30話.後始末
ちょっと短めだけど楽しんでいってください
クラヤミのとあるスラムの建物にて
「.......はぁ........はぁ、死ぬかと思ったぁ~、ファルスぅ~?無事ぃ?」
命からがらといった様子で息を整える南 明久
「あぁ、なんとかな..........」
「.....不可能な指令は出した覚えはないのだがな....私が貴様らの力量を見違えたのか?」
「そんなわけないでしょ~?召喚勇者がいたんだよ~僕と同じ勇者~」
「やはり......か、で何故その者がこの国にいるのだ?貴様と同じように逃亡者か...?」
「う~ん、なんでだろぉ?確か召喚されたときのステータスが弱すぎたとかで追放されてたはずなんだよねぇ~」
「弱すぎた....?」
「そうそう、詳しいステータスは覚えてないけどね~。チョ~弱かったはずだよぉ?」
「ありえないな....この私が鑑定しても抵抗された、あの者は相当な実力者だ。しかもその実力を隠匿している...」
「へぇ~、ど~りで強かったわけだ。けど次会ったときは僕が殺す!」
「今の貴様には無理だ....」
「はぁ!?何言ってんの?この僕がやられっぱなしで終われるわけないじゃん!」
「話は最後まで聞け.....今は無理だと言っただけだ、いずれあの者をも超える力を貴様は秘めている....」
「あっそう、じゃあ僕は回復もらってくるから、おつかれ」
若干の気まずさと怒りを露わにしながら南は部屋を去る
「ファルスよ......貴様は......」
「待ってくれよ!新入りも言ってただろ?!あの場には勇者がいた!あんなもんは予定になかった!ギルド3派閥のリーダーを始末するっていう役目は果たしたはずだ!」
「その3派閥のリーダー、誰も死んでいない.......」
「そっ.......そんな.....」
「まあいい、貴様にはまだ仕事が残っている..........」
「ウグッ..........ガハッッ!........」
突然ファルスが苦しみ始める
「!?.....ファルス?どうした?」
黒づくめの男がファルスに触れ、先ほどと同じように回復させようとするが、ファルスは依然苦しんでいる。
「.........効きが薄い....?いや、全くの別物か........。フィオナは......いないか......」
回復魔法も効果がないのか男はあきらめた様子で回復を止める
「..............。」
力尽きその場に倒れこむファルス。男は脈をとり、ファルスの死亡を確認、すぐさま意識を切り替える
「.....フィオナを呼び戻せ、ファルスを診せる」
「.......はい.....」
いつの間にか部屋の中にいたレイブンに一声かけ、部屋を去る男
真・魔法『終焉』
『絶対零度』『絶対零度』『炎滝』『忘却の彼方』そして『冥府に送る氷河』の5つの魔法を連続して当てることで完成する究極の魔法である。
その効果は命を無に帰す。そこに回復などの余地は一切ない、発動したら回避不能、防御不可の絶対の攻撃である。
......え?手間の割に効果がしょぼいだって?.......うん、俺もそう思う。だけどこの魔法の効果はそれだけじゃないんだよなぁ
まあそのうちわかるよ。そんなことより今は襲撃の後始末が優先だ、死者の確認、傷を負った者の回復、そして一番面倒な俺への事情聴取........
はぁ、憂鬱だ。この国から逃げるっていう手も一応考えたけど、また別の国行ってやり直すのもそれはそれでめんどくさい
「........はぁ、俺は面倒ごとから抜け出せない運命なのか........」
「........?なんのことだい?」
「いや、何でもないです」
心の声が漏れていたようだ、気を付けないと
「それでは事情聴取を始めようか..........と言ってもそんなにかたくならないでくれ、命の恩人を詰問するほど私は落ちた人間ではないよ」
「そっすか」
「けれど私自身納得いってない点が多くあるからね、そのあたり聞いていきたいと思うよ」
「はい、まあ俺の応えられる範囲なら」
「..........今回の襲撃者、君は知り合いだったのかい?」
「説明がむずいんですけどねぇ、顔見知り程度の知り合いって感じです、話せるほどの情報はないっすね」
事情聴取は淡々と進んでいった、今回の襲撃の犯人との関係性に始まり、襲撃者の強さなど。けれどどうしても話しづらいこともある、俺の素性についてだ
異世界人であることはなるべく隠しておきたいことの一つであるし、この国にいる事情も話したくはない。けれど話さないわけにもいかない、すべてを隠しきることはできないだろう
ならば、話すことは選ばないといけない。
「..........実は、俺。異世界から召喚された勇者なんです」
「...勇者?勇者と言えば帝国 サン・ライズか、あの国はあんまりいい噂を聞かないね.....そうか、君が勇者か........ところで君はなんでこんな国にいるんだい?帝国が勇者を他所の国に行かせるとは思わないけれど......」
「あ~、あの襲撃者の2人の一人、若いやつがいたでしょう?俺と同じくらいの年の...」
「あぁ、いたね、『暗殺者ギルド』確保作戦の時に見かけた青年か」
「はい、そいつも俺と同じ異世界人なんです、同じタイミングでこの世界に召喚されて、そしてあいつは逃げたんです....」
「逃げた......君は彼を探すためにこの国に来たのかい?」
「まあ、そんな感じです」
勝手に解釈してくれたようで助かった、そういう事にしておこう
「まあ今回聞きたいことは全部聞き終わったよ、ご苦労様。ゆっくり休んでくれ」
........この人には邪心ってものがないのだろうか、俺みたいな謎の多い人の話を普通に信じて、詳しくも聞かない、なんか怖いな、この人。
ニコニコとほほ笑むアーサーに一礼し、俺はアーサーの部屋を出る。そしてまだ混乱覚めやまぬギルドを後にする。
異世界からの召喚勇者であることを話してもいいのだろうか?もし仮に悪用されるようなことが......って止めようこの思考、少なくともアーサーの部下として動くうちは善人ぶりたい、これは俺の願いであり、目標だ。俺が善人を辞める時はこの国を出るときか、アーサーが死ぬ時だと心に決めた。
とあるスラムの建物の一室にて
「ファルスが死にました...原因不明の攻撃により回復魔法も効果がなくそのまま。呪いの類かと思いフィオナに診せましたが呪いでもないとのこと、現在原因調査中です........オルガ様」
「ふむ.......そうか、興味深いな」
その部屋で黒づくめの男と、羊のような角を生やした長髪の男が話し合っている
羊のような角を生やした男の名前はオルガ、このグループのリーダーである。もちろん人間ではない、種族は魔族、伝説上の生物が闇の組織を統率しているのである。
「聖魔法が使えるフィオナでも治せない謎の攻撃か...我にも一回診せてくれ、興味深い」
「かしこまりました、手配します」
「遠隔の魔法でも呪いでもない攻撃手段を用いる召喚勇者か....そいつにも一度会ってみたいな」
「ですが.....ヤツの力は底が知れません......無暗に接触するのは、きけn........]
バキッ!!
「我が負けるとでも?.....貴様、我を舐めているのか?」
机を叩き割るオルガ、失言に焦り即座に訂正する黒づくめの男
「もっ...申し訳ありません...オルガ様」
「フンッ......調子に乗るなよ...」
「...あと、あの新入りのガキ....」
「ミナミのことですか?」
「そう、そいつだそいつ。」
「あの者がどうかしましたか?」
「貴様がちゃんと育てろよ?貴様がアレを連れてきた理由は何となく予想がつくが、使えないようだったら我が即座に殺してついでに貴様も殺してやるからな?」
「はっ...はい、承知しております」
「同郷の人間だからって甘くするんじゃないぞ?.......ミズシロ アキラ」
「....はい」
謎の男の正体が判明?!
年末なのでちょっとだけ振り返りを。
作品を書き始めて半年ほど経ちます。これまで多くの人に作品を見てもらい感謝しかありません。たくさんの人にいいねを貰い、いつも元気をもらっています。2025年もこのペースで書いていけたらなと思っています。
この作品がいいなっと思ったら、ブックマーク、いいね、感想など是非お願いします!楽しみに待っています!
次回31話は1月の始めに投稿予定です。
来年までに書き溜めておきます....




