40話.夜明け
まとめです
初めは建物で囲まれ、闇に包まれていたスラムは戦いが終わった現在では見る影もないほどに更地となってしまっていた
「......ふぅ、こんなもんか」
瓦礫が散乱した戦場跡には首の落ちた死体と俺だけが残っていた
俺は南の死体に火魔法を放ち、精霊同様、死体を灰にする。一応行方不明ってことにしておこう、元同級生を殺したって他の同級生にバレるのは何かと面倒そうだからね
しばらくすると転移魔法陣が3つ現れ、あふれる3つの光の中からギルド派閥の3リーダーが出てくる
「....!全員無事だったみたいだね」
アーサーが自分と同時に現れた他のギルド派閥の面々を見て、安堵の表情を浮かべる。
「あぁ、まあなんとかな」
「ったりめーだろ」
それぞれがアーサーの声に返事をし、自然と中央に集まる。
俺も何となくアーサーのもとに近づき、声をかける
「無事で何よりです。リーダー」
「ヨツバ君、君の作戦がうまくいってくれたおかげだ、本当にありがとう」
「いいですよ、頭上げてください、俺は作戦を考えただけです、勝ったのは皆さんの力があったからですよ」
まあ今回はほんとに個々の戦いに関しては俺関わってないしね、勝てたのはほんとに冒険者たちの力があったからだ
「...謙虚だね、まあ今回のことに関する報酬はちゃんと用意するよ、冒険者ランクも挙げて、他の国にも君の活躍を大々的に広めようじゃないか」
「いや、遠慮しておきます」
「何故だい!?君ほどの実力があればすぐにでも有名冒険者にだってなれるのに!?」
「あ、いや、あんま目立つのは嫌なんで。それなりのお金さえ貰えればほかには....」
最近忘れがちだが俺は追放された身、いきなり冒険者ランク上げて、有名にでもなれば帝国に生きていることがバレる可能性が高くなってしまう。まあバレたところでなんだって話なんだが、さっきも言ったが面倒事に巻き込まれるのは御免だ
「........君には野心がないのか?」
アーサーが独り言をもらす
「けれど!何かしらの報酬は受け取ってもらう!」
「いや、遠慮しますって」
「いや!これは決定事項だ!」
これ以上拒否し続けるのも逆に失礼な気がしたから一応報酬の話は受けることにした。
「じゃあ、ありがたく受け取らせてもらいます」
「そうしてくれるとこちらもありがたいよ」
その後、派閥リーダー達だけで少し状況の整理をしたところで解散の流れになった
まあ周囲が更地になってることに関しては何とか誤魔化すことができた、あとアーサーがずっと気にしてたっぽい南の事もいろいろ聞かれたがこれもなんとか誤魔化した
後日、俺の冒険者ランクはDランクからBランクに飛び級となった、俺が目立ちたくない旨を伝えていたから他国の冒険者ギルドに情報共有する際には秘密裏に行ってくれることになった。ありがたや、ありがたや。
ギルドに戻り、傷を負った者は回復を、装備が傷付いた者は修繕を、報酬を受け取り休養を取る者。各人がそれぞれの休日に入ろうとしていた。
そんな状況でも休まずに働く男がいる。アーサーである。他の冒険者から集めた情報の精査、書類にまとめ、情報共有。ギルドに帰ってからろくな睡眠もせずに働き続けているのだ
「....真面目が過ぎるってもんだろ」
そんな俺はアーサーに呼び出せれていた。部下はちゃんと休ませて、リーダーである自分は働き続ける。そんな状況に若干の気まずさを感じながら休ませてもらい、翌日に召集に応じた。
アーサーの部屋に向かい、コンコンとドアをノックする。
「どうぞ」
中から声が聞こえ、俺はドアを開け、部屋に入る。
「どうも」
俺は簡単な挨拶をし、促されアーサーが座る正面の椅子に腰を掛ける。
「改めて聞くけれどほんとに報酬はあの程度でいいのかい?今からでも別の報酬を用意することもできるが...」
「何度もありがとうございます。ですが大丈夫です。俺にはこの程度で十分ですよ」
「....フッ。本当に君は謙虚だな。さて、本題に入ろうか、君はこれからどうするつもりなんだい?今までのままこの国に留まるつもりなのかい?それならば是非とも我が派閥に所属してもらえるとありがたいのだが」
俺の今後についてか....いやはや全く考えてなかったな。っていうかこの人はそんな相談もやってんのか、真面目過ぎるだろ。
冒険者の基本は自己責任だ。まあこのギルドみたいに派閥なんかが作られ、その中で助け合うなんてことはよくあるらしいが、他人にはノータッチが基本だ。
それなのにこの人は部下の今後を話し合おうとしている。真面目を超えてもはや変態だ。
この国に留まる....か、悪くない提案だとは思う、俺は別にこの世界で何か目標や目的があるわけでもない、ひとつの国に身を固め、そこで生きていくというのも悪くない
.....が、一応俺は帝国から追放された身。さらに隣国である王国 リア・デザイアでは俺はもう活動できないだろう。俺個人が指名手配されている訳ではないが、あの国で戦闘を行い、魔力なんかの証拠を残しまくっている。
この世界の捜査能力がどんなもんか知らないがとにかくあの国にはもう立ち入れない、と言うか立ち入るつもりはない。
追加でついにクラスメイトを手にかけた。これを知られたらクラスメイト達から狙われる、なんてことが起きるかもしれない。別にクラスメイトと殺し合うってのが嫌ってわけじゃない。が、避けられる戦いは避けるに越したことはない。
...答えは出た。
「お誘いはありがたいですが、俺は国を出ます。元々居所のない放浪者ですし、一か所に留まるのは性に合わないですから」
「そうか......少し残念だね。だが君が決めたことだ。否定はしないよ、もし何か困ったことがあったらこの国に戻ってくるといいよ、いつでも力になるよ」
なんともことの人は優しいのだろうか、この世界に優しさのステータスがあるのならばこの人の数値は限界突破しているだろう
スッと差し出された右手を俺はしっかりと掴み、こころの底からの感謝の言葉を伝える。
「ありがとうございます。いつになるかはわかりませんがいつかまた会いに来ます」
「いつでも待っているよ」
その後はアーサーに見送られ、俺はこの国を出た。他の国への船までも手配すると言われたが流石にそれは断った。見送られ姿が見れなくなったあたりで転移の魔法で一番近くの国に転移した。
闇に包まれた国を出て、久々に見た太陽はまさに夜明けの様だった。
派閥リーダーたちの戦いとか、南や水代がいたグループの目的とか、いろいろ設定ガバガバですね。
すみません。あまり重要度の高くない要素だったので省略させていただきます。
さて、これにて第三章完結になります。
次章 第四章は、本格的にクラスメイトたちとの絡みを増やしていきます。ご期待ください!




