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38話.契約ってなんやねん

敗北の予感、久々に余裕のないヨツバ君が見れるかも

俺の放った魔法が消えた。本来ならありえない、例え起きたとしてもそれは俺の技量を上回るとんでもない強者のできることだ。


俺を上回るほどの強者以外にも、それができる可能性を秘める者は複数存在している。その一つが勇者だ。勇者とは実に不思議な生き物であって、覚醒した勇者はそれぞれが得意なことに特化したステータスに進化するのだ。

その進化は攻撃力に始まり、防御、魔法、果ては回復まで、様々な形に進化する可能性を秘めているのである。



そんで目の前にいる覚醒した『勇者』、南は魔法に特化したようだ。それは俺の魔法すらもかき消すほどに。

「.........クッソめんどくせぇ」

「さっきまでの余裕がなくなっているね?四葉君?」

「あぁそうだよ、目の前で『勇者』が誕生してるからね。本物の勇者、新城がどっかで泣いてるんじゃねえか?」

「あ~新城君ね、今頃何してんだろ」

「俺が知ってると思うか?」

「知らないと思うよ?」

なんで聞いたんだよ、なんて思ったが、ひとりごとの延長だったのだろう


どっかの勇者の話はどうでもいい、そんなことより気にかけるべきは俺の魔法が消された原因と原理だ。『勇者』として覚醒をしたとはいえ、元は同じなはず、よって南の能力は精霊の力なのは変わらない。


.....なら、対策も同じッ


「魔剣召喚、発動。『精霊殺し』!」

発動しない!?またかよ。まだ水代の魔剣封印(ソードディスペル)が残っているのか?それとも南の魔法か?


代替案だ。力こそパワーって感じの脳筋案でちょっと気が進まないけど仕方ない。魔法を使えない以上それ以外の手段で戦うほかない

「魔力解放ッ!!!」

魔力を思いっきり解放して南も水代ももろとも吹き飛ばす


少しの距離が確保されたところで俺は魔法によって姿を隠そうとする

「『ファイアーボール』」

地面に向けて魔法を発動。だが発動しない、南からそれなりの距離を取っているはずはずだがまだ魔法の効果範囲内なのか?それとも魔法の対象は俺か?


仕方なく俺は地面を踏みつけ、土煙を巻き起こす。少しの時間を稼いだところで俺は今自分が何ができて何ができないのか確かめる


対外に放出する系の魔法は軒並み発動できない、転移も無理か、自己付与の魔法は発動可能だった。付与が可能ならやりようはあるな

「『疾風』自己付与(エンチャント)


ヒュンッ


煙の中を走り抜け、南のいる方向に走る。身体強化を発動し、反応しきれていない南の顔面を殴る

「うぐっ......」

魔法を消せるようになったようだが、まだまだ覚醒したてのひよっこだ。魔法の扱いも雑だし、魔力の制御も雑、その程度の戦闘技術でこれまで何戦も激闘をしてきた俺に勝てる訳もない


「.......終わりだ」

身体強化した体で俺は地に打ち付けられた状態の南の頭を思いっきり蹴る

パンッと小さな音を立て、南の首から上が消える。その代わりと言ってはなんだが俺の足は生暖かい赤色に染まる

「........ッ!」

少し離れたところから声にならない声を出す水代。その顔は驚きと絶望が入り混じった表情をしている。俺にはそんなことは関係ないので動きの止まった水代を俺は魔法で殺そうとする


右手を向け、魔法を発動しようとしたその瞬間に水代は正気を取り戻し、同時に俺への怒りをあらわにする。

「貴様.....よくも...........」

「戦いを始めた時点で覚悟してただろ?文句言う気か?」

まあ死を覚悟はしていても予測をしながら戦う馬鹿はいないと思うけどね

「......地獄の精霊........来い.......」

地獄の精霊、さっきも呼んでたな、能力はわからないから迂闊に手を出しづらいな

「........契約だ.........」

水代が俺には見えないナニカと話している。契約と聞こえた以上、これから面倒なことが起こるのは確定だ、これ以上放置する理由もないからここで仕留める


「重力魔法............」

俺が魔法を発動しようとした瞬間に水代の雰囲気が急に変わった。魔力が急に増え、その気配が変わった。まるで別人にでもなったかのような...

「フッフフフフ..........ハハハハハハハ!!!よりにもよって我との契約を望むとはな!物好きなニンゲンもいたもんだ!」

しゃべり方が変わった。まさに別人、契約、精霊、まさか....こいつ、精霊自身か...?

「おっと、契約はちゃんと果たさんとな。おい、小童。起きろ」

水代(?)は首のない状態で力なく倒れている南の死体に話しかける。もう死んでるのに何やってんだ?こいつ


そんなことを考えていると南の首がいきなり再生。にょきにょきと生えてくる頭に驚く余裕なんてなかった。魔力体でもないただの人間を他人が回復させた?それも大規模な魔法も使わずに?それどころか魔法を使った気配すらしなかった。精霊魔法か?


「それで?二つ目の契約は....お前か」

水代(?)はこちらに視線を向ける。こちらを睨む水代(?)にはさっきまでとはくらべものにならない程のプレッシャーがあった。もう確認するまでもなく肌で感じている、こいつは強い。

「......契約?なんの話だ?」

「あぁ、貴様には関係ないことだ。我と契約者との間だけの約束事でな、貴様を殺せば我は自由になれるらしいからな、恨みはないが死んでもらうぞ?」

「契約?自由?お前は誰なんだ?」

「それも貴様には関係ないことなんだがな、まあ名も知らぬ相手に殺させるのは不憫だからな。特別に教えてやろう。我は地獄に住まう最強の精霊!これからこの世を統べる王だ!」

「地獄の精霊がなんで死んだやつの蘇生ができんだよ」

自己紹介を無視しつつ俺は気になっていたことを聞く

「ん?あぁあの小童か、なんてことない、そこらにふらついている生命(いのち)の精霊に命令しただけだ」

「お前は精霊を操れるのか?」

「いや?この能力は依り代の力を使った、存外使えるな」

なんだよ生命(いのち)の精霊って、それに水代の精霊魔法も使えるのかよ、めんどくせぇ


「まあ細かいことはどうでもいい...........死ね」

そう精霊がつぶやくと俺の体に何かが当たったような感覚

気づいたら俺の体には複数の穴が空いていた。


「......クソッ!」

常時展開している魔法障壁を貫通した!?こいつは確実にやばい、全力でやらないと死ぬッ

「『魔の支配者』発動!」

魔術を発動、魔族みたいにそのまま消えてくれれば上出来だな、期待はできない、してないから問題ではない。実際に消える様子はない。

距離を取り、回復魔法をかけ、自身の体を回復。反撃に魔法を放つ

「重力魔法『ゼロポイント』、押し潰れろ!」

「フンッ」

効いてる感じはしない、半端な魔法じゃ期待できないか。じゃあこいつを倒すには魔術しかない。


俺は密かに頭の中で全力の魔術をこいつに当てるための作戦を考え始めるのだった

決着の予定だったんですけど次まで伸びそうです。すみません。





それと勝手ではありますが作品名を変えさせていただきました。物語を書いていく途中で作品名と内容に齟齬が生じる可能性が出てきてしまったので変えることにしました。ご理解お願いします。これからも応援してくださると嬉しいです。これからもよろしくお願いします!

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