34話.無の復讐 壱
戦争じゃぁぁぁぁぁあああああ
俺がこの世界に来て初めて見た魔法は転移魔法だった
まあ厳密に言えば初めて受けたのは鑑定の魔法だったわけだがカウントしないでいいか
話を変えよう、仔細は省くが卵から孵ったばかりの雛鳥は初めて見たものを母だと勘違いするなんて話がある。ホントかどうかはこの際どうでもいい。何が言いたいかというと、情報がない状態で未知に直面した時、初めて見る情報がすべてだと考えてしまうことがあるってことだ
情報に踊らされるなんてバカみたいと言ってしまえばそれまでだが普通の人間そんなもんだ
と、いうわけで結論を言おう、この世界で転移の魔法は特別だったのだ、ありえない技術ってわけじゃない、ただ、とても高度かつ貴重なのだ。仮に所持しているとしたらそれは国単位で保有するべき機密情報になる、それをいち冒険者、しかも新人がポイッと出したらそれ変な空気になるに決まってる
「て....転移魔法...?まさか....ね」
「転移魔法は超高等技術だぞ?お前みたいなクソガキが使える訳ねぇだろうがッ!」
ベクターはこのタイミングで俺が嘘を言っていると思ったのか怒りをぶつけてくる
短気だなこいつ...うざってぇ
「嘘じゃないですよ、体験してみます?」
「.....体験だと...?一体どういうこt.......
ベクターが文句を言い終わる前に俺は紙に記された魔法陣を発動、発動されるのは当然転移の魔法、飛ばす場所はテキトーにギルドの外にしておいた
「なッ!?なにが....」
「ヨツバ君ッ!ベクターをどこに...!?」
「外です、お疑いのようだったので」
百聞は一見に如かず、百見は一行に如かず。何事も体験するのが一番だねぇ
しばらくすると外からベクターが帰ってきた。なんか外が若干ざわざわしてたけど気にしないでおこう。
てっきり怒りながら帰ってくると思ってたけど見当違いだったな、転移の魔法を体験したことで納得したのかな?
「.......この魔法陣がまだ偽物だとお思いの方います?俺なら何回でも使えますからぜひ体験してください」
といい俺はペラペラと紙を振る...........うん。全員黙ったね。
「それで、その魔法陣をどうやって使うつもりなんだい?」
アーサーが俺に質問をしてくる、それに俺は答える
「はい、まず、集めた冒険者を派閥ごとに分けましょう、あとは敵のアジトに派閥リーダーと副リーダーさん達だけで乗り込みましょう、俺も一緒に行きます、つまり7人で向かうことになります。少数なので見つかるリスクも少なくできます」
「他の冒険者たちはどうするんだ?」
「はい、分けた冒険者たちは離れたところに配置しましょう」
俺は机に広げられている地図に3つのポイントを付ける。
「ここと、ここと、ここあたりにまとめて配置します。転移魔法の送り先にもしておきます」
「.......分断かっ」
察しがいいティアセル、話が早くて助かるね
「そうです、敵の人数がわからない以上うまくいくかは賭けになりますが、敵戦力の分断ができれば少なくとも勝率は上がるはずです。転移魔法陣の紙はお三方に渡します。効果範囲内で魔力を流せば発動するようになってます」
「.........かなり現実的な作戦だと思うね...」
「まぁ...そうだな」
「あぁ」
リーダー3名の合意を得られたところで俺は早速準備にかかる
「準備に入りましょう、他の冒険者たちに作戦の共有と準備をお願いします」
「あぁ、もちろんだ」
「.......あ、俺が作戦立てたってことと魔法陣のことは...」
「もちろん、極秘扱いだよ」
よかったわ、こんなことがバレたら面倒ごとに巻き込まれそうだからね、まあもう面倒ごとには巻き込まれているんだけど...........
1時間もしないうちに冒険者たちの準備が整った。迅速だこと....これがカリスマってやつなのか
派閥のリーダーと副リーダーも準備が整い俺のもとに再集合した
「...皆さん準備はいいですね?」
全員こくりとうなずく
「それでは行きます」
俺は転移魔法を発動する
視界が光で包まれたと思った瞬間に周囲の景色が変化した
見回すとそこには荒れた景色、スラムに到着。
「....ほんとに一瞬でスラムか...便利なもんだな」
ベクターが独り言をもらす、まあ冒険者ギルドからスラムまでは現実世界で30㎞くらいだからね、自転車で一時間半くらいが一瞬だからね、便利なもんよ
「じゃあ、作戦開始といきましょう」
「あぁ、索敵は任せろ」
ここまで一回も話していないティアセル派閥の副リーダーが索敵を買って出る、名前はカプラっていうらしい、まぁあんま興味ない。一応索敵担当らしいが多分俺の方が優秀だから黙って俺も索敵をする。
.....中にいるのは5人か....?いや....6人?ここ以外にお仲間がいないと助かるんだけどね。.....というか中にいるヤツから変な魔力を感じる、南 明久と襲撃の時に助けに入った男の魔力を感知、あとは.....聖魔法を纏ってる....のか?そんな感じの魔力を感じる、多分女。もう1人は多分暗殺者だろう。魔力も気配も消すのがうまい、多分カプラでは感知できないだろうな
そんで問題のやつが2人。......いや2人って言っていいのかも怪しいな、1体は魔族、建物の一番奥の部屋にいる。そしてもう1体はおそらくファルスだろう、だが妙だ。ファルスは俺の魔法で殺したはず、運よく生き残ったり、回復魔法が効くような半端な魔法は撃ってない。なぜ動ける........?
「中にいるのはおそらく4名です」
わーお、ガバガバ索敵。カプラの索敵能力の低さに絶望を感じざる負えないがまぁあんま関係ないし大丈夫だろうと考え俺は作戦を続ける
「作戦通りに行きましょう、転移魔法陣で敵の分断です、ここでの戦闘は最小限で行きましょう、各地に飛んだら他の冒険者たちと強力して敵を討ってください、大丈夫ですね?」
「あぁ」
「おう」
「了解」
タイミングを合わせ、突入する
バキバキッッッ!!!!
ベクターが壁をぶち破り一斉に突入
中の状況を確認、即座に魔法を発動する
(「思考加速」発動)
通常よりも思考を何倍にも早めることができる魔法を発動、脳に負担はかかるがまあ必要経費と考えよう
ここで新事実発表。実はリーダーたちに渡した転移魔法陣は未完成のものなのだ、別に作戦を失敗させたいわけじゃないよ?敵の情報がない以上テキトーに敵を分断するわけにもいかないので現場に突入した段階で俺が敵の強さと能力を判断、適切だと判断した人のもとに送るという作戦だったのだ
というわけで『鑑定解析』発動。無駄な情報をカットしつつ3リーダーそれぞれの特性と戦い方と合った敵を転移魔法にかける
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『レイブン・クローデッド』
暗殺者:闇魔法 影魔法
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『スフィア・アントライト』
聖者:『聖神の加護』
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『南 明久』
精霊使い:精霊使役 精霊魔法
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『水代 晶』
精霊王:精霊隷属 精霊創造 精霊変化 精霊化
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おいおいおい、最後のやつ、日本人か?あとなんやねんエレメンタルマスターってこいつの相手は俺がやった方が良いのか?明らかに強そうだし...
そんなことを考えている刹那、地が割れた。その間から出てくるのは死霊と化したファルスであった。
「....なッ!?」
敵さんにとっても突然の出来事だったらしい、俺と水代という男以外は驚きで一瞬動きが止まる、その隙を水代は待っていたかの如く魔法を発動しようとする
「火の精霊、焼き払え.......
「させねぇよ」
俺は水代が魔法を発動するよりも先に転移魔法を発動する
聖者はベクターに、暗殺者はティアセルに担当させる。ファルスはアーサーにやらせよう、ギルド襲撃のリベンジマッチだ。後の2人は俺が相手しよう
それでは皆さん.........いってらっしゃいッ!!!
転移魔法、発動。
一瞬にして3リーダーとその他の敵が姿を消す。
凝縮された時間での一瞬の攻防、うーん、なかなか疲れるもんだね
さてと、本題はこっからだ。
一応他にお仲間がいるのかは聞いといたほうがいいか
「幹部っぽいのはさっきのが全員か?」
「........あぁ、会議中だった」
「そいつはよかった、他のやつを探して殺す手間が省けたよ」
「....ヨツバく~ん、またまた久しぶりだねぇ」
口調はいつものまま、だが怒りのこもった低い声で話しかけてくる南
「....なんだ?前に殺されかけたこと根に持ってんのか?この前みたいにまたそいつに守ってもらえよ?」
「黙れッ!今度こそお前を殺してやるッ!」
「お調子者キャラが崩れてんぞ?陽キャ気取るのも大変だな?」
「お前ッ......」
「沈まれ、南.....」
うーん、煽って冷静さを失わせる作戦だったんだけどなぁ、断念...
「んで?あんたは誰だよ?水代 晶さんよ」
「ッ!?何故その名を...?」
「魔法は得意なもんで、こっちの自己紹介は必要かい?」
「.......必要ない。四葉 慎太郎よ、貴様はここで殺す」
「そうかよ......じゃあ始めようか」
「併せろ、南」
「あいよっ」
「「精霊魔法『炎熱竜』」」
合体技ね....芸がない
「水魔法『水弾』発動」
南と水代の魔法と俺の魔法がぶつかり打ち消し合う、あとに残るのは灰色の煙と霧散した魔力のみ、姿は見えずとも互いを見据え、睨み合う。
よく考えると追放されてから再開したクラスメイトって南だけなのか、襲撃の時だけでも十分に見せたが敢えて言おうか
「......見せてやるよ、俺の力を」
どっかのジャンプ作品の最終決戦を参考にしました
ヒーローがなんとなんとかってやつ、怒られない...よな?




