33話.作戦会議
物事を急いでやると何事も中途半端になりがちです、気を付けて、何をするにしても余裕をもって取り組みましょう。
俺は基本的に他人に興味がない。世界のどこで誰が死んでいてもあまり思うことはない、過去に起こった凄惨な事件も、誰かの大きな過ちも、それを聞かされて何かを思うことはない。ただの情報として完結する。
別に生まれてからずっとこんな性格なわけではない、かといって過去に何かあったわけでもない、反骨精神と厨二病、それと偏った情報によってこうなった。こうなってしまった。別にかっこいいとは思っていない、だがダサいとも思えない。まあ厨二病だな。
俺は「正義」と言う言葉が嫌いだ。酷く曖昧で、時と場合によって形を変える。この上なく無意味な言葉だと思っている。
現代社会に文句を言う気はさらさらないが、例として言わせてもらう。人を殺すのが悪とされているのにもかかわらず戦争では敵をたくさん殺した者が正義とされる。
「正しさ」や「正義」なんて言葉は都合のいいだけの言い訳でしかない
別に悪役になりたいわけじゃない、ただ、自分の行動を正しいか正しくないかで決めることはしたくない、だからこそ俺は俺の行動を感情で決める。他の誰にも邪魔はさせない。
なぜいきなりこんな話をしたのか理由を話そう、今俺の目の前でめんどくさいことが起きている。
ギルドに所属している冒険者全員をギルドの入り口前の広場に集め武器の調整。チーム分け。配列、作戦の指示。
平たく言えば戦争の準備をしていた
俺もギルドに所属している冒険者の一員として召集を受けたのだが目的が明かされないまま戦争の準備だけを指示され、理解できないまま時間が過ぎていく。
この戦争もとい作戦の立案者はアーサーだそうだ、さっき隣で話してた他の冒険者の話を盗み聞きした。
目的や目標が明かされぬまま進んでいく作戦は冒険者の不安と不満を加速させる。
だって何するかわかんないのに戦う準備だけしろって、そりゃ無理でしょうが......
アーサーよ、どうなってしまったんだ、ちょっと前までの冷静で優秀なリーダーはどこへ行ったのやら
聞きに行こうかな?目的を聞いて、話してくれなかったら帰ろう。うん、そうしよう
俺は人溜まりを抜け、アーサーのいる部屋まで向かう。そして部屋の前で見張りをしている冒険者に声をかける。
「あの、アーサーさんはいますか?ちょっと話がしたくて」
「誰だお前は、重要な作戦会議中だ、立ち入りは禁止されている。広場に戻れ」
なんだこいつ、そっけないなぁ
「ちょっとでいいんです。通してください」
「痛い目見ないとわからないか?口で言ってる間におとなしくいう事を聞いてた方が良いぞ?」
「もう一度言います.......通してください」
「貴様...口で言ってもわからないなら体に教えてやる」
そう言い冒険者は俺の胸ぐらを掴む。
......まあ投げるか殴るかしたいんだろうけど馬鹿正直に受けてやる必要もない、俺は軽く気絶させる程度の力で冒険者のみぞおちを殴る。
ボンッと低く鈍い音がして冒険者が倒れる
「......ちょっと寝てな」
バタンとその場に倒れる冒険者を無視し、俺は部屋のドアを開ける
机に地図を広げ冒険者ギルド3大派閥のリーダー3人とその副官たちで作戦会議していたようだがいきなり空いたドアに全員がこちらを向く
「なんだ.....ヨツバ君か、どうしたんだい?今はここは立ち入り禁止にしたはずだし外には見張りを置いたはずなんだけどね」
「リーダー、これはなんのための準備なんですか?」
アーサーからの問いかけを無視し、俺は質問をする
「おい、クソガキ、作戦会議中だって言ったことが聞こえなかったのか?出てけ」
シッシッと手で追い払う一人の男、確かこいつは......ベクターだったかな?派閥リーダーの。ファルスってやつに瞬殺されてたやつだっけ?あんま覚えてないや
そんな言葉を無視して俺はもう一度質問を投げる
「これはなんのための準備なんですか?納得のいく説明をお願いします。他の冒険者も疑問に思っていますよ?」
「ヨツバ君、確かに君は優秀なようだが、それはあくまで戦闘面においてだ」
「それがなんですか?なにか関係が?」
「いや?ないよ?だからさ。関係ないから何も話していないのさ」
「そんな言い分で冒険者たちが納得するとでも?」
「納得してもらう必要はない、君も準備に戻りなさい」
どういう事だ?この人になにがあった?ギルド襲撃の後から様子が変だとは思ってたけどここまでとは...一体何がこの人をここまでにしたのか....呪いか?
俺が『鑑定解析』を使ってアーサーを見ようとした時、突然ベクターが怒りだす。
「おい、クソガキ。俺を無視するな、そして何度も言わせるな、出ていけ」
.....相手するのもめんどくせぇ
『魔言』発動
.......「『止まれ』」
魔言。対象の理解できる言葉を魔力をのせて届けることで対象に影響を与えるという魔法である。
「なんだ....これは...」
「体が.....動かな........い」
部屋いたメンバー全員の動きを止めることに成功
長く止めることは多分できないから迅速にいこう
「見させてもらいますよ」
『鑑定解析』発動
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『アーサー・グラスミッド』
状態:精霊干渉(思考妨害)
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..........なんだこれ?他のメンバーにも同じような状態異常が見られるが見たことも聞いたこともない状態異常だ...精霊干渉?考えらえれる可能性は南 明久か、あいつのユニークスキル『精霊使役』の力を使ええばこんなこともできんのか?
精霊についての情報がなさすぎる。けど原因はわかった、あとは取り除くだけだ。たとえ未知の魔法でも魔法であることには変わりない
「魔法で魔王に勝てると思うなよ?」
アーサーたちにかけられた魔法の魔力を読み解く.......ひとつひとつ丁寧に...
「...........解除」
パキンッと何かが割れる音がした。と同時に何かが俺に向かってくる。
それが俺に到達したと思ったら急に体が重くなった
「.....これは.....精霊の呪いか.......」
精霊の干渉を解除した者に攻撃するようにプログラムされていたのか、普通の人間がくらってたら死ぬかもしれないな、案外強力だ、だが俺からしたら大したことじゃない
逆にこれを利用してやる........魔力を解析、魔法の発信元を解析、いわゆる逆探知をする。
「.....初めてやったけどできるもんだな」
魔法の発動者はこの国のスラムに拠点を置いているみたいだな、場所さえわかれば後は簡単だ、追い込みでもかければそのうち見つかるだろう
しばらくすると俺がアーサーたちにかけた魔法が解ける
「........わ、私は今まで何を.....」
まだ若干混乱しているみたいだが後遺症なんかはないみたいだな、よかった。よかった。
「敵の魔法によって視野狭窄に陥っていたみたいですね、俺が解除しました」
「.....そ、そうか、ありがとう....」
「いえいえ、そんなことより、魔法をかけた犯人の場所がわかりました」
「なんだって...?それはいったいどこなんだい?」
「スラムです」
「スラム...?」
「はい、スラムです、そこに犯人はいます」
「そうか、今回の作戦でこの国を虱潰しに捜索するつもりだったが手間が省けたね、ありがとう。ヨツバ君」
冒険者集めて人探しさせる気だったんかこの人、冒険者の無駄遣いだな、止めれてよかった
「早速メンバーを選定して確保に向かおう」
アーサーが次の作戦を通達するのを俺は一旦止める
「リーダー、せっかくです、集めた冒険者全員使いましょう」
「彼らを......?」
別に俺は作戦を練るのが得意ってわけではないが、今回は積極的に作戦を練ってみよう
「はい、冒険者の中には魔法を使える人がたくさんいるんでしょう?皆さまに魔法をかけた犯人は個人で発動できる魔法ですが、犯人が単独だとは考えられませんよね?」
「.......そうだね、ギルド襲撃の件を考慮しても少なくとも3人以上いると考えられるね」
「その通りです、少なくとも今回の犯人グループ全員が『暗殺者ギルド』を単独で壊滅できるほどの力を持っていると考えるべきでしょう」
「その場合、私達全員で攻撃を仕掛けても勝てるか厳しいぞ?」
ティアセルという派閥リーダーの一人が話に入ってくる
ここの冒険者たちの戦力の低さに若干の絶望を覚えながらも話を続ける
「はい、その通りです。そこで使うのが他の冒険者たちです」
「どう使うつもりだい?」
俺は懐からある一枚の紙を取り出す
「これを使います」
「.......それはなんだい?」
「転移魔法陣です」
「「「.........は?」」」
「.................え?」
登場人物が多いと誰が話しているかわかりずらい.........




