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32話.side story クラスメイトの現在は...?

クラスメイト達の現状です

帝国 サン・ライズ。その訓練場、『勇者』新城 勇気は浮かない表情をしていた。

元々普通の学生をしていた彼らは突如としてこの世界、アルジオンに勇者として召喚された。召喚され早3か月、召喚時、四葉を入れ31名いたクラスは今はもう15名まで減ってしまった


「なんで.......こんなことに..........」

『勇者』新城 勇気の心には様々な感情が入り乱れていた。


つい数日前、訓練という名目で立ち入った『不可侵の森』、ここで最初の悲劇は起こった。

突如として何者かの襲撃に会う。勇者としての力を試すにはちょうどいいと思ったが最後、クラスメイト5名が瞬殺。


「我が住処に何用カ?ニンゲン」

人語を介する魔物、魔族との遭遇である。この世界の常人ならば恐怖と魔族の圧倒的な魔力におしつぶされるように身動きすら取れない状況なのだが、この世界の魔族を知らない新城はなんと魔族との会話を試みる。


「.....あ、あの、ここは......あなたの家なんですか......?」

「そうダ、ここは我が安住の地。無断で立ち入ることは如何なる者でも許さヌ」


若干カタコトっぽいしゃべり方で言葉を紡ぐ謎の存在。

新城の頭の中は今目の前にいる得体のしれない存在との会話が成立した。という一つの達成感だけであり、友人とまでは言えずとも同じ教室で授業を受けたクラスメイト5人を目の前で殺されてなおこの『勇者』の心には報復の気持ちはなかったのだ。突如として直面したこの異常な状況で現状を正しく捉えることができていないのかもしれない。


だが、この混乱の最中、動揺によって正気を失っている『勇者』とは反対に、現状を正しく捉えることができている者が動き出す。

「よくもこの......!」

「幸太郎の仇っ!」

「.......『風の槍』!」


対話を求めた『勇者』とは全く違う明らかな敵対行為に魔族も反応する

「......遅イ、消え失せヨ」

正体不明の攻撃が攻撃を仕掛けた3名の首と胴体を切り離す。


「キャァァァアア!!」


甲高い叫びがあがる。

その声に『勇者』はようやっと目覚める。

「っ!!」

クラスメイトが8人も死んだ。同じ教室で同じ時を過ごした友達が......


「このっ!!!!」

帝国から与えられた剣を抜き、目の前の敵に向かって振るう。


振りぬいた剣は確かに目の前の敵に当たった。.....ような気がしたのだが、結果的に攻撃は空振りに終わる。

霧で作られたような幻だけを斬り、目の前にいたはずの正体不明の敵を見失う。


警戒を解けないまま周囲を見回しているとどこからともなく声が響く

『去レ。さもなくは貴様ら全員ここで滅ぶことになるゾ』

「.....................」


長い沈黙。『勇者』は葛藤している。仲間を殺された報復を今この場でするべきか、それともこれ以上の被害を出さないためにもここで退くべきか。


『どうしタ?さっさと去レ。それとも今ここで死にたいのカ?』


答えを出せずにいる『勇者』、その答えを待つことなく『勇者』の仲間が魔法を唱える。

「『空間転移(テレポーテーション)』」

魔法陣が勇者一行を囲み、一瞬の光が放たれた次の瞬間には勇者一行の姿はなくなっていた




「......クソッ!!なんでだ!なんで僕はっ........!」

「.....なんでだじゃねぇだろうが、勇者サマよぉ」

そう声をかけたのはクラスでも一番のヤンキー、相川である

その言葉にキッと相川を睨む新城。


「なんだよ、その目は?」

「僕は....僕はあの魔物との会話をしようとしていた!なのにあの魔物に攻撃を仕掛けたのは君たちじゃないか!」

「だからなんだよ、ツレが5人も殺られたんだぞ?反撃するのは当然だろうが!」

「だからって僕が話を.......」

「喧嘩売られた瞬間からそいつは敵だろうが!敵と話しだぁ?そんな甘いこと言ってるから8人も死んだんだろうが!」

バンッと壁を叩く相川

「だって........」

「ハンッ、国の希望の勇者サマがこんなもんじゃこの国の未来もたかが知れてるな。こんなやつにオレの命を一緒に賭ける気はさらさらねぇ、オレはこの国を出るぜ」


相川の言葉にクラスメイトはもちろんその場にいた帝国の人間も驚愕する。

帝国の兵士が声を相川に声をかける

「あ....相川殿.....それはどういう..........もう一度あの森に向かうということですか?」

「ちげぇよボケが、この国を出る。オレは勇者を辞めるぜ」

「そっそれは.....ダメです!そんなことはさせません!」

「止める気か?止められるとでも思ってんのか?もうすでにオレはこの国の誰よりも強いってことを忘れたのか?」


召喚された勇者の成長速度はこの世界の人間の比ではない。召喚された当時はまだ普通の高校生に毛が生えた程度の強さしかなかった召喚勇者たちだが、1か月ほど訓練をするとこの国の兵士の誰よりも強くなってしまった。故にこの国に勇者たちを抑える手段はほとんどないのだ。


この国の兵士では誰も止められない。だが、同じ勇者ならば止めることができる。

一人の勇者が静かに声をあげる

「僕が止める.........」

国に与えられた剣を抜き、刀身に魔力を込め、構える。

それに応えるように拳を固め、構えを取る。

「やる気か?オレに勝てるとでも思ってんのか?」

「勝てる勝てないじゃない、君を止める。それだけだ」

「.......そうか、じゃあ死ねっ」


拳を剣がぶつかる.........その瞬間にまた別の声があがる。

「双方止まれッ!!!」

2人が寸前で止まり、声の主の方向を見る。


「勇者同士で争いごとなど.....許されるわけがないだろう」

声の主は帝国所属の勇者育成担当者、勇者が召喚されるよりも前にこの世界に召喚された、水代 晶。同じ世界の異世界人である。


「相川、お前はこの国から出たいんだな?」

「.......あぁそうだ、こんな頼りない勇者と一緒に戦う気なんてこれっぽちもねぇ」

「そうか、じゃあせめて位置だけでもわかるように魔法を施させてくれ」

「あ?GPSつけろってことか?」

「そうだ、お前はこの世界に慣れた気でいるみたいだがこの世界は広い、まだお前には保護者が必要だ、それが許容できないのならばこの国から出すことは許さん」

相川は不満そうに水代を睨む

「安心しろ、場所がわかるだけだ、緊急避難用の転移術式を組み込んでいるが命の危機が迫った時だけに発動するようにできる。」

「なんだそれ」

「ただの安全機能だ、危険はない、逆に言えば魔法さえ付ければどの国に行っても文句は言わないんだぞ?」

「チッ、仕方ねぇな。そのくらいなら受けてやるよ」

「感謝する」




「.......これでオレは自由ってことでいいな?あとで文句は言うなよ?勇者サマよぉ」

「............」

新城は何も言わない、ただ、見ているだけだった


相川のほかにも、今回のことがきっかけで戦いが嫌になったと言って、リタイアしてしまった女子が2名、相川と同じ理由で国を離れる者が4名、うち2名は相川と行動を共にすることにしたそうだ





クラスが散り散りになってから数時間後、帝国の王城、空を見上げながら『勇者』は嘆く

「なんで..........こんなことに.........」

「あんまり思いつめたらだめだからね?新城君」

嘆く『勇者』に声をかけたのはクラスメイトの女子、高橋 陽菜。新城の幼馴染、ユニークスキルは『超回復』。勇者一行の回復役(ヒーラー)を担当している

「....陽菜.....一人にしてくれないか?」

「ううん、一人になんてできないよ、新城君が心配だもん、それに死んじゃったみんなも私の力で回復させることができたらこんな皆がバラバラになることもなかったのに......」

そんな言葉を新城はすぐさま否定する

「それは違うっ!僕が、もっと強ければ、あの魔物をすぐに倒すことができていれば........」

「私たち.....これからどうなっちゃんうんだろうね」

「これ以上誰も死なせないよ......これ以上、誰も......」

自分に言い聞かせるように言葉をつぶやく新城。


静かな時間がふたりの間に流れる。

「.....うん、私も....これ以上誰も死なせないよ.....一緒に強くなろうね?新城君....」

消えてしまいそうなほど小さな声でつぶやく高橋。

「うん.....」



またも静かな時間がふたりの間に流れるのだった

モブには名前も台詞も与えん.........

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