だな、強いて言うなら放浪者かな?」
『貴様...、この森にどうやって入った....』
「どうやってか、普通に転移魔法で....」
『この森には認識阻害と魔法妨害の結界が張られている。人間の魔法如きでこの森に立ち入れるはずがない』
だんだんと会話が成立するようになってきたな。
「別に何か特殊なことをしたわけじゃないよ、転移で飛んだらここにいる、というかいい加減姿を見せてくれない?いつまでその変な声で会話する気?」
『貴様に敵意がないと確証がない』
「どうやったら証明できる?」
『する必要はない、今すぐこの森から出ていけ、さもなくば殺す』
うーん、素直に従ってもいいが、なんか癪だなぁ、というか魔力探知に引っかからなかったのは認識阻害と魔法妨害のせいか
まあ魔法の細かい詳細はわからないが、おおまかな情報さえあれば対策くらいは簡単だ
「『反魔法』発動」
反魔法 発動されている魔法に自分の魔力を送ることで発動中の魔法を散らす効果がある。実力差が拮抗していると失敗する可能性が高い。
シュウゥゥゥゥゥ............
小さく音を立てながら俺の周りに貼られた結界がボロボロと崩れ始める。
「なっ!?何を.......」
結界が崩れ、姿が現れた人物は金髪、長髪、長い耳といったいかにもって感じのエルフの女性だった。整った顔立ちをしているが、自慢の結界が解除されたことにその綺麗な顔を歪ませている。
他4名も初めに現れたエルフと同じように整った顔を驚愕の表情で染まっている。
新たに現れた4名は男性、女性各2名ずつ、同じく金髪、長い耳をしたイケメン、美女が現れた。
....そろいもそろって整った顔立ちだこと....全員金髪がよく似合う顔面で、もしこいつら日本にでも来たら速攻モデルにでもスカウトされるほどの美形だ。羨ましいこった
暫しの沈黙が訪れる.....。エルフ側は魔法を解除されたことに驚き、俺はエルフの顔立ちに驚く。
謎の時間が流れること、およそ20秒。おそらくエルフ側リーダーの女がはっとしたように沈黙から蘇り、仲間にも声をかける
「構えろッ!」
エルフはそれぞれ自分の手に持っている武器を構え、こちらに向ける。
男2名は剣と素手を、女2名は弓と魔法の杖を構える。そしてリーダーであろう女も同じく魔法の杖を構える。
「貴様......一体何をした?」
杖を構え、魔力を集めたまま、リーダー風の女は俺を睨む
「別に、『反魔法』 『魔法解除』ともいうかな?魔法を消しただけだよ」
「『魔法解除』だと....?そんな高等技術、人間如きに....」
なんだかこの世界の人間は随分と舐められているみたいだな、まあ俺は異世界人で魔王だから関係ないけど...
「別にコツさえ掴めば難しいことじゃないさ、教えようか?」
「人間風情が......舐めるなッ!」
「おい!待て!」
軽口をたたいていたら背後で剣を構えていた男のエルフがいきなり斬りかかってきた、それに静止をかけるリーダー風エルフ、だが男エルフはかまうことなく俺に斬りかかってくる。
背後からの不意打ち.....は別に問題ないんだけど、こいつを制圧して敵対意思ありと取られるのが何よりもめんどくさい....
かと言って攻撃を受ける訳にもいかないので俺は振り下ろさせる剣を横にずれることで回避、そのまま男エルフに足をかけ、男エルフを転ばせる。
いい感じに顔面からずっこけたがまあいいだろう。俺は足をかけただけだ。怒られることはないだろう.....
なんて思っていたのは俺だけだったようだ。
「貴様ッ!!!」
こけた男エルフを除く4名が血相を変え、戦闘態勢。
えぇ~?転ばせただけじゃん、そっち斬りかかってきてるからね?正当防衛だろ、できれば喧嘩したくなったんだけどなぁ、まあ絶対負けないけど。
全員が仲良しが一番とは言わないけれど、まあ喧嘩は無いに越したことはないですよね。




